AIエージェント開発を成功させる5ステップ。費用・期間・失敗しない進め方を解説

「AIエージェントに興味はあるが、どこから手をつければいいかわからない」「外部に依頼すべきか、社内で開発すべきか判断できない」。そう感じているDX推進担当者や経営層の方は少なくありません。

AIエージェント開発は、通常のシステム開発とは異なる進め方が必要です。要件定義の精度・PoCの設計・開発会社の選び方、そのどれかがずれると、費用と時間をかけても「使えないものができた」という結果になりかねません。

本記事では、AIエージェント開発をプロジェクトとして進めるための実務的な知識を整理します。コードの書き方ではなく、「どう判断し・どう進め・どこに依頼するか」という意思決定者・推進担当者の視点で解説します。

自社の状況に合った開発アプローチと進め方の判断軸を、この記事で手に入れてください。

AIエージェント開発とは?従来のAI開発・RPA・チャットボットとの違い

AIエージェントとは、与えられた目標を達成するために自律的に判断し、複数のツールを組み合わせながらタスクを実行するAIシステムです。

「ChatGPTに質問する」「Difyでチャットボットを作る」といった単純な生成AI活用とは、根本的に異なります。AIエージェントは「考える→実行する→結果を確認する→次の行動を決める」というループを自律で回せる点が最大の特徴です。

企業のAIシステムを検討するとき、「RPA」「チャットボット」「AIエージェント」の3種類が候補に挙がることがよくあります。それぞれの違いを整理しておきます。

チャットボット・RPA・AIエージェントの違い(比較表)

比較軸チャットボットRPAAIエージェント
動作スタイル質問に答える(1問1答)決まった手順を繰り返す目標から逆算して自律的に動く
判断能力シナリオ内でのみ判断判断なし(ルール固定)状況に応じて柔軟に判断
複数ツール連携基本的になし操作手順として組み込み可動的に複数ツールを選択・呼び出し
対応できる変動低い(シナリオ外は対応不可)低い(例外処理が弱い)高い(想定外の状況でも対応を試みる)
主な用途問い合わせ対応・FAQ定型入力作業・画面操作の自動化複雑な判断を含む業務フローの自動化

RPAは「決まった手順を機械的に繰り返す」のが得意ですが、画面の仕様変更や例外処理に弱いという特性があります。チャットボットはシナリオ外の質問に弱く、定型FAQが中心です。AIエージェントはその両方の課題を補う形で、複雑で変動する業務フローを自律的に処理できます。

チャットボット・RPA・AIエージェントの動作スタイルの違いを示す比較図

AIエージェントが企業業務に向いているシーン

AIエージェントが特に力を発揮するのは、以下の3パターンです。

1. 複数システムをまたぐ情報収集・判断・実行が必要な業務
例:「顧客からの問い合わせを受けて、CRMで顧客履歴を確認し、社内FAQをRAGで検索し、回答案を作成して担当者へSlackに通知する」という一連のフローを自律で処理する。

2. 繰り返しだが条件が変動するタスク
例:毎日行う競合情報の収集・要約レポート作成。調査対象や条件が毎回変わるため、RPAのような固定フローでは対応できない業務。

3. 専門知識と判断を組み合わせる業務の補助
例:契約書のリスク箇所の抽出と一次評価、在庫状況と販売データを照合した発注量の提案など。人間が最終判断を下す前の情報整理・補助業務。

AIエージェントの具体的な活用事例は以下の記事で業種・業務別に詳しく解説しています。

参照記事:AIエージェント活用事例10選|業種・業務別の具体例と導入チェックリスト

AIエージェント開発の2つのアプローチ:自社開発 vs 外部委託

AIエージェント開発のアプローチは大きく2つに分かれます。自社開発か外部委託かの選択は、費用・スピード・リスク管理に直結する重要な判断です。

自社開発が向いているケース・外部委託が向いているケース

判断軸自社開発が向いている外部委託が向いている
社内体制Python・LLM経験のあるエンジニアが2名以上いるAI開発の専門知識を持つエンジニアが社内にいない
機密性機密データを社外に出せない制約がある機密性の制約が少なく、外部との連携が可能
スピード開発経験があり、内製で早く動かせる早期にPoCを完走させ、ROIを検証したい
継続改善長期的に内製で改善・運用する計画があるまず費用対効果を確認してから内製化を検討したい
コスト人件費をかけても中長期でコストが下がる計算が成り立つ初期投資を抑えて検証段階から進めたい

多くの企業が選択するのは、外部会社と協業しながら内製化を進めるハイブリッド型です。PoC・初期開発を外部に委託して実績を作り、運用フェーズから社内エンジニアが引き継ぐという進め方が現実的です。

ハイブリッド型には複数のパターンがあります。自社の状況に応じて選択してください。

ハイブリッドパターン内容向いているケース
PoC外注→本開発内製PoCを外部に委託し、技術選定・アーキテクチャ設計の知見を得た後、本開発を社内チームが引き継ぐ社内エンジニアはいるがAI開発未経験、短期で立ち上げたい
設計内製×実装外注要件定義・業務フロー設計を社内で行い、実装を外部に委託する業務知識は社内にあるが実装リソースが不足している
コア機能内製×周辺機能外注競合優位につながるコア機能は内製し、汎用的な機能(認証・ログ管理等)は外部に委託長期的な内製化を志向しているが段階的に移行したい

特に「設計内製×実装外注」は、業務ドメイン知識を自社で保持しながらスピードを確保できる点で注目されています。この場合、外部開発会社との「引き継ぎドキュメントの整備」「設計意図の共有方法」が成功の鍵になります。

「まずPoC(概念実証)から始める」が王道の理由

AIエージェント開発で失敗が多いのは、「要件が曖昧なまま本開発に入る」ケースです。本開発から始めると、後から「業務に合わない」「期待と違う」という問題が発生したときの手戻りコストが膨大になります。

業界標準として確立しているのがPoC(概念実証)先行の進め方です。

  • PoC:1〜2ヶ月で小さく動くものを作り、KPIで効果を測る
  • KPI検証:「処理時間が何%削減されたか」「エラー率がどの程度か」を数値で確認
  • 本開発:PoCの結果をもとに、本番規模の開発・展開に進む

この順番を踏むことで、「実際に使えるか」「費用対効果が合うか」を小さなコストで検証してから投資判断ができます。

自社開発に必要な体制・スキルセット

自社開発を選択する場合、最低限以下の体制が必要です。

役割必要スキル・経験
プロジェクトマネージャーシステム開発プロジェクトの管理経験、AIへの基礎理解
LLMエンジニアPython、LangChain・LangGraph・Dify等のフレームワーク経験
業務要件定義担当対象業務の深い理解、要件をドキュメント化できる能力
テスト・品質管理担当テスト設計、非決定的な出力の評価方法の理解

「社内エンジニアが1人しかいない」という状況では、自社開発は現実的に難しいケースが多いです。要件定義・実装・テスト・運用を1人でカバーするのは、品質と工数の両面でリスクが高くなります。社内体制が不足している場合は、外部リソースの活用を最初から計画に組み込むことが重要です。

シングルエージェントとマルチエージェントの選択

AIエージェントの設計を始める前に、シングルエージェントマルチエージェントかを判断することが重要です。最初から複雑なマルチエージェント構成を選ぶと、設計・テスト・運用のコストが急増します。

比較軸シングルエージェントマルチエージェント
向いているケース1種類のツールを繰り返し使う業務・業務フローが1本道複数の専門スキルが必要・並列処理でスピードを上げたい
設計の複雑さ低い高い(エージェント間の通信・状態管理が必要)
初期コスト低い高い
デバッグのしやすさ容易困難(どのエージェントの判断ミスか特定しにくい)

基本原則:シングルエージェントで解決できる問題は、シングルエージェントで解決する。 多くのPoC段階の要件はシングルエージェントで対応できます。マルチエージェントが必要になるのは「単一エージェントではコンテキストウィンドウが不足する」「複数タスクを並列で処理する必要がある」「専門性の異なる複数のロールが必要」という場合です。

AIエージェント開発の進め方:要件定義から運用まで5ステップ

AIエージェント開発をプロジェクトとして成功させるには、以下の5ステップで進めることが重要です。各ステップで「DX担当者が何をすべきか」「開発会社に何を伝えるか」を中心に解説します。

AIエージェント開発の要件定義からPoC・設計実装・テスト・運用までの5ステップロードマップ

Step 1:業務課題の整理と要件定義

最初のステップで「何をエージェントに任せるか」を明確にします。このステップの精度が、プロジェクト全体の品質を左右します。

要件定義で整理すべき4つの項目を以下に示します。

項目確認内容
入力エージェントに何を渡すか顧客からのメール文、CSVデータ、フォーム入力値
出力エージェントに何を出力させるか回答文の草稿、分類結果、レポートのPDF
判断条件どんな条件でどう動くか優先度が高い問い合わせは担当者にエスカレーション
連携システムどのシステムと連携するかCRM、社内Slack、ファイルサーバー、外部API

加えて、成功基準(KPI)を要件定義の段階で決めることが重要です。「処理時間を50%削減」「担当者の確認工数を月30時間削減」といった数値目標を先に合意しておくと、PoC評価・本開発の判断基準が明確になります。

要件定義が曖昧なまま開発を始めると、後工程での手戻りが発生します。特に「なんとなく便利になればいい」という粒度での依頼は、開発会社との認識ズレを招く原因になります。

Step 2:PoC(概念実証)設計・実施

要件定義が固まったら、本開発の前にPoCで小さく検証します。

PoCで決める4つの事項:

  • 対象業務の絞り込み:1フロー・1ユースケースに限定する(複数業務の同時検証は避ける)
  • 期間の設定:1〜2ヶ月を目安にする。長引く場合は対象を絞り直す
  • 成功基準:Step 1で決めたKPIを使い、「この数値を達成できればPoC成功」と定義する
  • 評価フォーマット:PoC終了時に「成功・条件付き成功・中止」をどの基準で判断するかを事前に決める

典型的なPoC例:「社内問い合わせ対応エージェントを、IT部門への問い合わせ1カテゴリで試す → 回答の一致率80%以上・平均対応時間40%削減を目標 → 2ヶ月で評価」

PoCのスコープを絞ることは「妥協」ではありません。小さく完走させることで、本開発の成功確率を上げるための重要な設計です。

Step 3:設計・実装(フレームワーク選定含む)

PoCの結果をもとに、本開発の設計に進みます。このフェーズは開発会社主体で進みますが、DX担当者として確認すべき事項があります。

フレームワークの主な選択肢と特徴:

フレームワーク特徴向いているケース
Difyノーコード・ローコード寄り。UIが直感的スピード重視のPoC、非エンジニアが運用する場合
LangGraphカスタム性が高く、複雑なフローも設計可能高度なエージェント設計・エンジニアが継続開発する場合
n8nワークフロー自動化寄り。他システムとの連携が得意既存システムとの連携を中心に自動化したい場合
OpenAI Agents SDKOpenAIエコシステムと親和性が高いOpenAI APIを中心に構築する場合

DX担当者として開発会社に確認すべき事項は以下の3点です。

  1. なぜそのフレームワークを選んだか:速度重視か、カスタム性重視かの判断理由を確認する
  2. 社内エンジニアが将来引き継げるか:将来の内製化を考えているなら、社内で習得可能な技術選定になっているかを確認する
  3. LLMのモデル選定の根拠:コスト・精度・セキュリティの観点で適切なモデルを選んでいるかを確認する

また、近年急速に普及しているMCP(Model Context Protocol)への対応可否も確認ポイントです。MCPはAnthropicが提唱するオープンプロトコルで、AIエージェントが社内システム・外部APIと標準化された方法で連携するための仕様です。MCP対応のツールやサーバーを使えば、CRM・社内データベース・業務システムとの連携実装のコストが下がります。「利用するフレームワークはMCPに対応しているか、またはMCP対応の計画があるか」を確認しておくと、将来の機能拡張がしやすくなります。

Step 4:テスト・品質確認

AIエージェントのテストは、通常のソフトウェアテストとは異なる観点が必要です。

AIエージェント特有のテストチェックリスト:

  • ☐ ループが意図した条件で終了するか(無限ループが発生しないか)
  • ☐ エラーが発生したときにエラーを適切に処理して停止するか(エラーを無視して進まないか)
  • ☐ ハルシネーション(事実と異なる出力)が業務上の許容範囲内か
  • ☐ 外部APIやシステムとの連携が意図通りに動くか
  • ☐ 想定外の入力(不正な形式、空データ)でも安全に動作するか
  • ☐ 出力ログが記録され、後から動作を追跡できるか

通常のソフトウェアは「同じ入力に同じ出力が返る」決定論的な動作が前提ですが、LLMを使うAIエージェントは非決定的(同じ入力でも出力がブレる)という特性があります。そのため、評価基準を「完全一致」ではなく「品質基準への合致率」で設計することが重要です。

テスト設計の時点で「人間がどのタイミングでレビューするか」を決めておくことも重要です。完全自動化を目指す前に、まず「AIが一次処理→人間が最終確認」というセミオートメーションで運用を始めるのが現実的です。

補助金を活用したAIエージェント開発

AIエージェント開発には、中小企業向けの補助金制度を活用できるケースがあります。代表的な活用例として、IT導入補助金・ものづくり補助金・中小企業デジタル化促進補助金等が対象となる場合があります(年度・採択状況により変動)。

補助金を活用することで、PoC〜本開発の初期コストを抑えながら開発に着手できます。ただし、補助金申請には要件定義・費用見積もり・申請書類の準備が必要であり、申請から採択・交付まで一定の期間がかかります。「補助金を活用したい」という場合は、開発会社への相談と並行して補助金支援の実績がある会社・コンサルタントに早めに相談することをお勧めします。

補助金の活用可否・最新の申請状況についても、無料相談でお気軽にご相談ください。

Step 5:本番導入と運用監視

本番稼働はゴールではなく、継続改善の起点です。導入後に必要な運用体制を整えておかないと、精度の劣化や予期しない動作に気づかないまま業務影響が広がるリスクがあります。

運用フェーズで整えるべき体制:

運用項目内容
ログ監視エージェントの動作ログを定期確認。異常な動作パターンを早期検知
精度モニタリングKPIを定期計測し、精度が落ちていないかを確認
LLMバージョン対応利用するLLM APIのバージョンアップ時に動作確認を実施
フィードバック収集利用者からの改善要望を収集し、改善サイクルに組み込む
障害時の対応手順エージェントが停止・誤動作した場合の業務フォールバック手順を事前定義

特に注意が必要なのはLLMのAPIバージョン更新です。GPT-4やClaude等のLLMは定期的にモデルがアップデートされ、同じプロンプトでも出力の傾向が変わることがあります。APIバージョンを固定しておく、更新時にはステージング環境で動作確認してから本番に適用するというプロセスを開発会社と合意しておくことが重要です。

AIエージェント開発にかかる費用・期間の目安

「費用がどれくらいかかるか」はDX担当者の最大の関心事のひとつです。ここでは参考となる費用感と、変動要因を整理します。

なお、記載の数字はあくまで目安です。規模・複雑度・フレームワーク選択・開発会社の体制により大きく変動します。複数社から見積もりを取ることを前提に、参考値として活用してください。

費用の内訳と変動要因

AIエージェント開発の費用は大きく4つの区分に分かれます。

費用区分目安変動要因
要件定義・設計30〜100万円業務の複雑さ、ドキュメント整備の手間
PoC(概念実証)100〜500万円期間・対象業務数・使用するLLMのAPIコスト
本開発500〜3,000万円以上連携システム数、エージェント設計の複雑さ、テスト工数
運用保守(年間)開発費の15〜30%程度APIコスト変動、LLMバージョン対応、機能追加の頻度

費用に影響する主な要素:

  1. 連携するシステム・APIの数:連携先が増えるほど設計・実装・テストのコストが増える
  2. エージェントのループ設計の複雑さ:単純な1フローか、条件分岐が多い複雑なフローかで工数が変わる
  3. LLMモデルの選定:高精度モデル(GPT-4o等)はAPIコストが高く、小型モデルとのコスト差が大きい
  4. ローカルLLM vs APIのどちらを使うか:オンプレミスにLLMを構築する場合は初期インフラコストが発生するが、APIコストは削減できる
  5. 開発会社の体制・経験:AIエージェント開発に習熟したチームは単価が高い分、手戻りが少なくトータルコストが下がるケースがある

開発期間の目安(PoC〜本開発〜運用)

フェーズ期間の目安備考
要件定義2〜4週間業務理解・ドキュメント整備の手間による
PoC1〜3ヶ月Dify等のノーコード系なら2〜4週間も可能
本開発3〜12ヶ月連携システム数・テスト工数による
運用安定化1〜3ヶ月本番稼働後の初期調整・フィードバック対応

スピードを優先したいケースでは、DifyやLangChainのノーコード・ローコード系フレームワークを使うことで、PoC期間を2〜4週間に短縮できます。一方、カスタム性が必要な複雑なエージェント設計はLangGraph前提となり、本開発だけで3〜6ヶ月以上かかることもあります。

AIエージェント開発会社の選び方・チェックポイント

AIエージェント開発の成否は、開発会社の選択に大きく左右されます。「AI開発会社」と名乗っていても、機械学習・画像認識・チャットボット開発が中心で、AIエージェント特有の設計経験がないケースもあります。

開発会社のタイプを把握する

「AI開発会社」と一言で言っても、主力事業・得意分野によって大きく異なります。選定前に各タイプの特徴を把握しておくことで、自社のニーズに合った会社を絞り込みやすくなります。

タイプ特徴向いているケース注意点
コンサル型要件定義・戦略設計が強い。実装は外部に委託するケースも「まず何を作るべきかを一緒に考えたい」実装力の確認が必要
SI(システムインテグレーター)型大規模システム開発経験が豊富。既存システムとの連携が得意既存基幹システムとの統合が必要AI・LLM特有の設計経験が浅いことがある
AIスタートアップ型LLM・エージェント開発の最新技術に強い。スピードが速いPoC〜初期開発を素早く進めたい規模が小さく、長期運用のリソースが限られる場合がある
総合型(コンサル+開発+運用)要件定義から運用まで一気通貫。業務理解とAI技術の両方を持つ失敗リスクを抑えて本開発まで確実に進めたい費用が高くなる場合がある

リベルクラフトは「総合型」にあたります。PoC設計・本開発・運用保守を同一チームが担当し、コンサルティングとエンジニアリングを組み合わせた支援を提供しています。

開発会社を選ぶ5つのチェックポイント

チェックポイント1:AIエージェント・LLM開発の実績があるか

「AI開発実績あり」ではなく、「LLMを使ったエージェント開発の実績があるか」を具体的に確認します。提案の段階でPoC事例・導入後のKPI改善事例を示せるかどうかが判断基準です。

チェックポイント2:PoC〜本開発〜運用まで一気通貫で対応できるか

PoCだけを専門とする会社、本開発だけを受ける会社、運用保守を別会社に引き渡す体制の会社など、カバー範囲が異なります。特に「PoCは成功したが本開発で別会社に引き継いだら認識がズレた」という失敗は頻発します。一気通貫で対応できる会社を優先することで、引き継ぎリスクを減らせます。

チェックポイント3:自社業務ドメインの理解力があるか

技術力と同じくらい重要なのが業務理解力です。製造業・金融・医療・EC等、自社のドメイン知識がない開発会社に依頼すると、「技術的には動くが業務に使えない」という成果物になりやすいです。業界・業務プロセスに関する理解度を提案段階で確認します。

チェックポイント4:利用するフレームワーク・LLMへの技術的見識があるか

「なぜLangGraphを選ぶか」「Difyではなくカスタム実装を選ぶ理由は何か」という問いに、根拠をもって答えられるかを確認します。RAG(Retrieval-Augmented Generation)やベクトルデータベースとの組み合わせ経験があるかも、精度の高いエージェントを実現するうえで重要な確認項目です。

チェックポイント5:コミュニケーション体制と窓口が明確か

プロジェクトの窓口が明確か、担当者の変更が頻繁に起きない体制かを確認します。要件定義〜本開発〜運用を通じて、同じチームが継続して関わる体制が理想です。

提案書・見積もり取得時に確認すべき事項

複数社に相見積もりを取る際は、価格だけでなく以下の項目を確認します。

  • PoC設計の具体性:「何を・どの期間で・どの指標で評価するか」が見積もりに明示されているか
  • 失敗時の対応方針:PoCが目標を達成できなかった場合の選択肢と費用が説明されているか
  • 運用保守の範囲:初期開発費用に運用保守費用が含まれていないケースが多い。別途の費用感を確認する
  • LLMのAPIコスト負担:開発費とは別に、LLM APIの利用料が月次で発生する。その負担区分を確認する

安い見積もりの多くは、要件定義・テスト・運用保守が含まれていないことが原因です。総コスト(初期開発+年間運用)で比較することが重要です。

AIエージェント開発の相談は、まずリベルクラフトへ。PoC設計から本開発・運用まで一気通貫でサポートします。

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AIエージェント開発のよくある失敗と対策

企業のAI導入支援をしてきた経験から、AIエージェント開発プロジェクトで繰り返し見てきた失敗パターンを整理します。技術的な実装ミスではなく、プロジェクト運営・判断の問題が原因になるケースがほとんどです。

失敗パターン1:要件定義が曖昧なまま開発を開始する

「AIに任せれば何かいい感じにやってくれるだろう」という期待で開発を始めると、後から「業務に合わない」「期待と違う」という問題が発生します。特に「入力・出力・判断条件・連携システム・成功基準」の5点が曖昧なまま進めると、開発会社との認識ズレが手戻りの原因になります。

対策: Step 1のチェックリスト(入力・出力・判断条件・連携システム)を埋めてから開発会社に依頼する。成功基準は必ず数値で定義する。

失敗パターン2:PoCのスコープが広すぎる

「せっかくやるなら全社で使えるものを」とPoC段階から複数業務・複数部署を対象にしてしまうケースです。結果としてPoCが完走しない、または判断基準が曖昧になり本開発の意思決定ができない状態に陥ります。

対策: PoCは「1業務・1フロー・2ヶ月以内・KPI1〜2本」に絞る。対象を広げるのは、PoCで効果を確認してから。

PoCスコープ定義チェックリスト:

  • ☐ 対象業務が1フローに絞られているか
  • ☐ 期間が2ヶ月以内に設定されているか
  • ☐ 評価指標が数値で定義されているか

失敗パターン3:LLMの出力精度への過信(ハルシネーション対策の不足)

AIエージェントが自律的に動くほど、誤った判断や誤情報が業務に与える影響は大きくなります。「AIが出した情報だから正しいはず」という前提で人間のレビューを省くと、誤情報が業務に混入するリスクが高まります。

対策: 完全自動化を最初から目指さず、「AIが一次処理→人間が最終確認」というセミオートメーションから始める。特に顧客対応・法的判断・財務処理に関わる業務では、人間の確認ステップを設計段階で必ず残す。

失敗パターン4:運用・保守コストの見落とし

初期開発費用だけを比較して発注し、稼働後のランニングコストを見落とすケースです。LLM APIの利用料・バージョン対応の工数・精度劣化への対処・機能追加の費用は、初期開発費用とは別に継続的に発生します。

対策: 見積もりを取る段階で「年間の運用保守費用」を必ず確認する。また、LLMのAPIコストは利用量に応じて変動するため、想定利用規模での試算を開発会社に依頼する。

まとめ・AIエージェント開発の次のステップ

本記事で解説した内容を5点でまとめます。

  1. AIエージェントはRPA・チャットボットとは別物:自律的な判断とツール連携が特徴。複数システムをまたぐ複雑な業務フローに向いている
  2. 自社開発か外注かは「社内体制・機密性・スピード」で判断する:ハイブリッド型(外部委託でPoC→内製化)が現実的な選択肢になることが多い
  3. 開発は要件定義→PoC→設計・実装→テスト→運用の5ステップで進める:各ステップで手を抜くと次のステップでコストが跳ね上がる
  4. 費用はPoCで100〜500万円、本開発で500〜3,000万円以上が目安:規模・複雑度・フレームワーク選択で大きく変動する。総コスト(運用保守含む)で比較することが重要
  5. 開発会社選びはPoC実績・一気通貫対応力・業務理解力の3点を確認する:技術力と業務理解力の両方を見ることが選定の要点

次のステップとして、まず自社の業務課題を「入力・出力・判断条件・連携システム・成功基準」の5点で言語化してみることをお勧めします。この整理ができていると、開発会社への相談が具体的になり、見積もりの精度も上がります。

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リベルクラフトは、AI・データ活用のコンサルティングから受託開発・運用まで一気通貫で対応する会社です。製造業・メディア・金融など複数業界でのAIエージェント開発実績があります。

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  • PoC設計から本開発・運用保守まで同一チームで担当
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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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