Excelを用いたデータ分析のやり方と実施可能な分析手法一覧を紹介

「Excelでデータ分析をしたいけれど、何から始めていいかわからない」と悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。

Excelは、多くの企業で日常的に使用されているツールですが、単なる表計算ソフトではなく、集計・可視化・傾向分析といった多彩なデータ分析が可能です。実際に、売上管理・顧客分析・在庫最適化など、ビジネスの意思決定に役立つ分析をExcelひとつで完結できるケースも少なくありません。

本記事では、Excelを用いたデータ分析の基本的なやり方から、目的別に実施可能な分析手法一覧までをわかりやすく解説します。分析初心者の方でも今日から活用できるノウハウをまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

Excelでデータ分析はできる?

Excelは表計算ソフトとして広く利用されていますが、データ分析の機能も標準で搭載されており、分析ツールを使わずとも手軽にデータ分析が可能です。

たとえば、並べ替えやフィルター、ピボットテーブル、グラフなどの基本機能を活用するだけでも、売上や在庫データの傾向、異常値、相関関係といった重要な情報を視覚的に把握できます。

標準機能だけでなく、「分析ツール」と呼ばれるアドインを使うことで、より高度な分析も簡単に可能。アドインはExcelにプリセットされているもので、特別な関数やプログラミングを使わずに、クリック操作と数値入力だけで回帰分析や分散分析などを実行できます。

売上傾向の把握や購買金額の分布などの結果をもとに、販売戦略の改善やマーケティング施策の見直しに活かすことも可能です。

Excelでデータ分析を行うメリット

Excelでデータ分析を行うメリットは主に以下4点です。

  • 導入ハードルが低い
  • 複数の分析手法が標準搭載されている
  • コストを抑えられる
  • 分析結果のグラフ出力・編集が簡単

複数の分析手法が標準搭載されている

Excelには、データ分析に必要なさまざまな手法が標準で備わっており、ソフトなどを使用しなくても、簡単に分析を始めることができます。

後ほど分析手法については紹介しますが、基本的な統計量の計算や回帰分析、ヒストグラムの作成など、様々な分析が可能。アドインを有効にするだけで利用できます。

操作も直感的で、データを入力し、分析手法を選択するだけで結果が得られるため、初心者の方でも使用できます。また、分析結果は自動的に表やグラフとして表示されるため、視覚的にも理解しやすく、ビジネスの現場で即座に活用することができます。

コストを抑えられる

Excelで分析する際、新たに分析ソフトを購入する必要がありません。そのため、初期投資を抑えてデータ分析を始めることができます。

また、Excelは多くの人が日常的に使用しているツールであるため、すぐに分析作業に取り組むことができます。つまり、社内で活用する際も教育コストや時間を節約でき、業務の効率化にもつながるのです。

クラウド版も提供されており、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能です。ただし、アプリ版に比べて使用できる機能には制限があるため、注意しましょう。

分析結果のグラフ出力・編集が簡単

Excelでは、分析したデータを視覚的にわかりやすく伝えるためのグラフ作成機能が充実しています。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど、様々なグラフを作成することができます。

以下は実際にExcelで作成したグラフの例です。

データを選択し、挿入タブからグラフを選ぶだけで、自動的にグラフが生成されます。また、グラフは元のデータと連動しており、データを更新すればグラフも自動的に反映されるため、常に最新の情報を視覚化可能。

グラフのデザインや色、フォントなども自由にカスタマイズでき、プレゼンテーション資料や報告書の作成にも最適です。

導入ハードルが低い

Excelは、導入ハードルが低い点もメリットです。特に「ソルバー機能」を使えば、難しい数理最適化の問題も、専門知識がなくてもある程度解くことができます。

通常こうした分析には、高度なツールやプログラミングスキルが必要とされますが、Excelならマウス操作だけで設定ができ、関数やマクロの知識がなくても扱えるのが強みです。普段から使い慣れている人も多く、新しいソフトを覚える手間がいらないため、導入のハードルが非常に低いのです。

簡単な課題の試行や、小規模な最適化には十分対応できます。費用もかからず、すぐに使い始められるので、ビジネスの現場でも「まず試してみる」には最適なツールと言えるでしょう。

Excelでデータ分析を行う際の注意点

Excelでのデータ分析はメリットだけではありません。ここでは注意点を2つ紹介します。

  • 膨大な量のデータ分析はできない
  • 標準搭載の分析手法以外の実施が難しい

膨大な量のデータ分析はできない

Excelは身近で使いやすいツールですが、大量のデータ処理には向いていません。Excelの最大行数は理論上104万行超ですが、数万行を超えるデータを扱うと、動作が遅くなったり、保存やフィルタの処理中にフリーズすることがあります。

特に、複雑な関数やグラフを併用している場合、ファイルの読み込みや計算に時間がかかるため、ストレスやミスの原因になることもあります。また、処理が重いことでファイルが破損するリスクもあり、安定性という面でも注意が必要です。

大量のデータを扱う場合は、

  • Power BI
  • Access
  • Python
  • R

など、より大規模処理に適したツールの利用を検討することが重要です。Excelはあくまで「中小規模のデータ」に適したツールであると理解しておきましょう。

標準搭載の分析手法以外の実施が難しい

Excelにはアドイン機能があり、回帰分析やヒストグラム、分散分析など、基本的な統計処理を行う15種類の手法がプリセットされています。しかし、それ以外の高度な手法である因子分析や主成分分析、クラスター分析などは、標準機能で搭載されていません。

そのため、標準で搭載されていない分析を行いたい場合は、自分で複雑な関数を組むか、VBAというプログラミング機能を使って手動で処理を組む必要があります。

ただし、機械学習やAI、VBAは専門的な知識が必要なため、初心者にはハードルが高いのが実情です。手軽に分析を行いたい場合は、RやPython、もしくはSPSSなどの専用分析ソフトを使うほうが効率的です。Excelは簡単に扱える反面、分析手法の選択肢が限られている点を理解しておく必要があります。

また、高度な分析を行いたい場合は、以下の記事でやり方を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

データ分析の手法16選|種類・目的別にポイント解説

Excelを用いたデータ分析のやり方

ここからは、Excelを用いたデータ分析の方法を以下3つのステップで画像付きで解説します。

  1. STEP0. 「分析ツール」機能をオンにする
  2. STEP1. Excelで分析したいデータを用意する
  3. STEP2. データ分析を実行する

STEP0.「分析ツール」機能をオンにする

ここでは、Mac版のExcelの操作方法を説明します。

まずはExcelの画面を開きます。以下の画面が初期画面です。

次に画面上部にある「ツール」を選択し、「Excelアドイン」を選択。

Excelアドインを選択すると、下記画面のように「分析ツール」にチェックを入れて、OKを押せばセット完了です。

なお、分析ツールが有効になっているか確認する場合は、データタブをクリックして、画面右上に「データ分析」と出ているか確認してみましょう。

こちらで解説しているExcel画面はMacでの操作方法ですが、Windowsの場合は、以下の公式サイトからやり方を確認してみてください。

Excel 2016 で分析ツールを読み込む

STEP1.Excelで分析したいデータを用意する

分析ツール機能をオンにしたら、分析したいデータを用意しましょう。初めてExcelの分析を行う方は、練習用のデータを用意していますので、コピー&ペーストして色々な分析を試してみてください。

【売上管理表:分析練習用データ】

注文日商品名単価個数合計
2025/05/01ノート2003600
2025/05/01ペン1005500
2025/05/02消しゴム502100
2025/05/02ノート2004800
2025/05/02ノート20061,200
2025/05/03ペン1001100
2025/05/04消しゴム505250
2025/05/05消しゴム504200
2025/05/05ノート20051,000

このデータをExcelに貼り付けたら、まずは各列の意味を確認しましょう。「注文日」は販売日、「商品名」は販売した品目、「単価」と「個数」はその名の通りです。

分析を始める前に、データの並びが整っているか、空白や不要なセルがないかも確認しておくとスムーズに作業できます。

データの用意をするには適切なデータ収集ができなければいけません。以下の記事でデータ収集方法について解説していますので、あわせてご覧ください。

参照記事:データ収集の方法と分析への活用法を徹底解説(成果につなげるフレームワーク付き)

STEP2.データ分析を実行する

ノート・ペン・消しゴムの3商品で、「売上合計(=単価×個数)」に統計的な差があるかを調べてみましょう。これには「分散分析:一元配置」という分析手法を使います。

まずは「データ」タブから「データ分析」をクリックし、「分散分析:一元配置」を選んで「OK」Excel上部の「データ」タブをクリックします。

分散分析の画面で、入力範囲・データ方向、α(A)、出力先を指定して「OK」をクリックします。

わからない場合は、設定画面で以下のように入力しましょう。

入力内容(例)
入力範囲:商品別に売上合計を列に並べた表の範囲(例:ノート、ペン、消しゴムを縦に並べる)
グループ化:列ごと(商品別に列を用意)
ラベル:1行目を見出しにしていればチェック
α値:0.05(通常は5%の有意水準で問題ありません)
出力先:分かりやすいセルを選びましょう(例:E1セルなど)

Excelが自動で分散分析の結果を出力してくれます。

出力結果には、「P値」という数値が含まれており、ここが一番の注目ポイントです。

  • P値 < 0.05(α値)であれば、「3つの商品の平均売上合計には有意な差がある」

と判断できます

つまり、売上合計はどの商品も同じではなく、「どれかが明らかに高い or 低い」と言える状況です。
仮に、今回のデータでP値が0.03だった場合は、P値がα=0.05より小さいので、「ノート・ペン・消しゴムの売上合計には統計的な差がある」と判断できます。

Excelでできるデータ分析の手法一覧

Excelでできるデータ分析の手法について15種類の分析手法を解説します。

分析手法目的概要どのような時に使用するのか
分散分析グループ比較したい平均値の差を検定3つ以上のグループ間に差があるか知りたいとき
相関関係性を調べたい2変数の関係性を測定広告費と売上の関係を知りたい
共分散関係性を調べたい2変数の動きの方向を確認株価と為替の動きが同じか見たいとき
基本統計量データの傾向を把握したい平均・標準偏差などの要約統計データの全体傾向を把握したいとき
指数平滑時系列予測したい時系列の平滑化と予測売上データから今後の傾向を予測したいとき
F検定グループ比較したい2群の分散の差を検定男女の成績ばらつきが異なるか知りたいとき
フーリエ解析データの傾向を把握したい周期性のあるデータを数式で表現気温や波のような周期的変動を分析
ヒストグラムデータの傾向を把握したいデータの分布を可視化点数がどの範囲に集中しているか確認したいとき
移動平均時系列予測したい時系列の短期的なノイズ除去売上の滑らかなトレンドを見たいとき
乱数発生ランダムなテストをしたいランダムな数値を生成テスト用のダミーデータを作りたいとき
順位と百分位数ランク付け・順位を出したい順位や上位何%かを示す成績や営業成績のランキングを作成したいとき
回帰分析関係性を調べたい変数間の因果関係をモデル化広告費から売上を予測したいとき
サンプリングランダムなテストをしたい母集団から無作為抽出全データではなく一部から傾向を見たいとき
t検定グループ比較したい2群の平均の差を検定新旧の施策で売上に差があるか検証したいとき
z検定グループ比較したい標準正規分布を使った検定理論平均と実際のデータに差があるか知りたいとき

Excelは、分析初心者でも手軽に統計手法をできるツールです。まずは簡単なデータで操作に慣れて、徐々に応用的な手法へチャレンジしていきましょう。

実際にExcelを用いてデータ分析してみよう

最後は、実際にExcelを用いてデータ分析する方法を解説します。先述した練習用データを用いて、以下5つの分析手法を行なっていきます。

  • 集計(通常の関数や分析ツールの基本統計量)
  • 可視化(ヒストグラムなど)
  • 相関
  • t検定
  • 回帰分析

集計(通常の関数や分析ツールの基本統計量)

Excelでデータの傾向をつかむために行うべき分析が「基本統計量」です。平均・中央値・最小値・最大値・標準偏差など、データの「中心」や「ばらつき」「広がり具合」を示す指標をまとめて確認する作業です。

たとえば、今回のサンプル売上データにおける「売上」列に対して、指標を算出することで、どのくらいの売上が平均的で、最も高い売上と最も低い売上の差がどれくらいあるかなどが分かります。実行方法は、Excel上部の「データ」タブから「データ分析」を選び、「基本統計量」を選択。

あとは入力範囲の指定(「売上」列を指定します)と、出力オプションの入力をして、OKをクリックするだけ。

出力結果は以下のように「平均」「標準偏差」「最小値」「最大値」などが一覧で表示され、データの全体像を数値で把握することができます。

可視化(ヒストグラムなど)

次にヒストグラムの作成方法を解説します。今回はよりヒストグラムの可視化をわかりやすくように以下のデータ(小学校におけるテストの平均点)を使用して手順を解説します。

【使用するデータ】

No点数
162
288
368
496
566
662
756
870
972
1056
1160
1274
1369
1478
1582

まずは、どのように点数を区切って集計するかを決める必要があります。
それが以下の画像にある「点数区間と人数」の一覧です。
たとえば、以下の図の枠で囲っている部分ように数値を入力すると、「〜50点」、「51〜60点」・・「91~100点」という具合にデータ区間を分割することができます。

この「上限値(最大値)」の列をExcelに列記することで、Excelが自動的にこの範囲で集計してくれます。

これで準備は完了です。「データ」タブにある「データ分析」をクリックし、以下の図のような画面が表示されます。ここでは「ヒストグラム」を選択しましょう。

ヒストグラムの設定画面が表示されるので、入力範囲は点数部分を選択します。

次は、データ区間の分割方法を指定します。
ここでは「〜50点」「51〜60点」・・「91~100点」という具合にデータ区間を設定したいので、上限値(最大値)を記入した列を「データ区間」に指定します。

最後はヒストグラムを出力する場所を決めます。出力オプションにある「出力先」の欄に、配置するセルを指定。「グラフ作成」のチェックボックスをONにするとヒストグラムが出現します。

今回のデータでは、小学生のテストの点数は61点〜70点の範囲に集中しており、点数が高いほど人数が少なくなっていることが明らかになっています。
可視化は数字だけでは見えない特徴を「見える化」する力があり、分析初心者が理解しやすくなるため、活用してみてください。

相関

相関分析では、2つの数値項目の「関係の強さ」を数値で測ることができます。今回は以下のデータを使用して、気温とアイスクリームの売上個数に相関があるかを求めていきます。

アイスクリームAアイスクリームB平均気温(℃)
4月3215
5月5320
6月3426
7月121130
8月101532
9月8928
10月4622

まずはデータの入力されたExcelを開き、これまで同様に「データ」タブの「データ分析」から「相関」を選びます。

次に、「入力範囲」で分析するデータを指定します。今回であれば以下のように設定します。

  • 入力範囲:アイスクリームA・Bの売上個数、および平均気温の数値データ
  • データ方向:列
  • 先頭行をラベルとして使用にチェック
  • 出力先:任意

「OK」をクリックすると、相関係数の行列が表示されます。

この表を見れば、たとえば「平均気温とアイスクリームAの売上」「アイスクリームAとBの関係」といった項目間の相関係数が一覧で確認できます。
相関係数が +1に近いほど強い正の相関があり、0に近いほど無関係、-1に近いと逆の関係(気温が下がると売上が上がる等)を意味します。

t検定

t検定は、「2つのグループの平均に差があるか?」を統計的に検証する分析手法です。

たとえば「ノート」と「ペン」の売上平均に統計的な差があるかを調べたいとします。
その際、以下画像のように売上データを2列に並べた状態にし、「データ分析」→「t検定:2標本(等分散もしくは不等分散)」を選択します。

分析ツールで範囲とα値(一般的に0.05)を指定し、出力先を設定します。

OKをクリックすると、結果として「P値」が得られます。

このP値が0.05より小さい場合、「ノートとペンの売上には統計的に有意な差がある」と言えるのです。
たとえば、ペンの平均売上がノートより高くても、P値が大きければ「たまたまそう見えただけ」となります。

逆に、P値が小さければ「明らかに差がある」と判断できます。
この分析は、施策の前後や、店舗ごとの違い、ユーザー属性間の違いなどを数値的根拠として示すために有効です。

回帰分析

回帰分析は、ある変数を使って、別の変数(売上)を予測するための分析手法です。
Excelでは「データ分析」→「回帰分析」を使えば簡単に実施可能です。

今回のデータでは、Y(目的変数)に「合計」、X(説明変数)に「個数」を指定して回帰分析を行います。

出力される結果には「回帰係数」「切片」「決定係数」「P値」などが含まれます。

決定係数が高ければ、「売上合計は個数によってよく説明されている」ということになり、ビジネス的にも「もっと売上を上げるには、個数をどれだけ伸ばせば良いのか?」という問いに対するヒントが得られます。

また、P値が小さければ、「個数は売上合計に影響を与えている」と言える根拠になります。
この分析を行えば、「売上を左右している要因は何か?」を定量的に把握できます

まとめ

Excelは表計算ソフトにとどまらず、誰でも手軽に本格的なデータ分析が行えるツールです。
基本統計量による傾向把握から、相関や回帰分析による要因の特定、t検定によるグループ間の差の検証まで、幅広い分析がマウス操作だけで実行できます。

本記事で紹介したステップや手法を活用すれば、分析の初心者でも、実務に直結する気づきや改善ポイントを見つけることが可能です。
すでにExcelを日常業務で使用している方であれば、追加コストもかからずすぐに実践できるのが魅力。

まずは紹介した練習用データから取り組み、操作に慣れていくことで、より高度な分析にも自然と対応できるようになるでしょう。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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