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  • ソフトウェア開発や情報処理サービスを担うIT関連企業だけでなく、金融や不動産、商社など、あらゆる業種でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まっています。多くの企業がデジタル技術を活用した新たなビジネスモデル構築に取り組む一方、具体的な施策がわからずに悩む方も少なくありません。

    本コラムでは、まずDXのこれまでの変遷を振り返り、そのうえでDX推進に成功した企業の事例を紹介します。また、そこから見えるDX推進に必要な要素にも触れていきます。

    DXにまつわるこれまでの潮流

    デジタル技術を用いて業務に変革をもたらし、収益性の改善、ビジネスモデルの転換を目指す取り組みである「DX」。世界で初めてDXを提唱したのは、スウェーデン ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授らだと言われています。

    2004年に発表された論文のなかで、同教授はDXを「人々の生活のあらゆる側面に、デジタル技術が引き起こしたり、影響を与える変化のこと」と定義しました。

    また経済産業省は、2022年9月に発表した「デジタル・ガバナンスコード2.0」において、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しました。現在、広く使われるDXという言葉は、経産省の解釈により近いものと言えるでしょう。

    DXという概念が誕生してから今にいたる過去20年あまりを振り返ると、企業を含む日本社会全体が、発展した各種デジタル技術を活用することにより、かつてなかった変容を遂げています。

    以下では、「IT革命」という言葉が広く社会に認知された2000年以降を中心に、DXがどのような変遷を辿ってきたかをご紹介します。

    DXの変遷

    2000年代初頭|DXという概念の誕生

    90年代後半のインターネット普及を受け、2000年前後からはEコマース(EC)をはじめとしたオンライン取引が急速に拡大しました。顧客との新たな関係構築が求められるなか、CRM(顧客関係管理)などの業務システムが普及し始めたのもこの時期です。Amazonや楽天といったEC企業が成長し、従来の店舗販売にとらわれないビジネスモデルが注目されました。

    2010年代|クラウドとビッグデータ解析の隆盛

    2010年代に入り、AWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)などクラウドコンピューティングの進化やビッグデータ解析技術(Hadoop、Sparkなど)が台頭。大量のデータを活用した機械学習が進み、AmazonやNetflixなど、個々人に合わせたレコメンドサービスが一般化しました。企業がDXを本格的に進めるための土台が整った時代と言えます。

    2020年〜現在|生成AIとIoTの発達

    新型コロナウイルス感染症の拡大によるリモート化の流れも相まって、DXはさらに加速しました。生成AIやIoT、デジタルツインなどの新技術が次々と登場し、これまでにないスピードで新しいビジネスモデルが生まれています。

    ここまで解説した通り、たった20年ほどの間にさまざまなデジタル技術が加速度的に進化してきました。スピーディに変化し続ける社会では、業務内でのデジタル活用が成功した企業、そうでなかった企業との“明暗”もより明らかになっていきます。

    DX化で躍進を遂げた企業の事例

    激流とも呼べる社会全体のIT化の流れのなかで、デジタルをうまく活用し、既存のビジネスモデルを変革して新たな価値を生み出すことに成功した企業は多くあります。

    Uber|利用者とドライバーのリアルタイムマッチング

    UberはDXにより、従来のタクシー業界が抱えていたさまざまな制約を乗り越え、高い顧客満足度と効率的な移動体験を実現した企業です。

    Uberの取り組み

    • 最適な配車
      GPSとアルゴリズムにより、利用者とドライバーを瞬時にマッチング。待ち時間を短縮すると同時に、効率的な稼働を実現しました。
    • 需要予測と供給最適化
      機械学習を用いて需要を予測。道路の混雑やイベント時の急増にも柔軟に対応し、無駄なドライバー配置を削減しています。
    • 透明性の向上
      乗車前の料金見積もり、到着予定時刻を可視化。相互評価システムによりサービス品質を維持し、利用者の安心感も高めました。

    Uberはスマートフォンとビッグデータを核として、人の移動のあり方を根本から変革し、新たな都市交通のスタンダードを確立しました。

    Netflix|DVDレンタルからストリーミングサービスへ

    Netflixは、店舗と在庫に依存する従来のレンタルビデオ店のビジネスモデルを革新し、ストリーミング配信サービスによって大きな成功を収めました。

    • 運営コスト削減と利便性
      店舗や在庫の維持が不要となり、運営コストを大幅にカット。また、利用者は好きなタイミングでコンテンツを楽しめる環境が整いました。
    • データ分析・レコメンド機能開発の徹底
      視聴履歴や行動データを分析し、パーソナライズしたレコメンドを実現。顧客満足度を向上させると同時に、独自コンテンツの制作にも活用しています。

    従来のレンタルビデオ店の制約を取り払い、テクノロジーを活用した新しいビジネスモデルを構築した同社。顧客に対しより高い価値を提供しつつ、効率的な運営を実現し、エンターテインメント業界に革命をもたらしました。

    参考:
    1億人を虜にするNetflixに隠された、レコメンド機能のアルゴリズムの秘密|WorkshipMAGAZINE
    今すぐ知りたいDXの基礎|日経BP

    Walmart|日用品の買い出しをデジタル化

    Walmartは、家電製品や食品購入用アプリの統合による非接触型サービスや、有料会員制プログラムによる当日配送サービス無制限利用など、DXによる顧客体験の向上に努め、業績を大きく向上させました。

    Walmartの成功要因

    • 利便性の向上
      オンライン・グローサリー・ピックアップ(OGP)を構築し、顧客がオンラインで注文し、店舗で受け取るサービスを展開。商品を冷蔵庫内まで配達するサービスなどデジタル技術を活用し、安全性と信頼性を確保しながら新しい顧客体験を創出。
    • 業務効率化
      ロボットによる在庫確認や商品補充作業の自動化、従業員用アプリの導入により、業務効率を大幅に向上。
    • データ分析とAIの活用
      顧客の購買パターンを分析し、パーソナライズされた推奨商品やオファーを提供。また機械学習を用いた需要予測と価格最適化を実現。

    Walmartは、物理的な店舗網という従来の強みを持ちつつ、デジタル技術を積極的に導入することで、オンラインとオフラインを融合した小売業の新たな形を築きました。

    参考記事:
    ウォルマートが生成AI導入へ 定型業務を効率化、創造的業務に注力|日経ビジネス
    米ウォルマートの好調支える「ネット注文・店舗受け取り」を密着取材|日経ビジネス
    今すぐ知りたいDXの基礎|日経BP

    DXに成功する企業の共通点

    DX化に成功する企業に共通する特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。企業文化、組織体制、従業員のスキルやマインドといった3つの切り口で解説します。

    DXに成功する企業の共通点

    1.企業文化

    顧客価値を最優先に考える

    DXに成功する企業では、顧客価値を最優先に考える文化があります。デジタル技術の導入そのものを目的とせず、顧客のニーズや課題を深く理解し、それらを解決するためにデジタル技術をどう活用できるかを考えているのです。

    また、顧客からのフィードバックを積極的に取り入れ、製品やサービスを継続的に改善する姿勢も備わっています。顧客中心の文化が、本当に価値のあるDXの実現につながっています。

    失敗を学びにつなげる

    新しい技術やビジネスモデルの導入にはリスクが伴いますが、DXを成功させうる企業は、そもそも失敗を「学びの機会」として捉えています。小規模な実験を繰り返し、失敗から得た教訓を次のプロジェクトに活かす「フェイルファスト(早期に失敗し、重要な学びを得て素早く改善を行うこと)」の考え方を採用しています。また、失敗を個人の責任とせず、組織全体で共有し改善につなげようとする姿勢も見られます。

    失敗を許容し次につなげるマインドがDXを成功へと導くと言えます。

    2.組織体制

    部門横断で連携する

    デジタル化は全社的な取り組みであり、IT部門だけでなく、営業、マーケティング、人事など、あらゆる部門が協力して取り組まなければなりません。DXを進めるためには、部門を超えた情報共有や意思決定が必要なのです。

    DXの成否は、デジタル戦略を全社で共有し、各部門がそれぞれの役割を理解したうえで、一丸となってDXに取り組む体制が整っているかどうかにかかっていると言えます。

    明確な旗振り役を立てている

    DXという、いまだかつてない取り組みを進めるためには旗振り役が求められます。皆それぞれの定常業務を抱えるなかでDXに取り組むため、業務がひっ迫した時にもプロジェクトが停滞しないよう、主体となって推進する人が必要です。

    旗振り役を担う人は、デジタル技術の可能性を深く理解し、それを事業戦略に結びつける能力が求められます。

    3.スキル・マインド

    全社的なデジタルリテラシーの底上げに取り組む

    DXは、旗振り役の部門がデジタル技術に対する理解を深めることと、全社的なデジタルリテラシーを底上げすることの両軸が必要です。高度なデジタル技術は、それを実運用する現場の社員が活用することではじめて価値を発揮します。

    技術者だけでなく経営層や現場の従業員も含め、デジタル技術の基本的な概念や可能性を理解することも、DX推進を成功させるための大事な要素です。

    変化に前向きな姿勢を持っている

    DXに成功する企業では、特定のメンバーのみならず、従業員全体がデジタル技術を理解し、積極的に活用しようとする意欲が高い傾向にあります。

    デジタル技術の活用を評価や報酬に反映させるなど、従業員のデジタル活用意欲を高める組織変革も、DX成功の重要な要素です。社員一人ひとりのモチベーションに依存するのではなく、組織としても大きな変革が求められます。

    リベルクラフトのDX研修サービス

    DXはひとつの施策を実施して終わるものではありません。常に新たな課題を発見し、改善を重ねる継続的な取り組みです。

    リベルクラフトでは、企業のDX推進をトータルで支援する研修プログラムを提供しています。現在、3つの講座を通じて企業のDXを支援しています。

    • DXリテラシー講座
      eラーニング形式でDXの基本定義からアナリティクス、生成AIまで網羅的に学習できます。
    • DXワークショップ講座
      自社の事業を想定したワークショップを対面で実施し、具体的なDXプロジェクト企画につなげます。
    • DXスキル育成講座
      自社が実現したいことを実現するための技術を習得する講座です。

    お客様の状況に合わせて、各種研修プログラムを通じてDXをサポートいたします。詳しくはサービス詳細ページをご覧ください。

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