目次
2:人材事業の求人マッチングでよくある問題
- 営業担当者がマッチングに多大な工数を費やしてしまう
- 営業担当者が把握している範囲でのマッチングに終始してしまう
- マッチングの精度が営業担当者に依存する
3:AIを活用して求人案件のマッチング工数を大幅削減した事例
- 抱えていた問題
- 問題解決のための取り組み
- 挙げられた成果
4:AIマッチングを活用しやすい業界
- 不動産業界
- 金融業界
- EC業界
昨今、AIマッチングを活用することで、業務プロセスの効率化やマッチング精度の向上を実現する企業が増えています。
AIは膨大なデータを学習することで、高精度なマッチングを実現できます。
マッチングサービスにおいて、マッチングの精度は収益に大きな影響を与えます。
本コラムでは、「人材事業の業務フローにAIを導入したい」「営業活動をAIで効率化したい」と考えている方に向けて、人材領域におけるAIマッチングとは何か、どのようにしてAIマッチングを活用できるのかを解説します。
AIマッチングとは
AIマッチングとは、人工知能(AI)を活用して、異なるもの同士を最適にマッチングする仕組みのことです。
AIは、データベースに格納されている膨大なデータを解析し、最適なマッチングを行います。
これにより、アナログな手法では実現し得ないほどの選択肢を抽出することで、精度の高いマッチングを実現します。
近年、以下のような場面で用いられることが多くなっています。
- 求人案件と候補者のマッチング
双方の要望をもとに、候補者と募集企業を引き合わせる - 不動産購入・賃貸の仲介
物件を探している人の要望に沿った物件を抽出して紹介する - 投資家と投資商品の提案
個々のリスク許容度や投資目標に基づいて、最適な金融商品を提示する - 婚活やパートナー探し
双方の要望に合った相手と引き合わせる
マッチングサービスの収益性を上げるためには、マッチングの「質」と「量」を高めることが不可欠になってきます。
AIマッチングにおける「質」の向上とは、単純なキーワードマッチングを超え、スキルの相関や過去の成功事例をもとにデータ解析を行い、より精度の高いマッチングを生み出すことを指します。
一方、「量」の向上は、AIの高速処理能力によってもたらされます。膨大なデータを短時間で処理し、リアルタイムでマッチング結果を提供することで、手作業では不可能な規模での対応が可能になります。これにより、求人、物件情報、商品、サービスなど、多様な分野で利用者の選択肢が拡大します。
AIマッチングは、学習データが増えれば増えるほど進化するという特徴があります。新たなデータが追加されるたびに学習し、より精度の高い提案ができるようになります。
人材事業の求人マッチングでよくある問題
人材事業でAIマッチングを利用せず、手作業でマッチングを行なっている場合、以下のような問題が発生します。
営業担当者がマッチングに多大な工数を費やしてしまう
手動でマッチングを行う場合、マッチング件数が営業担当者の能力や人数に依存してしまいます。そのため、営業の対応キャパシティ以上の求人案件と人材情報を受け取ったとき、マッチングし切れない懸念があります。
すべての求人案件と人材情報に対応しきれないということは、マッチング事業においては収益機会の損失に直結します。また、契約したにもかかわらず紹介がないと、募集企業、候補者ともに離反に繋がる恐れもあります。
営業担当者が把握している範囲でのマッチングに終始してしまう
手動でマッチングをおこなっていると、営業担当者が把握している範囲内でのマッチングに終始してしまいます。その場合、本来マッチングできたはずの候補者や募集案件を見逃すリスクが高まります。
特に、新しい市場における募集案件や、特殊なスキルセットを持った人材を担当する際、担当者の知識や経験に依存することで、多様な選択肢が十分に活用されない可能性があります。
マッチングの精度が営業担当者に依存する
営業担当者の経験やスキルには個人差があり、手動での対応ではマッチングの精度が営業担当者の力量に依存してしまいます。熟練した担当者は適切な提案が可能でも、経験が浅い担当者は候補者の適性やクライアントのニーズを見誤る可能性があります。
マッチング精度が営業担当者によって異なることにより、「本来100件面談ができたのに、80件の面談で終わってしまう」というような状況が発生してしまいます。これは営業担当者および営業部門のKPIにも関わる問題で、組織的な改善が必要です。
AIを活用して求人案件のマッチング工数を大幅削減する事例
ここからは、AIを活用して求人案件のマッチング工数を大幅削減する事例をご紹介します。
抱えていた問題
AIマッチングを活用した結果、候補者と募集案件のマッチング工数を大幅に削減する事例をご紹介します。
SES(システムエンジニアリングサービス)事業を提供するような会社にて、1日に大量に届く候補者・募集案件に関するメールを営業担当者数人で処理しなければならない状況を想定しましょう。
案件の量が多く、営業担当者がすべてのメールを確認してマッチングすることはできません。また、経験が浅く、業界に明るくない営業担当者が「そもそも当社にはどのような人材がいるのか」「この求人であれば、どの人をマッチングさせると要件に合うのか」を理解するには時間が必要です。
そこで、当社のサービスを通じて、マッチングにかかる工数の削減とマッチング精度の向上を実現することができます。
問題解決のための取り組み
以下の取り組みによって、候補者と募集案件のAIマッチングを実現して営業活動を効率化します。
1.候補者・案件データの収集と整理
まず、候補者情報のデータ化、案件情報の構造化、データ品質の確保から取り組むことができます。
- 候補者情報のデータ化
スキルセット、経験年数、資格、勤務地希望、稼働可能時期などをデータベースに登録 - 案件情報の構造化
募集要件(必要スキル、業務内容、勤務地、契約条件など)を整理し、検索可能な形式に変換 - データ品質の確保
入力内容の標準化を通じて情報の重複や欠損を防止。データ更新作業も定期的に実施
2.類似度スコアリング
次に、候補者と案件の情報を基に、類似度のスコアリングを実施します。
- AIマッチングによるスコアリング
候補者と案件の情報を基に、(それらがどの程度似ているかという)類似度を数値化
参考にする情報
・技術スキル(プログラミング言語、ツールの習熟度など)
・業務経験(類似案件の経験、業界知識など)
・勤務条件(希望勤務地、稼働可能時期など)
・ソフトスキル(コミュニケーション能力、チーム適性など) - 成功事例のフィードバック活用
過去の成約データを分析し、どのような条件がマッチング成功に寄与したかを学習させる
3.候補者と案件の推薦リスト作成
ユーザーが利用できるようなWebアプリまで構築することで、候補者と案件のマッチングを実業務に落とし込むことが可能になります。
- ランキング表示
スコアリング結果に基づき、候補者と案件をマッチング度の高い順に並べて営業担当者に提示 - 優先度の明確化
営業担当者が効率よく提案できるよう、推薦結果に優先順位をつける - 類似度の補足情報
選定理由(例:「Python経験3年以上」「金融業界でのプロジェクト経験」など)を具体的に表示する
挙げられる成果
AIの導入を通じて、業務負荷の削減、マッチング精度の向上に寄与することができます。
- 業務負荷の削減
営業担当者のマッチング作業時間を約3分の1に削減 - マッチング精度
マッチング精度が上がり、成約率が約20pt向上
また、プロトタイプで作ったWebアプリを本格ツールへと展開し、営業担当者が利用する実業務支援までに至ることができます。
人材業界では、ほかの会社もAIマッチングの導入によって業務効率化を進めています。総合人材サービスを展開するアデコ株式会社は、人材派遣事業におけるマッチングシステムを刷新し、派遣登録者と企業のマッチングに要している時間を約8万時間削減すると見込んでいます。
AIマッチングを活用しやすい業界
AIマッチングは、データが豊富かつ、多様な要素を考慮して迅速に判断する必要がある業界では特に有効活用できます。
AIマッチングは、人材業界以外では以下のような業界で活用されています。
不動産業界
物件情報と購入者・借り手の希望条件を照らし合わせる不動産業界でも、AIは強力なツールです。
価格帯、地域、間取りといった条件に基づき、膨大な物件情報を整理します。顧客の行動データを活用し、最適な物件を個別に提案できます。
金融業界
個人や企業のニーズに合った金融商品や融資プランの提案も、AIマッチングで進化しています。
AIが信用スコアやリスク許容度、投資の嗜好を学習することで、顧客に最適な商品を提示できます。無数に存在する金融商品のなかから最適なものを提案するには、営業担当者の高度な商品理解・経済への理解が求められますが、AIを活用することでそれらを補うことができます。
EC業界
オンラインショッピングでは、AIマッチングによるレコメンドによって売上と満足度の向上を実現しています。顧客の年齢や性別、居住地といった属性情報と、これまでの購入履歴や閲覧履歴といった行動情報をもとに、興味関心に合った商品を提案します。
レコメンドと検索の精度は、ECサイトにおける顧客体験を決定づける重要なものです。サービスの根幹を支える機能として、AIが活発に利用されています。
コンサルティング・受託開発支援サービスの紹介
AIマッチングを活用すると、コスト低減と収益拡大という利益を上げるうえで重要な要素の両面にアプローチできます。AIは膨大なデータを解析し、最適な相手や選択肢を提案できることから、さまざまな業界で活用されています。
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