DeepSeekとは何か?性能・危険性・商用利用と業務での使い方を解説

「DeepSeek(ディープシーク)という中国発のAIが安いと話題だが、自社の業務で使って問題ないのか判断できない」という方も多いでしょう。

DeepSeekは高い性能と低コストで注目を集める一方で、日本の個人情報保護委員会が利用に注意を促すなど、データの扱いをめぐる懸念も指摘されています。「使ってみたいが、機密情報を入力して大丈夫なのか」という不安から、導入に踏み切れない担当者は少なくありません。

そこで本記事では、

  • DeepSeekとは何か(提供元とモデルの種類)
  • DeepSeekの何がすごいのか(性能と低コスト)
  • 危険性と安全性、商用利用の可否
  • 業務で使う際の判断基準と、機密情報を守りながら活用する方法

についてわかりやすく解説します。業務でのAI活用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

DeepSeekのようなオープンなAIモデルを、社内の機密情報を外に出さずに使いたいという方はリベルクラフトへご相談ください。 ⇨リベルクラフトのローカルAI環境構築支援の詳細はこちら

DeepSeekとは何か

DeepSeek(ディープシーク)とは、中国のAI企業が開発・公開している大規模言語モデル、およびそれを使ったチャットサービスの名称です。まずは提供元とモデルの種類を確認します。

提供元と成り立ち

DeepSeekは、中国・杭州に拠点を置くAI企業「杭州深度求索(DeepSeek)」が開発しています。同社は2023年に設立され、汎用人工知能(AGI)の実現を目標に掲げてモデルの研究開発を進めてきました(参考:SHIFT AI TIMES)。

2025年1月に推論特化モデル「DeepSeek-R1」を公開したことで、世界的に大きな注目を集めました。米国の主要AI企業のモデルに匹敵する性能を、より少ない開発コストで実現したと伝えられ、AI関連銘柄の株価が一時的に大きく下落する、いわゆる「DeepSeekショック」と呼ばれる出来事も起きています(参考:AI総合研究所)。

DeepSeek-V3とDeepSeek-R1の違い

DeepSeekには複数のモデルがあり、代表的なものが「V3」と「R1」です。用途が異なるため、違いを押さえておくと選びやすくなります。

モデル位置づけ得意分野
DeepSeek-V3汎用型の大規模言語モデル文章作成、要約、翻訳、一般的な質問応答
DeepSeek-R1推論特化型モデル(V3がベース)数学、コーディング、論理的な思考が必要な問題

V3は幅広い業務を一通りこなせる汎用モデルで、R1はV3をベースに数学やコーディング、論理推論といった「じっくり考える」タスクに強くしたモデルです(参考:GPT Master)。どちらもモデルの重み(学習済みのデータ)が公開されており、後述するように自社の環境で動かすこともできます。

DeepSeekの何がすごいのか

DeepSeekが短期間で注目された理由は、大きく「性能」と「コスト」の2点にあります。ここではそれぞれを整理します。

主要モデルに迫る性能

DeepSeek-R1は、数学やプログラミング、論理推論といった難易度の高いベンチマークで、米国の主要な推論モデルに匹敵する結果を示したと報告されています(参考:GPT Master)。これまで一部の大手企業だけが到達していた性能水準に、後発の企業が近づいたことが驚きをもって受け止められました。

開発・利用コストの低さ

もう一つの特徴が、コストの低さです。DeepSeekはAPI(外部のプログラムからモデルを呼び出す仕組み)の利用料金が、他社の主要モデルと比べて低い水準に設定されており、同等の処理をより安く実行できる点が評価されています(参考:CloudZero)。ただし、API料金は提供元の判断で改定されるため、実際に利用する際は公式ドキュメントで最新の価格を確認することをおすすめします。

例えば、大量の文章を要約したり、社内の問い合わせ対応を自動化したりする用途では、処理するデータ量に応じて費用がかさみます。同じ処理でも単価が低ければ、運用コストを抑えやすくなります。この「性能と低コストの両立」が、DeepSeekが業務利用の候補として挙がる理由です。

DeepSeekの2026年最新動向

DeepSeekは動きの速いトピックで、2026年に入ってからも新しいモデルの公開や価格改定が続いています。導入を検討する際は、V3・R1公開時点の情報だけでなく、直近の動きも押さえておく必要があります。

DeepSeek-V4-ProとV4-Flashの公式リリース

2026年7月31日に軽量・低コスト版の「DeepSeek-V4-Flash」が正式版として公開され、続く8月13日には上位モデル「DeepSeek-V4-Pro」が正式公開されました。V4-Proは総パラメータ数が1.6〜1.7兆規模のMoE(Mixture of Experts)構成で、コンテキスト長は100万トークン、最大出力は384Kトークンに達すると報じられています。V3・R1と同様にMITライセンスで提供されており、商用利用の枠組みは維持されています(参考:PC Watch)。

DeepSeekモデルの歩み(R1公開からV4-Pro公開、API料金改定までのタイムライン)

ただし、公式発表のベンチマークスコアと第三者による実測値には無視できない開きがあるとの指摘もあり、性能数値は割り引いて評価する姿勢が求められます。

API料金改定と性能評価の見方

DeepSeekの強みだった低価格路線にも変化が出ています。2026年8月16日以降、API料金は出力トークンの単価が引き上げられ、日本の主な業務時間帯を含むピーク帯では改定前の4倍を超える水準になったと報じられています(参考:AI革命株式会社メディア)。「安いから使う」という判断だけでなく、用途や利用時間帯に応じたコスト試算が必要になってきています。

こうした値上げにより、他社の主要モデルとの価格差は縮小しつつあります。DeepSeekを選ぶ理由を「コストの低さ」だけに置いている場合は、最新の料金体系を確認したうえで改めて比較検討することをおすすめします。

DeepSeekの危険性・安全性

性能とコストの魅力がある一方で、DeepSeekには業務利用の前に理解しておくべき懸念があります。ここが最も判断を左右するポイントです。

入力したデータがどこへ行くか

DeepSeekの公式アプリやWebサービスを使う場合、入力した情報はDeepSeek社のサーバーに送信されます。日本の個人情報保護委員会は2025年2月3日、DeepSeekのプライバシーポリシーについて、取得された個人情報を含むデータが中華人民共和国内のサーバーに保存され、そのデータには中国の法令が適用されると説明し、利用に注意を促しました(参考:個人情報保護委員会)。

懸念されているのは、中国の国家情報法などの法令のもとで、政府機関がデータの提供を求められる可能性がある点です(参考:日本経済新聞)。つまり、入力した情報が想定外の形で第三者に渡るリスクがゼロではない、という指摘です。

利用規約と学習利用の不透明さ

もう一つの論点が、入力したデータがモデルの学習(AIの改善のための再利用)に使われるかどうかです。専門家からは、プライバシーポリシー上、学習への利用範囲やデータの保存期間が明確に示されておらず、実質的に長期間保管され得るという指摘があります(参考:日経クロステック)。

こうした懸念を受け、日本政府はデジタル庁を通じて各省庁にDeepSeekなど生成AIの業務利用に関する注意喚起を行いました(参考:ITmedia NEWS)。一律の禁止ではなく、利用の可否は各機関が判断するという位置づけですが、機密情報を扱う組織では慎重な対応が求められています。

実際に利用を制限・禁止した組織の事例

懸念は指摘だけにとどまらず、実際に利用を制限する組織も出ています。トヨタ自動車は2025年2月、設計図面や製造プロセスなどの技術情報が中国のサーバーに保存されるリスクを踏まえ、情報セキュリティの観点から社内でのDeepSeek利用を全面的に禁止したと報じられています。ソフトバンクも社内からのアクセスを規制し、業務用端末でのダウンロード・利用を禁止する対応を取りました。台湾では、国家安全保障を理由に政府機関でのDeepSeek利用を全面禁止しています(参考:日本経済新聞)。

また2025年1月には、セキュリティ企業Wizの調査により、DeepSeekが利用するデータベースの一部が認証なしでインターネット上に公開されており、ユーザーのチャット履歴やAPIキーなどのログ100万行超が外部から閲覧できる状態になっていたことが発覚しました(DeepSeek側は発見から1時間程度で公開状態を解消したと報じられています。参考:innovatopia.jp)。「中国の法令の適用」という制度上の懸念に加え、こうした運用面での事故も実際に起きている、という事実は押さえておく必要があります。

これらは「DeepSeekというAIそのものが危険」という話ではなく、「公式のクラウドサービスに情報を送ると、その情報の管理が中国の法令下に置かれ、かつ運用上のトラブルも起こり得る」という点への注意である、と整理して理解しておくことが大切です。

ここまでDeepSeekの危険性について解説しましたが、「便利なAIは使いたいが、社内の機密情報が外部のサーバーに渡るのは避けたい」という方は、リベルクラフトへご相談ください。

リベルクラフトでは、DeepSeekのような公開モデルを含め、生成AIを自社の閉じた環境の中で動かす仕組みを構築できます。ただ外部サービスを利用するだけでなく、インターネットに接続しないオンプレミス環境や、扱ったデータを学習に使わない構成で組めるため、情報を外に出さずにAIを活用できます。

以下のリンクからまずは詳細をチェックしてみてください。

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DeepSeekは商用利用できるか

危険性の話とあわせて誤解されやすいのが、「商用利用できるのか」という点です。ここは規約とライセンスを分けて考える必要があります。

モデルはMITライセンスで公開

DeepSeekが公開しているモデル(V3やR1など)は、MITライセンスという条件で提供されています。MITライセンスとは、著作権表示を残すことを条件に、無償での商用利用・改変・再配布を広く認めるオープンソースのライセンスを指します(参考:Octoparse)。つまり、モデル自体を自社のサービスに組み込んで商用で使うことは、ライセンス上は認められています。

ただしMITライセンスは「無保証」で提供されるため、利用や改変によって生じた問題について、開発元は責任を負いません。品質や安全性は利用する側が確認する前提になります。

DeepSeekの使い方は大きく3通り

商用利用を考える前に、DeepSeekを使う経路が複数あることを押さえておくと整理しやすくなります。使い方は大きく次の3通りに分かれます。

  • 公式のWebサービス・スマートフォンアプリ:アカウントを登録すればすぐに対話形式で使えます。手軽ですが、入力した情報は提供元のサーバーに送られます
  • API連携:自社のシステムやツールからプログラム経由でモデルを呼び出します。業務システムへの組み込みに向きますが、データは同じく外部に送信されます
  • 公開モデルの自社利用:公開されているモデルを、自社のサーバーやパソコンにダウンロードして動かします。データを外部に送らずに済みます
DeepSeekの3つの使い方とデータの行き先(公式Webサービス・API連携・自社環境利用の比較)

このうち手軽さで選ぶなら公式サービスやAPI、情報管理を重視するなら自社利用、という関係になります。

「公式サービスの利用」と「モデルの利用」は別

ここで区別したいのが、「DeepSeekの公式アプリ・APIを使うこと」と「公開されたモデルを自社環境で使うこと」の違いです。前者はデータが提供元のサーバーに送られるため、前述のデータ管理上の懸念が残ります。一方の後者は、MITライセンスのもとで自社のサーバーや閉じた環境にモデルを設置して動かせるため、データを外部に送らずに済みます。

商用利用が可能かどうかだけでなく、「どこで動かすか」によってリスクが大きく変わる、という点が業務判断の分かれ目になります。

業務で使う際の判断基準

これらを踏まえ、DeepSeekを業務に取り入れるかどうかは、次の観点で整理すると判断しやすくなります。

扱う情報の機密度で使い分ける

まず、AIに入力する情報の機密度を基準にします。社外に公開しても差し支えない情報であれば、公式サービスの利用も選択肢になります。一方で、顧客情報や設計データ、社内の非公開文書など、外部に出せない情報を扱う場合は、公式のクラウドサービスに入力することは避けるべきです。

クラウド利用か、自社環境での構築か

機密情報を扱いながらDeepSeekの性能を活かしたい場合は、公開モデルを自社の環境に設置して動かす方法が現実的です。この方法であれば、入力したデータが外部に送信されず、中国の法令が適用される心配もありません。判断の流れを整理すると、次のようになります。

DeepSeek業務利用の判断フロー(扱う情報の機密度による使い分け)
扱う情報推奨される使い方
公開してよい一般的な情報公式アプリ・APIの利用も可
社外秘・個人情報を含む自社環境(ローカル・オンプレミス)での構築を検討

自社の業務のどこにAIを使い、どの情報を入力するのかを洗い出したうえで、使い方を選ぶことが安全な導入につながります。

機密情報を外に出さずにDeepSeekを使う方法

業務で機密情報を扱う場合の解になるのが、モデルを自社環境で動かす「ローカルAI」という考え方です。最後にその概要を説明します。

ローカル・オンプレミスで動かすとは

ローカルAI(オンプレミス環境でのAI活用)とは、AIモデルを外部のクラウドではなく、自社が管理するサーバーやパソコンの中に設置して動かす方式を指します。DeepSeekのようにモデルが公開されているものは、この方式で動かせます。

インターネットに接続しない閉じた環境で構築すれば、入力したデータが外部に送信されることはありません。前述したデータの海外保管や学習利用の懸念は、この構成であれば回避できます。

自社のデータと組み合わせて活用する

自社環境でモデルを動かせるようになると、社内の文書やデータと組み合わせた活用がしやすくなります。例えば、社内マニュアルや過去の対応履歴をAIに参照させて回答させるRAG(検索して根拠を与える仕組み)を構築したり、自社の業務に合わせてモデルを調整したりすることで、汎用的なAIよりも自社に即した回答を得られます。

リベルクラフトでは、こうしたローカルAI環境の構築を、端末1台から始めるスモールスタートから、社内向けのAI基盤の構築まで段階的に支援しています。GPUサーバーを用いた構成の場合、1顧客あたりの初期費用は100〜200万円規模が目安になります(要件によって変動します)。

まとめ

DeepSeekについて、要点を整理します。

  • DeepSeekは中国のAI企業が開発した大規模言語モデルで、汎用型のV3と推論特化型のR1が代表的です。2026年には後継の「V4-Pro」「V4-Flash」も公式公開されています
  • 主要モデルに迫る性能と低コストを両立している点が注目されてきましたが、2026年8月のAPI料金改定で価格優位性は変化しつつあります
  • 公式サービスに入力したデータは中国のサーバーに保存され、中国の法令が適用されるとして、日本の個人情報保護委員会が注意を促しています
  • モデル自体はMITライセンスで公開されており、商用利用や自社環境での利用が認められています
  • 機密情報を扱う場合は、公式クラウドではなく、自社環境(ローカル・オンプレミス)でモデルを動かす方法が有効です

DeepSeekの魅力を活かしつつリスクを抑える鍵は、「どこでモデルを動かすか」にあります。

DeepSeek活用・ローカルAIの相談は「リベルクラフト」

DeepSeekのような公開モデルを業務で安全に使いこなすには、モデルの選定だけでなく、環境の設計やセキュリティの確保、自社データとのつなぎ込みまで含めた専門的な検討が必要です。

リベルクラフトでは、モデルを動かす環境を作るだけでなく、その後の運用・改善まで一貫して支援します。社内データの整理から、環境の設計、システムへのつなぎ込み、セキュリティ整備まで、お客様の業務に合わせて進めます。

  • DeepSeekなどの公開モデルを、社内の機密情報を外に出さずに使いたい
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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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