データサイエンティストとは。仕事内容・必要スキルとAI時代に変わった役割を解説
「データサイエンティストという職種はよく聞くけれど、具体的に何をする人なのか説明できない」という方も多いでしょう。データアナリストやAIエンジニアと何が違うのか、どんなスキルが必要なのかも、意外と整理されないまま使われがちな言葉です。
しかも、生成AIの普及によって、この職種に求められる役割そのものが変わり始めています。これまで「分析ができる人」とされてきた定義が、業界団体の手によって書き換えられたのは2025年のことです。
そこで本記事では、
- データサイエンティストの仕事内容と、他の職種との違い
- データサイエンティストに求められるスキルの全体像
- AI時代にこの職種の定義がどう変わっているのか
- 非エンジニア・未経験からでも目指せるのか
についてわかりやすく解説します。データサイエンティストという職種に興味を持ち始めた方は、ぜひ最後までご覧ください。
「データサイエンティストという職種を、自分のキャリアの選択肢として検討したい」という方は、リベルクラフトへご相談ください。
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データサイエンティストとは。仕事内容と他職種との違い
データサイエンティストとは、データを収集・分析し、企業の意思決定や業務改善に使える具体的な示唆を導き出す専門職です。統計学や機械学習の知識を使って事業の課題を数字で可視化し、分析結果をビジネスの意思決定に落とし込むところまでを担います。
データサイエンティストの仕事内容
仕事の流れは、大まかに次の5段階で進みます。

- 仮説立案:ビジネス課題を数字で捉え直し、何を明らかにすべきかの仮説を立てる
- データ収集:社内外のデータを集める
- データ前処理:欠損値や表記ゆれを整え、分析できる形に整える
- 分析・モデリング:統計や機械学習の手法を使って、データからパターンや傾向を導き出す
- 可視化・提案:分析結果をグラフや資料にまとめ、ビジネスの改善案として提案する
この流れのうち、データ収集から分析までの作業は生成AIツールの支援を受けやすくなっていますが、「何を明らかにすべきか」という仮説を立てる部分と、「その分析結果がビジネスの文脈で正しいか」を判断する部分は、今も人が担う中心です。この点については、後半の「AI時代の役割の変化」で詳しく解説します。
データサイエンティストの具体的な業務例については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
参照記事:データサイエンティストの仕事内容。生成AIで変わったことと、11年変わらないこと
データアナリスト・データエンジニア・AIエンジニアとの違い
データを扱う職種はデータサイエンティストだけではありません。似た職種との違いを整理すると、次のようになります。
| 職種 | 主な役割 | 求められるスキル |
|---|---|---|
| データサイエンティスト | データ分析で意思決定を支援し、事業課題を解決する | 統計学・機械学習の基礎・ビジネス理解・分析力 |
| データアナリスト | 既存の指標・レポートを分析し、現状を可視化する | データ集計・可視化・BIツールの活用 |
| データエンジニア | データを収集・保存・処理する基盤を構築する | データベース・データパイプライン構築のスキル |
| AIエンジニア | AIモデルの設計・開発・実装を行う | 機械学習・深層学習の実装スキル、アルゴリズム設計 |
同じデータ関連職種でも、データアナリストは「今起きていることを可視化する」役割に寄り、データエンジニアは「データを扱える状態に整える」役割に寄ります。データサイエンティストはこの両方に片足をかけながら、統計や機械学習を使って「この先どうなるか」「何をすべきか」まで踏み込む点が特徴です。
データアナリストとの違いをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
参照記事:データアナリストとデータサイエンティストの違い。仕事内容とキャリアの選び方
なお、「どんな人がこの職種に向いているのか」「年収の目安はどのくらいか」という点も気になるところですが、これらは本記事のテーマである「定義」からは離れるため、以下の記事に譲ります。
参照記事:データサイエンティストの年収はいくら?年収を上げる3つの方法も解説
データサイエンティストに求められるスキルの全体像
データサイエンティストという仕事内容が分かったところで、次にどんなスキルが必要なのかを整理します。
データサイエンティスト協会は長年、必要なスキルを大きく3つに分類してきました。この3分類は、多くの求人票や教育プログラムでも土台として使われています。
- データサイエンス力:統計学・機械学習・数理モデリングなど、データを分析するための知識
- データエンジニアリング力:プログラミング・データベース・システム実装など、分析を実際に動かす技術
- ビジネス力:課題を発見し、分析結果を意思決定や業務改善につなげる力
この3分類は、データサイエンティストという職種を理解するうえでの基本的な地図になります。ただし、この定義自体が2025年に大きく書き換えられたことは、あまり知られていません。次の章で詳しく見ていきます。
データサイエンティスト協会が、スキル定義を「価値創造力」へ刷新した
前章で紹介した3分類は、実は2025年に大きく書き換えられています。このスキル体系を長年更新してきたデータサイエンティスト協会が、2025年11月25日、大幅な定義の刷新を発表しました。
何が変わったのか
発表の見出しには、次のように書かれています。
「ビジネス力を価値創造力へ刷新 ~データサイエンティストは分析者から価値創造リーダーへ~」
出典:データサイエンティスト協会「2025年度版『データサイエンティスト スキルチェックリストver.6』を発表」(2025年11月25日)
これまでの3分類のうち「ビジネス力」という項目が、「価値創造力」という言葉に置き換わりました。単に名称が変わっただけでなく、スキルチェックリストの項目数も650から845へと大幅に拡充されています。分析を担う人材から、分析結果をもとに新しい価値を生み出す人材へ、この職種に求められる役割の重心が動いたことを示す改訂です。
なぜ今、定義が変わったのか
この改訂の背景には、企業側が実際にどんな人材を不足と感じているかという調査があります。データサイエンティスト協会が2024年11月11日に実施した企業調査(112社対象)では、「今後増やしたい人材」の割合から「現在いる人材」の割合を引いた差分が、次の3項目で大きくなっています。
| 求める人材のタイプ | 不足感(ポイント差) |
|---|---|
| データによるビジネス課題解決を得意とする人材 | +15pt |
| 統計やAIなどのデータ分析に関する理論に詳しい人材 | +9pt |
| データのハンドリングを得意とする人材(エンジニア) | +8pt |
出典:データサイエンティスト協会 企業調査(2024年11月11日実施・112社)

不足感が最も大きいのは、統計やプログラミングの技術そのものではなく、データを使ってビジネス課題を解決する力でした。なお、この調査は業界団体のシンポジウムに参加した企業への対面アンケートであり、データ活用に積極的な企業に回答が偏っている可能性があります。日本企業全体を代表する数字ではない点には注意が必要ですが、少なくとも「先進的にデータ活用に取り組む企業ほど、技術力より課題解決力を求めている」という傾向は読み取れます。
企業が最も欲しがっているのは、AI・データの技術そのものではなく、それを業務課題の解決に使う力です。この傾向は、後半で解説する「非エンジニアからでも目指せるのか」という問いにも直結してきます。
生成AI・AIエージェントの普及で、データサイエンティストの役割はどう変わっているか
データサイエンティストに求められる役割の重心が変わった背景には、生成AIの普及があります。ここでは、生成AIが実際に何を肩代わりし、何を肩代わりしていないのかを、具体的なデータで見ていきます。
生成AIが肩代わりしたのは「作業」まで
ChatGPTやClaudeのような生成AIツールは、コードを書く作業や分析の下準備を大きく肩代わりするようになりました。しかし、AIが出した結果をそのまま信用してよいわけではありません。
世界の開発者を対象にしたStack Overflow Developer Survey 2025では、次のようなデータが示されています。
- AIの出力を「強く信頼する」:3.1%
- AIの出力を「ある程度信頼する」:29.6%
- AIの出力を「ある程度信頼しない」:26.1%
- AIの出力を「強く信頼しない」:19.6%
信頼する側の合計は33%、信頼しない側の合計は46%です(残りの区分は本記事では扱いません)。原文では次のように書かれています。
More developers actively distrust the accuracy of AI tools (46%) than trust it (33%), and only a fraction (3%) report “highly trusting” the output.
出典:Stack Overflow Developer Survey 2025

この調査は開発者全体を対象にしたものであり、データサイエンティストに限った調査ではありません。それでも、生成AIがコードや文章を書く作業を肩代わりする一方で、その出力が正しいかどうかを判断する力までは肩代わりしていないことを示す数字として読めます。
「使う」企業と「作る」企業の間には、まだ距離がある
生成AIの浸透度についても、実態を示すデータがあります。矢野経済研究所が2026年に実施した国内生成AI・AIエージェント法人アンケート調査(国内民間企業500社対象・496社回答)によると、業務に生成AIを取り入れている企業は43.4%に上る一方、AIエージェントまで実際に動かせている企業は3.3%にとどまっています。
出典:矢野経済研究所 国内生成AI・AIエージェント法人アンケート調査(2026年)
生成AIを「使う」ことは多くの企業に広がっていますが、それを業務の仕組みとして「作る」段階まで進んでいる企業はまだ限られています。この距離を埋めるのが、データサイエンティストのような専門人材の役割です。
専門人材に求められるのは、AIの出力を判断する力
ここまでの2つのデータを重ねると、次のことが見えてきます。生成AIは「書く」「集計する」といった作業を速くしますが、その出力が母数の取り方を間違えていないか、現場の前提条件を満たしているか、根拠となるデータで検証されているかを見抜く力までは代わってくれません。
これは、統計や機械学習の知識だけでなく、その分析結果が使われる現場を知っていることが求められる領域です。前章で見た「データによるビジネス課題解決を得意とする人材」への不足感の高さは、この判断力への需要の表れといえます。
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データサイエンティストは、非エンジニア・未経験からでも目指せるのか
ここまで、データサイエンティストに求められる役割が「分析者」から「価値創造リーダー」へ変わりつつあることを見てきました。この変化は、非エンジニアや未経験者にとって不利な話ではありません。むしろ、これまでの実務経験を武器にできる可能性を広げています。
これまでの現場経験が、専門性の半分を占める
これからのデータサイエンティストに求められる専門性は、ビジネス能力と、AIを設計する力の掛け算で成り立ちます。ビジネス能力とは、業界の理解や業務の流れ、現場の課題感といった、これまでの仕事で培ってきたものです。AIを設計する力とは、AIに何ができて何ができないかを見極め、業務に組み込む仕組みとして作る力を指します。
プログラミングや数式を自分で書く負担は、生成AIがある程度肩代わりするようになりました。そのぶん、何を作るべきかを決め、出力を判断する側の比重が増しており、そこはビジネス能力がものを言います。エンジニア経験がなくても、この掛け算の左側であるビジネス能力はすでに持っているという考え方です。
学ぶ順番を、自分の経験と目標から逆算する4ステップ
では、実際にどう学べばよいのでしょうか? 多くの人は「講座の科目一覧」から学ぶものを選ぼうとしますが、順番はこの逆で決まります。
- 経験を言葉にする:自分の現場で、何が起きたら異常なのか、どの数字が信用できないのか、判断に迷ったときは何を見ているのかを書き出す。これはAIに教えなければならない情報で、現場にいた人にしか書けません
- 目指す役割を決める:現職でAI活用を進めるのか、社内で役割を広げるのか、データ・AI職へ移るのかを決める。目指す先が違えば、必要な技術も順番も変わります
- 足りない技術を洗い出す:目標と現在地の差分として、学ぶ対象を絞る
- 学習と成果物に並べる:絞った技術を順番に学び、STEP1で書き出した現場の課題を題材にした制作物に落とす

「自分には書けるような経験がない」と感じる方も多いのですが、実際には経験がないのではなく、まだ言葉にしていないだけであるケースがほとんどです。
現場経験を武器にした2つのキャリアチェンジ
実際に、現場経験を武器にしてデータサイエンティストへの一歩を踏み出した例を2つ紹介します。いずれも、複数の受講生に共通する変化をもとにした匿名の合成例です。
| 営業事務職からの変化 | 製造・業務管理職からの変化 | |
|---|---|---|
| 受講前 | 問い合わせ対応や見積書作成に時間を取られていた。生成AIは日常業務で使っていたが、プログラミング経験はゼロ | 現場の異常の兆候は経験則で分かっていたが、言語化・自動化の手段がなかった |
| 現場経験の転換点 | 顧客がどんな質問をしてくるか、どの説明が伝わりやすいかを知っていたこと | どんなときに異常が起きるか、どの数字がどこで間違いやすいかを体で知っていたこと |
| 学んだ技術 | 生成AIを使った開発の基礎、社内文書を根拠に回答する仕組みの作り方 | 統計・機械学習の基礎、生成AIを使ったデータ分析 |
| 変化した後 | よくある問い合わせに、過去の提案書や仕様書を根拠に答える仕組みを自分で設計・試作できるようになった | 経験則で見ていた異常の兆候を、数値の条件として定義し直す仕組みを試作できるようになった |
顧客対応の経験は、AIに何を答えさせるべきかを決める力になります。現場の判断基準を知っていることは、そのまま仕組みの精度につながります。止めていたのは経歴ではなく、現場の勘を言葉にする手段を知らなかっただけというケースは少なくありません。
未経験からデータサイエンティストを目指す具体的な学習ロードマップについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参照記事:未経験からデータサイエンティストを目指すロードマップ。実例も交えながら学習方法を解説
参照記事:未経験からデータサイエンティストになるには?3つのルートと学習ロードマップ
まとめ
- データサイエンティストとは、データを分析して企業の意思決定に使える示唆を導く専門職。データアナリスト・データエンジニア・AIエンジニアとは役割が異なる
- 必要なスキルは、従来「データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力」の3分類で語られてきた
- 2025年11月、データサイエンティスト協会がスキル定義を刷新し、「ビジネス力」を「価値創造力」へ置き換えた。分析者から価値創造リーダーへ、役割の重心が動いている
- 生成AIが肩代わりしたのは「作業」までで、出力が正しいかを判断する力までは肩代わりしていない
- データを使ってビジネス課題を解決する力への需要が最も高く、これは非エンジニアの実務経験が活きる領域
- 学ぶ順番は、講座の科目名ではなく、自分の現場経験と目指す役割から逆算して決まる
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この記事を書いた人
慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。
