AIエンジニアとは。仕事内容やデータサイエンティストとの違いを解説

「AIエンジニアという職種に興味はあるけれど、具体的に何をする仕事なのかイメージが掴めない」という方も多いでしょう。

求人サイトや転職エージェントのページを見ても、AI開発・機械学習モデルの実装・データサイエンティストとの違いなど、似たような言葉が並んでいて、結局どこまでがAIエンジニアの仕事なのか整理できないまま検索にたどり着いた方も少なくないはずです。

そこで本記事では、

  • AIエンジニアとは何か、ITエンジニア・データサイエンティストとの違い
  • AIエンジニアの仕事内容を4つのフェーズで整理した内容
  • データサイエンティストとの具体的な分業の実例
  • 未経験からAIエンジニアを目指すルートと、年収・将来性

についてわかりやすく解説します。AIエンジニアという職種を検討している方、キャリアの選択肢として調べ始めた方は、ぜひ最後までご覧ください。

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AIエンジニアとは

まずはAIエンジニアの定義と、隣接する職種との違い、なぜ今この職種が注目されているのかを整理しましょう。

AIエンジニアの定義

AIエンジニアとは、AI・機械学習モデルをシステムやサービスに実装し、実際に動かせる状態にするまでを担うエンジニアを指します。 モデルそのものの理論設計だけでなく、データベースやAPI、クラウド基盤と組み合わせて、業務やサービスの中で継続的に使える形にする実装力が中核のスキルです。

「AI開発」という言葉が指す範囲は広く、AIエンジニアはその中でも特に実装・運用のフェーズを担う立場にあります。厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、AIエンジニアは人工知能に関わるシステムの設計・開発・運用を担う職業として紹介されています(出典:厚生労働省job tag「AIエンジニア」職業詳細)。

ITエンジニア・データサイエンティストとの違い(概要)

AIエンジニアとよく混同される職種に、ITエンジニアとデータサイエンティストがあります。まずは概要を整理しておきましょう。

職種 主な役割 求められる力
AIエンジニア AI・機械学習モデルの実装・運用 プログラミング・機械学習・インフラ構築力
ITエンジニア システム・アプリケーション全般の開発・運用 プログラミング・設計・インフラ構築力
データサイエンティスト データ分析・予測モデル構築による意思決定支援 統計・機械学習・ビジネス理解力

ITエンジニアが扱う対象がシステム全般であるのに対し、AIエンジニアは特にAI・機械学習モデルを組み込んだシステムを専門に扱う点が違いです。データサイエンティストとの違いはより踏み込んだ検討が必要なため、後の章で分業レベルまで具体的に解説します。

AIエンジニアが今注目されている背景

AIエンジニアの需要が高まっている背景には、AI人材の不足があります。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、AIやビッグデータなど第4次産業革命に対応する先端IT人材が、2030年には約12.4万人不足すると試算されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)。

生成AIの登場によって、AIをゼロから開発するだけでなく、既存のLLM(大規模言語モデル)を業務システムに組み込む実装案件も急増しており、AIエンジニアが関わる仕事の幅そのものが広がっています。

AIエンジニアの仕事内容を4つのフェーズで整理する

AIエンジニアとは何かを整理したところで、次に実際の仕事内容を工程ごとに見ていきましょう。

AIエンジニアの仕事内容を示す4つのフェーズの図解

AIエンジニアの仕事内容は、大きく4つのフェーズに分けられます。

1. データ収集・前処理

AIモデルの精度は、学習に使うデータの質に大きく左右されます。業務システムのログ、センサーデータ、テキストデータなどを収集し、欠損値の補完や表記ゆれの統一といった前処理を行うのが最初の工程です。

2. AIモデルの開発・学習

前処理したデータを使い、目的に応じたアルゴリズムを選定してモデルを構築・学習させます。画像認識であれば畳み込みニューラルネットワーク、自然言語処理であればTransformer系のモデルなど、扱うデータの種類によって使う技術が変わります。

3. システムへの実装

学習したモデルを、実際の業務システムやアプリケーションに組み込む工程です。APIとして呼び出せる形にする、既存のWebサービスと連携させるなど、モデル単体では完結しない「動くシステムにする」実装力が問われます。

4. 運用・改善(MLOps)

システムに実装したあとも、モデルの精度は時間とともに劣化することがあります。予測精度をモニタリングし、必要に応じて再学習やチューニングを行う運用フェーズも、AIエンジニアの重要な仕事です。この一連の運用プロセスは「MLOps」と呼ばれます。

生成AI時代に増えたRAG・AIエージェント実装という仕事

上記の4フェーズに加えて、生成AI・LLMの実務活用が広がったことで、AIエンジニアの仕事内容にも変化が出てきています。リベルクラフトの開発現場でも、モデルをゼロから学習させる案件よりも、既存のLLMに自社データを参照させる「RAG(検索拡張生成)」の実装や、複数のタスクを自律的にこなす「AIエージェント」の構築といった案件が増えています。

つまり、AIエンジニアの仕事内容は「モデルを作る」ことだけでなく、「既存のAIをどう業務に組み込むか」を設計・実装する比重が年々高まっているのが実態です。

AIエンジニアとデータサイエンティストの違いを具体的な分業で見る

AIエンジニアの仕事内容が分かったところで、検索意図として最も多い「データサイエンティストとの違い」を、具体的な分業レベルで整理しましょう。

役割の違い。モデルを「作る人」とシステムを「動かす人」

データサイエンティストは「どのデータをどう分析すれば、どんな意思決定に役立つか」を設計する役割を担い、AIエンジニアは「そのモデルを実際に動くシステムとして実装・運用する」役割を担います。 データサイエンティストがビジネス課題の発見から予測モデルの構築までを担うのに対し、AIエンジニアはそのモデルをサービスや業務システムに組み込み、安定的に動かし続けることに軸足を置きます。

データサイエンスという概念そのものの整理は、以下の記事で詳しく解説しています。

参照記事:データサイエンスとは。身近な例・仕事内容・学び方まで初心者向けに解説

PoC〜本番運用でどちらが何を担うか

実際のプロジェクトでは、PoC(概念実証)から本番運用に至るまでの各フェーズで、データサイエンティストとAIエンジニアの担当が入れ替わります。

フェーズ データサイエンティストの役割 AIエンジニアの役割
課題設定・PoC 解くべき課題の設計、モデルの精度検証 PoC環境の構築支援
モデル開発 アルゴリズムの選定・モデルの構築 モデルを呼び出すAPI・データ連携の設計
本番実装 精度基準の設定・評価 システムへの実装、負荷に耐えるインフラ構築
運用・改善 モデルの精度モニタリング・再学習の判断 インフラの安定運用・障害対応(MLOps)

小規模なプロジェクトでは1人が両方の役割を兼ねることも珍しくありませんが、プロジェクトが大きくなるほど、この分業が明確に分かれていきます。生成AI時代の分業の実態や、データサイエンティストの仕事内容が生成AIでどう変わったかは、以下の記事でも詳しく解説しています。

参照記事:データサイエンティストの仕事内容。生成AIで変わったことと、11年変わらないこと

使うツール・スキルセットの違い

データサイエンティストが統計解析ツール(Python・R・SQL)やBIツールを中心に使うのに対し、AIエンジニアはそれに加えてクラウドインフラ(AWS・GCP等)、コンテナ技術(Docker・Kubernetes)、APIフレームワーク(FastAPI等)といった、システムを本番稼働させるための技術スタックを扱う比重が大きくなります。つまり、データサイエンティストが「何を解くか」を決める仕事だとすれば、AIエンジニアは「それをどう動かし続けるか」を決める仕事と言い換えられます。

AIエンジニアに必要なスキルと資格

役割の違いが分かったところで、AIエンジニアに求められる具体的なスキルと資格を整理しましょう。

AIエンジニアに必要な4つのスキル分野の図解

それぞれの領域について、具体的に見ていきましょう。

プログラミングスキル(Pythonが中心)

AIエンジニアの開発言語は、機械学習ライブラリが充実しているPythonが中心です。データ処理からモデルの構築、API実装まで一貫してPythonで書けることが多く、まず最初に習得すべき言語といえます。

数学・統計・機械学習の知識

線形代数・微分積分・確率統計といった数学の基礎知識は、モデルの仕組みを理解し、精度が出ない原因を切り分ける際に必要になります。あわせて、教師あり学習・教師なし学習・ディープラーニングといった機械学習の基本的な手法も押さえておく必要があります。

インフラ・MLOpsの知識

学習させたモデルを本番環境で安定的に動かすには、クラウドサービス(AWS・GCP・Azure)の知識や、モデルの再学習・監視を自動化するMLOpsの考え方が必要です。この領域は、データサイエンティストよりもAIエンジニアにより強く求められる知識です。

生成AI時代に増えたツールスタック(LangChain・RAG等)

生成AI・LLMの実務活用が広がったことで、AIエンジニアが扱うツールスタックも変化しています。LLMアプリケーションの開発フレームワークである「LangChain」「LangGraph」、自社データを参照させる「RAG」の構築、モデルの実験管理を行う「MLflow」など、数年前には存在しなかった技術の習得が求められる場面が増えています。競合の技術解説記事ではあまり触れられていませんが、実務では既にこの領域のスキルが評価の分かれ目になっています。

代表的な資格(G検定・E資格・Python系)

資格取得は必須ではありませんが、体系的な知識を証明する手段として、以下のような資格が代表的です。

  • G検定:一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催する、AI・ディープラーニングの基礎知識を問う検定
  • E資格:同じくJDLAが主催する、ディープラーニングの実装スキルを問うエンジニア向け資格(出典:JDLA公式サイト)
  • Python系資格:Python 3 エンジニア認定基礎試験など、プログラミング力そのものを証明する資格

資格の学習範囲は、AIエンジニアに必要な知識の全体像を把握するのにも役立ちます。ただし、資格の勉強だけでは実装力は身につきにくいため、後述するような実践的な学習と組み合わせるのが現実的です。

ここまでスキル・資格の全体像を解説しましたが、「独学で全部を体系的に身につけられるか不安」という方は、リベルクラフトへご相談ください。

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未経験からAIエンジニアを目指すには

必要なスキルが分かったところで、未経験からどのように身につけていくか、具体的なルートを見ていきましょう。

独学・資格取得・スクールの3つのルート

未経験からAIエンジニアを目指す方法は、大きく3つに分けられます。

学び方 メリット 注意点
独学(書籍・オンライン教材) 費用を抑えられる、自分のペースで進められる 何から手をつければよいか迷いやすく、挫折しやすい
資格取得(G検定・E資格等) 知識の抜け漏れなく体系的に学べる 資格取得と実装スキルは別物、実践経験が必要
スクール(体系的にメンター付きで学ぶ) カリキュラムが体系化され、実務レベルの課題に取り組める 費用がかかる
  1. 独学で全体像を掴む:まずは書籍やオンライン教材でPython・機械学習の基礎を学び、自分がAIエンジニアという職種に向いているかを見極める
  2. 資格で知識の抜け漏れを確認する:G検定などで、独学では見落としがちな範囲を体系的に補う
  3. 実践的な環境で実装経験を積む:スクールや実務に近いプロジェクトで、モデルを実際にシステムへ組み込む経験を積む

いきなり実務レベルの実装から入ろうとすると挫折しやすいため、上記のように段階を踏んで進めるのが現実的なルートです。

未経験からAIエンジニア関連職を目指したCraft College受講生の実例

Craft Collegeには、Pythonでのデータ処理や基本的な機械学習の知識を土台に、生成AI・LLMの実装スキルを積み増して、AIエンジニアに近い実務(RAG構築・社内AIツールの開発等)に携わるようになった受講生がいます(匿名化した実例)。共通していたのは、独学の段階でつまずいていた「モデルを動くシステムに組み込む」実装経験を、体系的なカリキュラムと伴走支援によって短期間で積み上げられた点です。

AIエンジニアの年収・将来性

学び方が分かったところで、AIエンジニアという職種を検討するうえで気になる年収と将来性を確認しましょう。

AI人材不足の見通しを示す図解

こうした需要動向を踏まえたうえで、まずは年収の目安から見ていきましょう。

年収の目安

AIエンジニアの平均年収は、正社員で概ね550万円前後とされ、日本の給与所得者全体の平均(約460万円)を上回る水準です。ただし、スキル・経験・雇用形態によって幅が大きく、生成AI・LLM関連の実装スキルを持つ層では年収800万円を超える求人も見られます(出典:renue「AIエンジニアの年収は?」2026年版)。

年収を左右する要素は、扱える技術の幅(生成AI・MLOpsまで対応できるか)と、実装からリリースまでを一人称で回せる経験値です。年収の詳細な内訳や上げ方については、今後の関連記事でさらに深掘りする予定です。

「AIエンジニアはやめとけ・いらない」と言われる理由と実態

検索すると「AIエンジニア やめとけ」「AIエンジニア いらない」といった言葉が目に入ることがあります。背景には、生成AIの進化によってコーディング作業の一部が自動化され、AIエンジニアの仕事自体がAIに代替されるのではないかという懸念があります。

しかし、先述のとおり経済産業省の試算では2030年に先端IT人材が約12.4万人不足するとされており、需要そのものが縮小する見通しは示されていません。生成AIが担えるのはコードの生成・チェックといった作業レベルの支援であり、「どの課題を、どんなシステム構成で解くか」を判断し、複数の技術要素を組み合わせて動くシステムに仕上げる判断・実装の部分は、引き続き人が担っています。「AIエンジニアの仕事がなくなる」というより、「AIエンジニアが担う仕事の中身が、単純な実装作業から、AIを使いこなす設計・統合の仕事へ移っている」と捉えるほうが実態に近いといえます。

AIエンジニアに向いている人の特徴

ここまでの内容を踏まえ、AIエンジニアに向いている人の特徴を整理します。

  • 論理的に物事を考えるのが好きな人:モデルの精度が出ない原因を、データ・アルゴリズム・実装のどこにあるか切り分けて考える場面が多いため
  • 新しい技術を学び続けることが苦にならない人:生成AI関連の技術は数ヶ月単位で更新されるため、継続的なキャッチアップが必要
  • 「作って終わり」でなく「動かし続ける」ことに関心がある人:モデルを構築するだけでなく、本番環境で安定運用するところまで責任を持つ仕事のため
  • 他職種と連携しながら進めるのが得意な人:データサイエンティストやビジネス側の担当者と役割分担しながらプロジェクトを進める場面が多いため

すべての特徴に当てはまっている必要はありません。学習を進めながら、自分の得意・不得意を確認していくのが現実的です。

まとめ

  • AIエンジニアとは、AI・機械学習モデルをシステムに実装し、動かせる状態にするまでを担うエンジニア
  • 仕事内容は「データ収集・前処理」「モデル開発」「システム実装」「運用・改善」の4フェーズに整理でき、生成AI時代はRAG・AIエージェントの実装も増えている
  • データサイエンティストとは「モデルを作る人」と「動かし続ける人」という役割の違いがあり、PoC〜本番運用のフェーズごとに分業する
  • 必要なスキルはプログラミング・数学統計・インフラMLOpsに加え、生成AI時代はLangChain・RAGなどのツールスタックの習得も重要
  • 未経験からは独学・資格・スクールの3ルートがあり、段階を踏んで実装経験を積むのが現実的
  • 年収は正社員平均550万円前後、AI人材需要は2030年に向けて拡大が見込まれている

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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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