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  • DXの波に乗り、社員の勘や経験ではなく、客観的なデータに基づいた意思決定を重視する企業が増えています。ところが、多くの企業が「データを適切に読み解くスキルを持っていない」「データ分析の専門ツールを導入するとなると社内承認を得ることが難しい」といった問題に直面しています。

    このような状況であれば、まずは日常的に使うExcelの活用から始め、企業全体のデータ分析力を底上げすることが有効です。取り組みやすいところから始めることで、社員の挫折を生まずにプロジェクトを推進できます。

    今回は、Excelから始めて企業のデータ分析力を底上げする方法について解説します。

    企業がデータ分析に関して抱えている問題

    多くの企業は、データ分析に関して以下のような問題に直面しています。

    • 全社的にデータ分析スキルが不足している
    • データ分析スキルに個人差があり、一律での教育が合わない
    • 非エンジニアに始めから高度な技術の習得を求めるのは難しい

    このような問題が生じる背景には、データ分析の基礎理解に差があるという事情があります。

    企業がデータ分析に関して抱えている問題

    データ分析の基礎知識を座学で学び、実践を通じて習得していくことで、実務で役立てられるスキルへと転換していきます。

    データ分析スキルを段階的に向上する6つのステップ

    データ分析スキルの向上は、座学と実践に分けて6ステップで進めていきます。

    データ分析スキル向上の6ステップ

    座学編

    1. データ分析の基礎を学習する

    意味のあるデータ分析を実務でおこなえるようになるためには、まずデータ分析の基礎的な内容を学習し直す必要があります。

    平均値や標準偏差の算出など、多くのビジネスパーソンは日常的にデータ分析をおこなっています。しかし、分析に関する知識が断片的であるため、分析における要点を押さえられていなかったり、我流で進めてしまったりしています。このような進め方では、データから正しい結果を導き出せず、意思決定を誤ることにも繋がります。

    まずはデータ分析に関する基礎的な内容を学習し直し、適切な分析をするための思考力を身に付けることを目指します。

    2. 基礎を踏まえた高度な分析手法を学習する

    基礎的な内容を学習した後、A/Bテストのための仮説設定、因果関係を推論するための回帰分析など、より高度な分析手法を学びます。

    多くのビジネスパーソンは、これらの分析思考を業務のなかで身に付けています。その思考法を体系的に学ぶことでデータ分析の考え方が整理され、要点を押さえた思考ができるようになります。

    データ分析の基礎知識を押さえたうえで発展した内容を学習することで、より実務で活用できる分析力を身に付けていきます。

    3. データの管理について学習する

    データを分析するには、必要なデータを抽出できる状態で管理する必要があります。この段階では、以下のような内容を学習します。

    • どこから、どのような形式で、どのようにデータを収集するか
    • どのようなデータベースを利用してデータを補完するか
    • データ品質をどのように担保するか
    • 分析に必要な形へとデータをどのように変換するか

    実践に移る前に「データ管理」についても学習することで、持続的にデータドリブンで動く組織作りに繋がります。

    実践編

    4.分析の演習問題に取り組む

    座学で得た知識をもとに演習問題に取り組み、実務で使えるスキルを身に付けます。

    顧客データや人事データなど、ビジネスの現場で活用されるデータを題材に、統計量の算出や回帰分析・仮説検定などの演習に取り組みます。

    体系的な学びのあとに実際の分析を行うことで、「なぜこの場面でこの分析が有効なのか」を理解しつつ、Excelを使ったデータ分析の手法を身に付けることができます。

    5.ビジネス課題を分析に落とし込む思考法を習得する

    データドリブンで現場の課題解決を進めるためには、分析手法の習得に加えて、「ビジネス課題を分析課題に落とし込む力」が必要です。

    そこで学習の終盤では、自ら設定した課題をもとにデータ分析の手法を考える「データ分析企画」に取り組みます。

    KGIからKPIを分解し、ボトルネック特定に向けて「どのデータをどの手法で分析するべきか」を検討します。分析結果をふまえて施策を立案するまでが、このステップでの実践内容です。

    このようなトレーニングを行うことで、単に作業としてデータ分析ができるのみにとどまらず、自律的な課題解決スキルが身に付きます。

    6.高度な分析手法の活用に取り組む

    さらに発展的なデータ分析スキルの習得を目指す場合は、プログラミング言語の学習が必要です。

    たとえば、Excelでは数十万行以上のデータを処理することは難しいため、大規模データを運用する場合にはSQLの導入が推奨されます。また、分析の自動化や高度なモデリングを行う場合には、pythonなどの利用も視野に入れるとよいでしょう。

    より高度な分析手法へと段階的に学習を進めることで、データを適切に分析する知識をもったうえで、企業や事業全体の意思決定に必要な大規模なデータ分析が行えるようになります。

    【部門別】Excelでできるデータ分析例

    ここからは、Excelでできるデータ分析について、事業部門ごとに例を解説します。

    【部門別】Excelでできるデータ分析例

    マーケティング部門

    マーケティング部門におけるデータの活用方法としては、主に顧客分析があります。

    たとえば、自社のECサイトやサービスを利用している顧客のデモグラフィックデータを分析し、各セグメントに適したプロモーション施策の立案につなげることができます。

    そのほか、サービスやアプリの利用状況(ユーザーランクがある場合には各ランク)による客単価の違いを調べたり、KPIごとのボトルネックを分析したりといった施策が考えられます。

    これらのデータ分析を行うことで、マーケティングによるROI(投資対効果)の向上につなげることができます。

    営業部門

    営業部門における主なデータの活用方法としては、受注実績分析が挙げられます。

    商談回数や顧客の年商など、受注金額・件数に影響を与えうる要素を分析することで、各要素の影響度を把握することができます。さらに、分析結果をふまえて、「商談回数を増やすと受注率はどのように変化するか」などのように施策ごとの売上予測シミュレーションを行うことも可能です。

    客観的なデータをもとに予測を立てることで、意思決定の質改善・業績拡大につなげることができます。

    カスタマーサクセス部門

    カスタマーサクセス部門における主なデータの活用方法としては、サービスの利用状況や解約状況の分析があります。

    たとえば、解約直前のユーザーのログイン率を分析し、「どれくらいの数値が解約の予兆としてとらえられるのか」を明らかにすることができます。そのうえで、解約リスクの高い顧客について調査し、ログイン率向上に向けた施策につなげることが可能です。

    また、ユーザー行動の分析を通して、操作で迷う人が多い部分を洗い出し、UIの改善につなげるといった取り組みも考えられます。

    適切なデータ分析を行うことで、サービス提供側からは直接見えづらい問題を特定し、解約リスクの低減や顧客満足度の上昇につなげることができます。

    人事部門

    労務や採用業務においても、データを活用してさまざまな課題解決が可能です。

    労務関連では、従業員の残業時間や有給休暇取得率などの分析が考えられます。セグメント(部署や役職など)ごとの残業時間の多寡を整理するほか、有給取得のボトルネック分析などを行い、労働環境の改善策立案につなげることができます。

    また、採用活動においては、入社後に定着している社員の特徴を分析し、選考基準に取り入れるといった活用方法が考えられます。また、離職に影響した要素を回帰分析で推定し、離職率低下に向けた施策につなげることができます。

    定性的な要素の影響も大きい人事部門ですが、まずは労働時間や離職率など数値を集めやすい要素からデータの活用を始めることで、意思決定の質を上昇させていくことができます。

    Excelから始めて段階的にデータ分析スキルを向上させた事例

    ここからは、実際にExcelから段階的に社内全体のデータ分析スキルを向上させた企業の事例を紹介します。

    Excelから始めて段階的にデータ分析スキルを向上させた事例

    抱えていた課題

    メーカーA社は、既存事業の売上・利益回復と収益構造転換を急務としていました。そこで、現場社員一人ひとりのデータ分析スキルの底上げを目指すとともに、新規ビジネス創出のための市場分析・売上予測ができる人材の育成に乗り出しました。

    課題解決のための取り組み

    弊社の「法人研修」プログラムをA社の現状・課題に合わせてカスタマイズし、全社的に研修を実施しました。

    現場の指導は、データ分析経験豊富なデータサイエンティストが担当。統計学の初学者でもスムーズに理解できるように、段階的なプログラムで研修を進めました。

    前半は、データ分析の基礎である統計量(平均値・標準偏差など)の概念や実務で用いる分析手法について、座学で体系的に学習を行いました。初学者にとってデータ分析の第一歩になったのはもちろん、日常業務でデータを活用している社員も分析の背景にある考え方を理解することで、データを読む力を高めることができました。

    後半は、実際にA社の蓄積しているデータを用いて演習に取り組み、実務に活かせる分析スキルの獲得を図りました。「どのデータをどの手法で分析するか」を自ら考えることで、現場社員が自律的にデータを活用して課題を解決できる状態を目指しました。

    挙げられた成果

    研修の結果、社員一人ひとりのデータ分析スキルが向上するとともに、事業全体でのサービス改善にもつながりました。

    研修を受けた社員からは、「これまで手探りで取り組んでいた分析について体系的に学ぶことができ、自信を持ってデータが読めるようになった」「統計学を学んだのは初めてだったが、基礎から段階的に教わったことで、実務に活かせる知識が身に付いた」などの声がありました。

    また、研修後には、ECサイト担当社員が実際に顧客分析からKPIのボトルネックを特定し、サイト改善施策を実行するなどの動きもありました。

    全社的なデータ分析スキルの底上げが既存事業の業績改善に結びついたとともに、データドリブンで事業全体の改善を担う人材を育てることができました。

    法人研修サービスの紹介

    社内には多くのデータが蓄積されているものの、適切な手法で分析・活用できずにいる企業が多いのが現状です。データを効果的に活用することで意思決定の質を高め、業績改善や新たなビジネスチャンスにつなげることができます。

    社内全体としてデータ分析のノウハウが不足している場合、まずは日常的に触れているExcelから始めて、段階的に社員のスキルを底上げすることをおすすめします。統計学の基礎知識およびExcelを用いた分析手法を学ぶことで、非エンジニアの社員でもデータドリブンで業務に取り組む状態を実現できます。

    リベルクラフトは、Excelを活用した実践的なデータ分析研修を提供しています。データの集計や可視化、仮説検定、回帰分析といった基礎から応用までを一貫してサポートすることで、貴社の社員が日常業務にすぐ活かせる分析スキルを習得できるよう支援します。

    研修を通じてデータを「使える力」に変え、貴社のさらなる成長を後押しします。

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