AI人材とは。国の定義と4つの種類、不足の実態と確保の方法を解説

AI人材とは。国の定義と4つの種類、不足の実態と確保の方法を解説

「経営層から『AI人材を確保してほしい』と言われたが、そもそもAI人材が誰を指すのか説明できない」という方も多いでしょう。AIエンジニアを採用すればよいのか、社員に研修を受けさせればよいのか、定義があいまいなままでは計画も予算も立てられません。

しかも、生成AIが業務に広がった今、「誰でもAIを使えるのだから、専門のAI人材はいらないのでは」という声も社内から出てきます。

そこで本記事では、

  • AI人材とは何か(人工知能基本計画・デジタルスキル標準による国の定義)
  • 生成AI時代にAI人材に求められるスキルの変化
  • AI人材の4つの種類と、自社で持つべき役割
  • AI人材不足の実態と国の目標値
  • 「AI人材はいらない」と言われる理由への答えと、確保の方法

についてわかりやすく解説します。AI・DX推進を任されたご担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

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AI人材とは。国の資料が示す定義

AI人材とは、AIを作る、業務に組み込む、使いこなす、安全に運用するといった形で、AIの利活用や開発を担う人材の総称です。かつては「AIの研究者やエンジニア」を指すことが多い言葉でしたが、国の資料ではもっと広い範囲を指すようになっています。ここでは、定義の根拠になる3つの公的資料を順に見ていきます。

人工知能基本計画が示すAI人材の5つの人材像

いま最も新しい国の整理は、2026年7月14日に閣議決定された「人工知能基本計画」です。この計画では、AIの利活用や開発を担う人材を次の5つの人材像に整理しています。

人材像人工知能基本計画での説明(要旨)
AI適正活用人材AIの基礎的な知見・知識として最低限のリテラシーを身につけ、適正な形でAIを利活用できる人材。全ての国民が目指すもの
AI研究開発人材AIの研究開発を担う研究者やエンジニア。AIへの深い理解と洞察を持つ高度専門人材
AI実装人材汎用的なAIソリューションでなく、現場に適合したAIソリューションを提供する人材。産業・行政の現場とAIの双方の理解が求められる
AIガバナンス人材安全・安心で信頼できるAIを開発・活用するためのルールや仕組みを整備・運用する人材
AIイノベーション人材AIを利活用して経済・社会構造の変革や付加価値の創出を行い、課題解決を先導する人材

出典:内閣府「人工知能基本計画」(令和8年7月14日閣議決定)

この表から読み取れるのは、国が「全ての国民がAI適正活用人材を目指す」ことを前提に置き、そのうえでAX(AIによる業務や事業の変革)を進める中核としてAI実装人材を位置づけている点です。AIを作る研究者だけでなく、現場に合わせてAIを入れる人や、ルールを整える人までがAI人材に含まれています。

AI戦略2019の3つの層(リテラシー・応用基礎・エキスパート)

人工知能基本計画より前は、2019年6月に統合イノベーション戦略推進会議が決定した「AI戦略2019」がAI人材育成の土台でした。AI戦略2019は、AI人材を次の3つの層に分けて育成目標を置いています。

  • リテラシー:文理を問わず全ての大学・高専生(約50万人卒/年)が、初級レベルの数理・データサイエンス・AIを習得する
  • 応用基礎:データサイエンス・AIを理解し、各専門分野で応用できる人材を約25万人/年育成する
  • エキスパート:イノベーションを創出し世界で活躍できる人材を約2,000人/年、そのうちトップクラスを約100人/年育成する

出典:統合イノベーション戦略推進会議「AI戦略2019」(令和元年6月11日)

AI戦略2019は大学教育の数値目標が中心のため、企業のAI人材を考える場合は、人工知能基本計画の5つの人材像を使うほうが実態に合います。

デジタルスキル標準での位置づけとDX人材との違い

企業が人材を定義するときの指針として、経済産業省とIPA(情報処理推進機構)が作っているのが「デジタルスキル標準(DSS)」です。2026年4月16日に公開されたver.2.0が最新版です。

DSSは、全てのビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準」と、DXを推進する専門人材向けの「DX推進スキル標準」の2つでできています。DX推進スキル標準には、ビジネスアーキテクト・デザイナー・データサイエンティスト・データマネジメント・ソフトウェアエンジニア・サイバーセキュリティの6つの類型があり、「AI人材」という類型はありません。AIに関わる役割は主に次の2つの類型と、全類型に共通するスキルに分かれて入っています。

  • データサイエンティスト類型:データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データ解析やAIシステムの仕組みの設計・実装・運用を担う役割
  • データマネジメント類型(ver.2.0で新設):データの安全性・信頼性を確保し、組織全体のデータ利活用を進める役割
  • 共通スキル:「AI実装・運用」「ガバナンス体制の構築・運用(AIガバナンスを含む)」など

出典:経済産業省・IPA「デジタルスキル標準 ver.2.0」(2026年4月)

つまり、DX人材はデジタル技術を使って事業や業務を変える人材の総称で、AI人材はそのうちAIとデータを担う部分と考えると整理しやすくなります。社内でAI人材を定義するときは、DSSのロール(役割)と共通スキルを参照すると、評価や育成の基準に落とし込めます。

生成AI時代にAI人材に求められるスキルの変化

AI人材の定義を押さえたところで、次はその中身であるスキルが、生成AIの普及でどう変わったかを見ていきます。

「作る技術」に加えて「問いを立て、評価し、選ぶ力」へ

経済産業省は2024年6月に「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」をまとめました。この報告書は、生成AIを業務で使うことで知識や技術が補われるため、DXを推進する人材には、リーダーシップや批判的思考などのパーソナルスキルがより重要になると整理しています。そのうえで、求められる力として次の3つを挙げています。

  1. 問いを立てる力:AIに何を解かせるべきかを決める
  2. 仮説を立て・検証する力:AIの出力を仮説として扱い、確かめる
  3. 評価する・選択する力:複数の出力や選択肢から、業務に合うものを選ぶ

出典:経済産業省「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」概要(令和6年6月)

同じ報告書は、データサイエンティストに求められるスキルを「利活用スキル(使う、作る、企画)」と表現しています。プログラミングや統計の知識が不要になったわけではありません。コードを書く作業の一部を生成AIが補うようになった分、何を作るかを決め、出てきた結果を判断する仕事の比重が上がったと読むのが適切です。

デジタルスキル標準ver.2.0で増えたデータ整備とAIガバナンスのスキル

2026年4月のDSS改訂は、生成AIやAIエージェントを業務に定着させる段階を意識した内容になっています。改訂の主な点は次のとおりです。

  • データの収集・整備・管理を担う「データマネジメント類型」を新設し、データスチュワード・データエンジニア・データアーキテクトの3ロールを定義
  • 生成AI、AIエージェント、マルチモーダルAIなどを実装し、運用管理を現場に定着させる「AI実装・運用」のスキルを追加
  • AI倫理、ガイドライン整備、責任あるAI管理を含むAIガバナンスのスキルを拡充

AIを「使ってみる」段階から「業務の仕組みとして動かし続ける」段階に進むほど、データを整える力と安全に運用するルールを作る力が要ります。AI人材のスキルは、モデルを作る技術から、データ整備・業務への組み込み・統制へと範囲が広がったといえます。

AI人材の4つの種類。作る人・組み込む人・使いこなす人・守る人

ここまで見てきた国の定義とスキルの変化を、実務で使いやすい4つの種類に置き換えます。人工知能基本計画の5つの人材像とDSSの類型を対応させると、AI人材は「作る人」「組み込む人」「使いこなす人」「守る人」の4つに分けられます。

AI人材の4つの種類(作る人・組み込む人・使いこなす人・守る人)と、自社で持つべき範囲を示した図
種類人工知能基本計画の人材像DSSで近い類型・スキル主な仕事
AIを作る人AI研究開発人材データサイエンティスト類型、ソフトウェアエンジニア類型AIモデルやAIシステムの研究・開発
AIを業務に組み込む人AI実装人材、AIイノベーション人材データサイエンティスト類型(データビジネスストラテジスト)、データマネジメント類型、共通スキル「AI実装・運用」業務課題の特定、データ整備、PoC、本番導入と定着
AIを使いこなす人AI適正活用人材DXリテラシー標準日々の業務で生成AIやAIツールを適切に使う
AIの信頼性を守る人AIガバナンス人材共通スキル「ガバナンス体制の構築・運用」、サイバーセキュリティ類型利用ルール、リスク評価、監視の仕組みづくり

本記事では、AIイノベーション人材を「組み込む人」の延長に置いています。業務への組み込みを事業全体の変革まで広げて率いる、経営層や事業責任者に当たる人材です。以下、4つの種類を同じ観点(どんな仕事か、自社で持つべきか)で見ていきます。

AIを作る人

AIモデルそのものや、AIを使ったソフトウェアを研究・開発する人材です。機械学習やディープラーニングの知識、実装力が求められ、一般にAIエンジニアやAI研究者と呼ばれます。高度な専門性が必要なため、多くの事業会社では全員を自社で抱えるのではなく、開発会社や外部の専門家と組む形が現実的です。

参照記事:AIエンジニアとは。仕事内容やデータサイエンティストとの違いを解説

AIを業務に組み込む人

自社の業務のどこにAIを入れれば効果が出るかを見極め、データを整え、PoC(小さく試して効果を確かめる検証)から本番導入、現場への定着までを進める人材です。人工知能基本計画のAI実装人材に当たり、「現場とAIの双方を理解すること」が条件とされています。現場の業務知識が欠かせないため、社内に持つべき中心の役割です。

AIを使いこなす人

生成AIやAIツールを、日々の業務で適切に使える人材です。人工知能基本計画は、全ての国民がこのAI適正活用人材を目指すとしています。社員全員が対象になる層で、情報漏洩や誤った出力への注意を含めたリテラシー教育で底上げします。

AIの信頼性を守る人

AIの利用ルールを定め、リスクを評価し、問題が起きたときの対応を決める人材です。情報システム部門や法務、リスク管理部門が兼ねることが多い役割で、生成AIの利用が広がるほど重要度が増します。

参照記事:生成AIの利用ルールの作り方。守れる社内ポリシーを設計する7つの要素

4つを並べると、自社で持つべき範囲の目安が見えてきます。「使いこなす人」は全社員、「組み込む人」と「守る人」は社内の中核メンバー、「作る人」は外部と組みながら一部を社内に持つ、という分け方が多くの企業の出発点になります。

AI人材不足の実態と国の目標値

AI人材の種類を整理したところで、実際にどの程度足りていないのかを数字で確かめます。

企業の8割超がDX・AIを推進する人材の不足を感じている

IPAが国内企業を対象に2026年4月中旬から6月中旬に実施し、7月30日に公開した「DX動向2026」では、DXを推進する人材の「量」が「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた企業が合わせて85.5%でした。「大幅に不足している」は50.1%で、2023年度の62.1%からは下がっていますが、依然として半数を占めます。

同じ調査で、AI導入・運用上の課題として最も多かったのは「専門人材が不足している」(50.1%)でした。次いで「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」(45.8%)が続きます。

出典:IPA「DX動向2026」(2026年7月30日公開)

2040年にAI・ロボットの利活用を担う人材が339万人不足する推計

将来の見通しとしては、経済産業省が2026年3月に公表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」があります。この推計では、AI・ロボット等の利活用を担う人材の2040年の需要が782万人なのに対し、供給は443万人にとどまり、339万人が不足するとされています。一方で、事務職は437万人の余剰になると見込まれています。

2040年のAI・ロボット等の利活用を担う人材の需給(需要782万人・供給443万人で339万人不足)と、事務職の437万人余剰を並べた図

出典:経済産業省「2040年の就業構造推計(改訂版)について」(2026年3月)

注意したいのは、この推計の「AI・ロボット等の利活用を担う人材」は、機械技術者やその他の情報処理通信技術者などの職種を集計したもので、AI人材だけを数えた数字ではない点です。また、十分な国内投資や産業構造の転換が実現する場合を前提にした推計です。それでも、事務の仕事が余り、AIを使って仕事を変える側の人材が足りないという方向ははっきり示されています。

国が掲げてきたAI人材の育成目標

国の育成目標としては、前述のAI戦略2019が掲げた大学・高専での年約50万人(リテラシー)、年約25万人(応用基礎)、年約2,000人(エキスパート)があります。加えて、デジタル人材全体では、デジタル田園都市国家構想総合戦略に基づき、令和4年度から令和8年度末までの5年間で230万人を育成する目標が置かれています。

2026年7月21日の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、この230万人目標の達成状況やAI技術の急激な発展を踏まえ、令和8年度内を目途に令和9年度以降の次期目標を取りまとめるとしています。人工知能基本計画は5つの人材像と育成施策を示していますが、人数の目標は置いていません。

出典:デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和8年7月21日)

国の目標は大学教育と社会人の底上げが中心で、企業が自社に必要な役割を確保する部分は、各社が自分で計画を立てる必要があります。

「AI人材はいらない」は本当か。生成AIで誰でも使える時代にも残る役割

ここまで、AI人材が不足しているというデータを見てきました。一方で、社内からは「AI人材はいらない」という声も聞かれます。この2つは矛盾しているように見えますが、同じ調査を細かく読むと両立していることが分かります。

「AI人材はいらない」と言われる3つの理由

「AI人材はいらない」という意見には、主に次の3つの理由があります。

  • 生成AIで誰でも使えるようになった:総務省の令和8年版情報通信白書では、自社の何らかの業務で生成AIを利用している企業が日本で86.4%に上りました(総務省「令和8年版 情報通信白書」)
  • 作らなくても買えるようになった:AI機能を持つSaaSやノーコードツールが増え、自社でモデルを開発する場面が減った
  • 高度な人材を採用する余裕がない:研究者やAIエンジニアの採用は難しく、中堅・中小企業には現実的でないと考えられている

どれも一部は当たっています。問題は、「AI人材」を「AIを作る高度な専門家」だけに限って考えている点です。

調査が示すのは「要らない役割」と「足りない役割」の差

IPAのDX動向2026は、AI関連人材を7つに分けて充足状況を尋ねています。2025年度調査(回答約1,780社)の結果は次のとおりです。

AI関連人材の区分不足している自社には必要ない
データマネジメントの知見があり、社内で企画、推進できる人材71.9%14.5%
現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員69.6%14.8%
AIツールを活用して、自社の事業に活かせる従業員66.5%14.8%
AIを活用した製品・サービスを企画できるAI事業企画58.1%25.0%
AIを活用したソフトウェアやシステムを実装できるAI開発者49.9%40.7%
AIに理解がある経営・マネジメント層39.0%11.7%
先端的なAIアルゴリズムを開発したり、学術論文を書けたりするAI研究者39.1%56.7%

出典:IPA「DX動向2026」データ集 p.93

AI関連人材の7つの区分ごとに「不足している」と「自社には必要ない」の割合を並べ、AI研究者だけ必要ないが上回ることを示した棒グラフ

表から読み取れるのは、AI研究者は56.7%の企業が「自社には必要ない」と答えている一方で、現場の知見を持ってAI導入を推進できる従業員やデータマネジメント人材は約7割の企業で足りていないということです。「AI人材はいらない」が当てはまるのは「作る人」の最上位層であって、「組み込む人」はむしろ最も不足しています。なお「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員」の不足は、2023年度の84.4%から69.6%へ下がっており、育成が少しずつ進んでいることもうかがえます。

誰でも使える時代にも人が担う3つの仕事

生成AIを全社員が使えるようになっても、次の3つの仕事は人が担う必要があります。リベルクラフトがRAG(社内文書を検索してAIに回答させる仕組み)の構築やPoCを支援する中でも、つまずきが出るのはこの3つです。

  1. 業務のどこにAIを入れるかを決める:どの業務のどの判断を、どこまでAIに任せるかは、業務の流れと例外を知る人にしか決められません
  2. AIに読ませる社内データを整える:規程や手順書が古い版のまま残っている、表記がばらばらといった状態では、AIは正しく答えられません。どの文書が正しいかを判断し、整える作業が要ります
  3. 出力を評価し、運用のルールを決める:AIの回答が業務で使える水準かを確かめる基準を作り、間違えたときの対応と改善の手順を決める必要があります

この3つは、人工知能基本計画のAI実装人材とAIガバナンス人材、DSSのデータマネジメント類型に当たる仕事です。生成AIが広がるほど、AIを作る人より、AIを業務に組み込み、データを整え、統制する人の需要が高まると考えられます。

ここまで足りないAI人材の役割を解説しましたが、「生成AIは使い始めたが、業務に組み込める人が社内にいない」という方は、リベルクラフトへご相談ください。

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自社でAI人材を確保する方法の全体像

足りないのが「AIを業務に組み込む人」だと分かれば、確保の打ち手も絞れます。ここでは、AI・DX推進の担当者が進める順番を4つのステップで示します。

AI人材を確保する4つのステップ

AI人材を確保する4つのステップ(役割を決める→育てる役割と頼る役割を分ける→研修と実務をセットにする→評価と配置を決める)
  1. 必要な役割を決める(推進担当者、最初の1か月):4つの種類のうち、自社で足りないのはどれかを洗い出します。DSSのロールを参考に、「どの業務で、誰が、どの役割を担うか」を一覧にします。DX動向2026では、人材の「質」が「大幅に不足している」と答えた割合が、必要なスキルを把握している企業で40.6%、把握できていない企業で64.0%でした。最初に役割とスキルを言葉にすることが、確保の出発点になります
  2. 社内で育てる役割と外部に頼る役割を分ける(推進担当者と経営層):「組み込む人」「使いこなす人」「守る人」は現場の業務知識が要るため社内で育てます。「作る人」の高度な部分は、開発会社や外部の専門家と組むほうが早く確実です。外部に任せる場合も、社内に窓口と判断役を置きます
  3. 研修と実務の案件をセットにする(育成対象者、3〜6か月):座学の研修だけで終えず、自社のデータを使った小さなPoCを課題にして学びます。学んだ内容を自部門の課題に当てはめることで、組み込む力が身につきます
  4. 評価と配置を決める(人事部門と推進担当者):育成した人材が役割を発揮できるよう、評価基準と配属先を決めます。PoCを担当した人を本番導入のプロジェクトに配置するなど、学んだ役割を続けて担える場をつくります

生成AIの導入が推進担当者1人に集中して止まる原因と、全社に広げる進め方は、以下の記事で解説しています。

参照記事:生成AI導入が「担当者一人」で止まる理由。全社に広げる3つの問い

公表事例:ダイキン工業の社内大学

社内でAI人材を育てた公表事例として、ダイキン工業の「ダイキン情報技術大学」があります。外部からの人材獲得が難しいことから2017年12月に社内の人材育成制度として始まり、新入社員を毎年100名規模で受け入れ、1人あたり2年間の教育を行っています。

カリキュラムは、既存の業務部門のメンバーが自部門の課題をAIで解決する「AI活用人材」、新入社員を一から育てる「AI技術開発人材」、既存のエンジニアにクラウドやAIの最新技術を教える「システム開発人材」に分かれています。2023年度末までに1,500名の育成計画を達成し、2025年度末までに2,000名の育成を計画しています。

出典:ダイキン工業「デジタル時代における製造業の変革~ダイキン情報技術大学」(2025年1月15日)

この事例でも、既存社員が自部門の業務課題を題材に学ぶ「AI活用人材」が育成の柱の1つになっています。同じ規模の制度をすぐに作れる企業は多くありません。それでも、役割ごとに育て方を分け、自社の実務の課題を題材に学ばせる進め方は、小さな規模の企業でも取り入れられます。

まとめ

  • AI人材とは、AIを作る、業務に組み込む、使いこなす、安全に運用するといった形でAIの利活用や開発を担う人材の総称です
  • 国の最新の整理は人工知能基本計画(2026年7月14日閣議決定)の5つの人材像で、全ての国民が目指すAI適正活用人材と、AXの中核となるAI実装人材が柱です
  • 生成AI時代のスキルは、作る技術に加えて、問いを立て、評価し、選ぶ力と、データ整備やAIガバナンスへと広がりました
  • 実務では、作る人・組み込む人・使いこなす人・守る人の4つに分けると、自社で持つべき範囲を決めやすくなります
  • 企業の85.5%がDX推進人材の不足を感じ、2040年にはAI・ロボットの利活用を担う人材が339万人不足するという推計があります
  • 「AI人材はいらない」が当てはまるのは研究者などの最上位層で、現場でAI導入を推進できる人材やデータマネジメント人材は約7割の企業で不足しています

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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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