データサイエンティストはAIの発展でなくなるのか。AI時代に生き残るための2つの解

データサイエンティストはAIの発展でなくなるのか。AI時代に生き残るための2つの解

「データサイエンティストはAIの発展でなくなるのでは?」「AI時代に生き残るためにはどうすればいい?」と悩む方も多いでしょう。

AIの急速な発展によりデータサイエンティストは必要ないと耳にすることも多くなりました。しかし、正しいスキル・知識を身につければデータサイエンティストがなくなることはありません。

そこで本記事では、

  • データサイエンティストがAIに代替えされると言われる理由
  • データサイエンティストがAIによってなくならない理由
  • AI時代にデータサイエンティストが生き残るための解

について解説します。

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データサイエンティストとは?

データサイエンティストとは、企業や組織に蓄積された大量のデータを、

  • 統計学
  • 数学
  • プログラミング
  • AI

などの知識を用いて分析し、傾向や課題、将来の予測を導き出す仕事です。売上向上や業務効率化、意思決定の高度化といったビジネス上の成果につなげることを目的とします。

単にデータを分析するだけでなく「どのデータを使い、何を明らかにし、どう施策に落とし込むか」までを一貫して設計・提案できる点が特徴です。

以下の記事では、データサイエンスとAIの違いについて詳しく解説していますので、本記事とあわせてご覧ください。

参照記事:データサイエンスとAIの違い・共通点とは?代替されない3つの理由を解説

データサイエンティストがAIに代替えされると言われる理由

「データサイエンティストはなくなる」と言われる理由は、主に2つです。

  • 分析ツールの急速な発展
  • AIツールの導入はコストを抑えられるため

分析ツールの急速な発展

データサイエンティストがAIに代替えされると言われる理由の1つが、AutoMLや生成AIをはじめとする分析ツールが急速に進化したためです。従来はデータサイエンティストが担っていたデータの、

  • 前処理
  • 特徴量設計
  • モデル選定
  • 精度評価

といった工程を、ツールが自動で実行できるようになりました。

たとえば、統計理論やPythonの高度なコーディング知識がなくても、データをアップロードし目的を指定するだけで、複数のモデルを比較し最適な結果を提示してくれるケースも珍しくありません。そのため、分析を回す作業自体は人の介在が不要になり、これまでデータサイエンティストの専門領域とされてきたスキルの一部が、AIに置き換え可能だと見なされるようになっています。

データ分析ツールについては以下の記事で紹介していますので、あわせてご覧ください。

参照記事:データ分析ツールとは?目的別の最適なツールや導入メリット・注意点を解説

AIツールの導入はコストを抑えられるため

企業視点で見ると、高度なデータサイエンティストを採用・育成するには、年収に加え、教育コストや定着リスクなど多くの負担が伴います。一方、AI分析ツールであれば、月額・年額のライセンス費用を支払うだけで、一定水準以上の分析環境をすぐに整えられます。

特に中小企業やデータ活用の初期フェーズにある企業では、AIツールで十分と判断されやすく、人件費よりもツール導入を選択する傾向が強まっています。この結果、「コスト効率の観点から、データサイエンティストはAIで代替できるのではないか」という認識が広がっているのです。

データサイエンティストがAIによってなくならない理由

上記を踏まえた上で、結論を言うとデータサイエンティストはAIによって全ての業務を代替えされることはありません。その理由を3つ紹介します。

  • IT人材不足の深刻化
  • AIは全ての領域を担えるわけではない
  • データ分析市場の拡大

IT人材不足の深刻化

データサイエンティストがAIによってなくならない理由の1つが、IT人材不足の深刻化です。経済産業省の調査によると、日本では2019年を境にIT人材の供給が減少傾向に入り、2030年には最大で約79万人ものIT人材が不足すると予測されています。

出典:経済産業省|IT人材育成の状況等について

AI技術が進化しても、データを集める環境を整えたり、分析結果を正しく解釈して業務に活かしたりするには、専門知識を持つ人材の存在が必須です。AIは使われて初めて価値を生むツールであり、適切なデータ設計や活用方針を決める役割までは担えません。

そのため、人材不足が進むほど、データとAIを橋渡しできるデータサイエンティストの重要性は高まり続けています。

AIは全ての領域を担えるわけではない

AIの急速な発展によって、データサイエンティストの仕事が減少しているのは確かです。以下の画像を見て分かる通り、現在必要なスキルはAIを使用することで、縮小していることがわかります。

しかし分析結果を踏まえて、

  • どの施策を選ぶべきか
  • AIをどの業務にどう組み込むか

など、現場の状況や顧客の反応を観察して本当の課題を見極めるといった作業は、人の経験や対話が欠かせない領域です。また、クライアントや社内関係者に対して、数字の背景や意味をわかりやすく説明し、納得感を持ってもらう役割も人間ならではと言えるでしょう。

データ分析市場の拡大

データ分析市場が年々拡大しているのも、データサイエンティストがなくならない理由の1つです。「FORTUNE BUSINESS INSIGHTS」によると、分析市場は2025年の822億3,000万米ドルから2032年には4,027億米ドルに成長し、予測期間中に25.5%のCAGRを示すことが予測されています。

出典:FORTUNE BUSINESS INSIGHTS|データ分析市場の規模

市場が広がるほど、単に分析を行うだけでなく、「どのデータを使うべきか」「どの指標を重視すべきか」「分析結果をどう意思決定につなげるか」を設計・判断できる人材の価値は高まります。こうした役割を担える存在として、データサイエンティストの需要はむしろ増加しており、AI時代においても中核人材として期待され続けているのです。

データサイエンティストの将来性については以下の記事で詳しく解説していますので、本記事とあわせてご覧ください。

参照記事:データサイエンティストの将来性が高い3つの理由。習得するべきスキルと学習方法も

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AI時代におけるデータサイエンティストの解

AI時代において、データサイエンティストはどうすれば生き残れるのか。その解について2つの視点で解説します。

  • AIに代替えできない領域のスキルを身につける
  • AIとの協働で業務効率化を考える

AIに代替えできない領域のスキルを身につける

AI技術が高度化する中で、データサイエンティストに求められる役割は、分析を行う人→分析をどう使うかを設計する人へと変化しています。モデル構築や数値計算といった作業そのものはAIが担えるようになりつつありますが、

  • そもそも何を分析すべきか
  • どのデータが課題解決に直結するのか

を見極める力は、現場理解やビジネス感覚が必須です。また、分析結果を踏まえて関係者と議論し、意思決定を後押しするコミュニケーション力や説明力も、人にしか発揮できないスキルです。

つまり、AIでは代替えできないスキルを高いレベルで身につけることがデータサイエンティストとして生き残るためには必要なのです。

AIとの協働で業務効率化を考える

一番してはいけないことは、AIに勝つスキルを身につけようとすることです。AIより早く業務をこなすことは難しく、処理速度や計算量、網羅性といった点では人間が太刀打ちできる領域ではありません。

そのため、AIを使いこなすスキルを身につけることが大切なのです。実際、Data Scientist Society Journalによると、DS協会会員で2023年にAIを業務で活用しているデータサイエンティストは31%ですが、2024年には60%まで向上しています。

出典:Data Scientist Society Journal

得意な処理はAIに任せ、人は判断や設計に集中するという役割分担が重要になります。AIと協働する姿勢を持つことで、データサイエンティストはより付加価値の高い仕事に時間を使えるようになるのです。

AI時代にデータサイエンティストが身につけるべきスキル

AI時代にデータサイエンティストとして生き残るためには、以下6つのスキルを身につけましょう。

  • データ処理・ITスキル
  • 数学・統計解析スキル
  • ビジネス理解・課題解決スキル
  • LLM・RAG系のスキル
  • コミュニケーション・ストーリーテリングスキル
  • 直感・仮説発想と倫理的判断

データ処理・ITスキル

AIがどれだけ進化しても、成果を左右するのは分析に使える状態のデータを用意できるかどうかです。現場では、データがバラバラに管理されていたり、欠損や形式の違いが多かったりするのが当たり前で、そのままではAIは正しく動きません。そこで重要になるのが、PythonやSQLを使ったデータ加工に加え、データ基盤そのものを理解するIT寄りの知識です。

たとえば、

  • PandasやSparkでの前処理
  • データを自動で流すETLの設計
  • Airflowなどを使った定期処理の管理

ができると、分析を継続的に回せます。さらに、クラウド上で計算資源やストレージ、機械学習環境を組み合わせて設計できれば、大規模データを扱う案件にも対応可能です。

数学・統計解析スキル

最近はツールを使えば簡単にモデルを作れるようになりましたが、結果をどこまで信用してよいかを判断するには、数学や統計の理解が必要です。たとえば、精度が高く見えても、過去データに引っ張られているだけのケースや、偏ったサンプルで学習しているケースは少なくありません。

線形代数や確率、統計の基礎を押さえていれば、「なぜこの結果になるのか」「どこに落とし穴があるのか」を説明できます。実務では、

  • A/Bテスト
  • 仮説検定
  • 因果関係の整理

など、意思決定に直結する統計手法を適切に選ぶ力が重要です。ツール任せで数値を見るのではなく、モデルの挙動を理屈で理解し、改善ポイントを言語化できることが、専門性の差につながります。

ビジネス理解・課題解決スキル

AI時代に価値が高まるのは、ビジネスを理解したうえで何を解くべきかを決められる力です。データサイエンティストの役割は、精度の高いモデルを作ることではなく、事業の課題を整理し、データを使って意思決定を支援することにあります。

  • 売上が伸びない理由は何か
  • 改善すべき指標はどれか
  • その施策は本当に利益につながるのか

など上記の問いを立てるには、業界構造やKPI、顧客行動への理解が必要です。

さらに、分析結果を施策に落とし込み、効果検証まで含めて回せると良いでしょう。AIが分析を自動化するほど、ビジネス視点の重要性は高まっていきます。

LLM・RAG系のスキル

生成AI時代のデータサイエンティストには、AIを業務に組み込む力が求められます。たとえば、社内ドキュメントやデータベースとAIをつなぎ、必要な情報を検索しながら回答させるRAGは、多くの業務で活用が進んでいます。

その際には、

  • どの単位で情報を分割するか
  • どの検索方法を組み合わせるか

など、設計次第で品質が変わります。また、レポート作成や分析補助を自動化するエージェントを、既存のシステムと連携させて実際に運用できると強みになります。

加えて、誤情報や情報漏洩といったリスクに配慮し、評価やチェックの仕組みを用意する視点も必要です。AIと従来の分析手法をどう組み合わせるかが、今後の差別化ポイントになります。

以下の記事では、RAGの概要や精度向上施策について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

参照記事:RAGの精度向上施策・事例紹介 成功事例からRAGの具体的活用方法を学ぶ

コミュニケーション・ストーリーテリングスキル

どれほど高度な分析を行っても、関係者に伝わらなければ意味がありません。データサイエンティストには、専門外の人にも理解できる言葉で、「何が問題で、何が分かり、どう動くべきか」を説明する力が求められます。

グラフやダッシュボードの作り方一つで、意思決定のしやすさは大きく変わります。

現状→事実→解釈→打ち手

という流れで整理し、相手の関心に沿って話すことで、分析が実務に活きます。AIが資料作成を支援してくれる時代だからこそ、どこを強調し、何を省くかを判断する人の力が重要です。

直感・仮説発想と倫理的判断

AIによる自動分析が進むほど、人間の直感や経験の価値はむしろ高まります。数値を見て、

  • 違和感がある
  • ここにチャンスがありそう

と感じる感覚は、過去の経験や現場理解から生まれるものです。

その直感を仮説として立て、データで検証するサイクルを回せる人は存在になります。一方で、データ活用にはプライバシーや公平性といった倫理的な課題もつきまといます。

AIの判断が偏っていないか、利用者に不利益を与えていないかを確認し、必要に応じてルールを見直す姿勢が必要です。データ・直感・倫理をバランスよく扱えることが、これからのデータサイエンティストの価値になります。

以下の記事では、未経験からデータサイエンティストを身につけるためのロードマップを解説しています。学習方法も解説していますので、あわせてチェックしてみてください。

参照記事:未経験からデータサイエンティストを目指すロードマップ。実例も交えながら学習方法を解説

ここまで身につけるべきスキルを解説しましたが、一長一短で身につけられるわけではなく、独学では時間がかかります。そこでCraft Collegeの受講を検討してみてください。

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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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