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  • 充実したユーザー行動データを分析し、コミュニティを活性化

    充実したユーザー行動データを分析し、コミュニティを活性化
    左から芦澤 聡一郎 氏(オシロ株式会社 プロダクト開発部 データサイエンティスト)、弊社代表 三好 大悟

    オシロ株式会社は、クリエイターやブランドとファン、またファンどうしのつながりを強めるコミュニティプラットフォームサービス『OSIRO』を提供しています。
    リベルクラフトは、データに基づいて同サービスを改善するべく、アドバイザーという立場からユーザー動向や満足度のデータ分析を支援しました。

    本記事では、オシロ株式会社 プロダクト開発部 データサイエンティストの芦澤 聡一郎氏にインタビューを実施。
    同社が抱えていた課題やリベルクラフトとともに進めているプロジェクト、今後のプロダクト開発における展望について伺いました。

    PROFILE

    プロフィール

    芦澤 聡一郎 氏

    オシロ株式会社 プロダクト開発部 データサイエンティスト
    新卒で株式会社セプテーニに入社。マーケティング職を経験したのちデータ職へ転向し、機械学習を用いた広告配信のLTV向上や、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)による予算最適化などの分析、提案に従事する。2023年4月よりオシロ株式会社に入社。現在はコミュニティ活性化をミッションに、ユーザーの行動データ分析や機能の効果検証を通じて、コミュニティが成功するための体験づくりを目指している。

    三好 大悟

    株式会社リベルクラフト 代表取締役  データサイエンティスト
    慶應義塾大学で金融工学を専攻。卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。
    株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

    データ化しづらいユーザー動向の分析が課題

    まずはオシロさんの事業内容について教えてください。

    芦澤氏 クリエイターやブランド・企業向けに、コミュニティプラットフォーム『OSIRO』を開発・提供しています。OSIROでは、ブログの投稿やイベント企画・運営、メンバー交流のシステムや決済まで、コミュニティ運営に必要な機能を網羅しています。また、サービスを提供するだけではなく、コミュニティの立ち上げや運営のサポートなど、コミュニティ運営者さまの伴走支援もさせていただいています。

    プロダクト開発チームは、「コミュニティがより活性化していきやすいようなプラットフォーム」を目指して開発をしています。

    というのも、「単に人がいるだけ」でコミュニティメンバーどうしの交流が活発になることはなく、プラットフォーム上の仕掛けやオーナーさまからの働きかけにより、ユーザーがアクティブに参加しやすい状態をつくる必要があるためです。プロダクト開発チームでは、ユーザー視点に立ちながら「どのようなコミュニティであれば活発に参加しやすいのか」を分析し、その結果を機能改善やオーナーサポートに活かしています。

    弊社が支援する前のオシロ様の状況について教えてください。

    芦澤氏 コミュニティ内でのユーザー行動はデータとして十分蓄積されているものの、そこから実態に沿った示唆を取り出すのは簡単ではないと感じていました。

    「コミュニティ」とひとことに言っても、その目的や所属するメンバーの属性などによってデータが持つ意味は大きく変わるので、「どの指標がどの状態であればよいコミュニティなのか」を明確にすることが難しいんですよね。

    たとえば「メッセージ投稿」という指標一つとっても、投稿して反応をもらえることが大事な価値に感じる人もいれば、見ているだけで満足する人もいます。このような一筋縄はいかない分析に取り組み、データドリブンでサービス改善を進めていくにあたって、社外の専門家に入っていただきたいと考えていました。

    どのようなきっかけでリベルクラフトを知ったのでしょうか。

    芦澤氏 リベルクラフト代表の三好さんが、以前私が通っていたデータサイエンススクールの講師を務めていて、お話ししたことがありました。スクールを卒業してからはしばらく接点がなかったのですが、オシロでデータ分析に悩んでいる時期にたまたま別の知人経由で再会して、何度か相談するなかで継続的な支援を依頼する運びとなりました。

    ほかの選択肢もある中で、リベルクラフトへの依頼を決めた理由は何だったのでしょうか。

    芦澤氏 データ分析とビジネス、両方の視点から助言をいただけることが決め手となりました。データ分析の細かい部分までアドバイスをいただける一方で、技術的な視点にも寄りすぎない。このようなバランス感覚を持ってサポートいただける点に魅力を感じ、リベルクラフトさんへの依頼を決めました。

    ユーザー動向から満足度を推定するモデルを構築

    リベルクラフトの支援開始後、どのようなプロジェクトに取り組んだのでしょうか?

    芦澤氏 たとえば、ユーザー活性化のための分析や、コミュニティ満足度の評価に取り組みました。

    前者のユーザー動向については、大きく「メンバーが活発になるうえでの重要な行動や状態の特定」「メンバーどうしが交流して関係を深めていくための分析」を行いました。

    弊社ではプラットフォーム内で積極的に行動してコミュニティを盛り上げているユーザーを「弾んでいる」と呼んでいるのですが、その「弾んでいる」状態を定量的に定義したうえで、そのほかの行動指標との関連を分析しました。

    交流については、メッセージのやりとりが活発な仲のよいペアの動向を追い、お互い面識のない状態からお互いにメッセージを送り合うようになるまでに、どのようなプロセスを経たのかを明らかにしました。

    プラットフォームサービスならではのデータが蓄積されているがゆえに、さまざまな分析が可能だったのですね。もう1つの「満足度の評価」についても詳しくお聞かせください。

    芦澤氏 ユーザーのログイン頻度、メッセージ投稿数、などのデータは十分に取得できていたのですが、それらが実際にコミュニティを楽しんでる状態とどう結びつくかは見えていませんでした。そこで、複数のコミュニティオーナーさんに協力いただきながら、メンバーさんに直接アンケートを取り、行動指標から満足度を推定するモデルを作成しました。

    昨今のデータ分析では生成AIを活用することが増えてきましたが、御社のプロジェクトでも生成AIを活用した場面はありましたか?

    芦澤氏 主にコミュニティ内でやりとりされるテキストの分析で生成AIを活用しています。

    コミュニティプラットフォームというサービスの性質上、弊社のデータベースにはユーザーが投稿したブログやコメントなどのテキストデータが多く蓄積されています。それらのデータベースをもとにLLM(大規模言語モデル)を活用することで、コミュニティ内で関心の高いトピックを抽出したり、メッセージに感情ラベルを付与して分析に組み込んだりしています。そのほか、トラブルにつながりそうな発言を検知するといった機能も準備を進めています。

    ユーザーがコミュニティ内で活発化するまでの導線を整理

    プロジェクトを通じて、どのような成果がありましたか?

    芦澤氏 コミュニティプラットフォームというサービスの性質上、弊社のデータベースにはユーザーが投稿したブログやコメントなどのテキストデータが多く蓄積されています。それらのデータベースをもとにLLM(大規模言語モデル)を活用することで、コミュニティ内で関心の高いトピックを抽出したり、メッセージに感情ラベルを付与して分析に組み込んだりしています。そのほか、トラブルにつながりそうな発言を検知するといった機能も準備を進めています。プロダクトやサポートに活かせる示唆を得ることができました。

    たとえば交流の分析においては、コミュニティ内で関係の深いペアをピックアップして、N1分析的に観察しました。そこから見えてきた特徴をもとにユーザーを4つのカテゴリに分類し、ユーザーの分布、時間経過によるカテゴリ移動の傾向などを深ぼっていった結果、「自分からコミュニティの誰かに話しかけられるようになることが1つのターニングポイントになっていそう」といった示唆を取り出すことができました。

    また、ユーザーどうしがお互いを認知してからメッセージのやりとりをするに至るまでのステップを分解し、ボトルネックや各ステップの離脱につながる要因分析から、UI改善に向けた示唆を得ています。

    ほかには、一部のコミュニティオーナーさんからPOSデータをいただき、コミュニティメンバーが購入に至るまでの行動分析を実施した例もあります。

    以上のような分析結果をカスタマーサクセスチームおよびコミュニティオーナーさんに共有することで、ユーザー行動の活発化やユーザーどうしのつながりの強化を後押ししています。

    データの中にいる「1人のユーザー」を理解することから

    データ分析を通じて今後取り組んでいきたいことを教えてください。

    芦澤氏 コミュニティならではのデータから、コミュニティならではの価値を取り出す分析に注力していきたいと考えています。熱量の高いメンバーが集まるコミュニティでは、SNSなどで見られるよりも濃い感情のやりとりが見られます。そういったユーザーの行動について定性定量の両面で深めていくことで、コミュニティからオーナーさんにとっての価値がしっかりうまれる状態をつくっていきたいです。

    データ分析を進めていくうえで大切にしていることを教えてください。

    芦澤氏 データを観察する前に、N=1ユーザーの動向を追うことを重視しています。基本的な統計量や推移を確認することももちろん重要なのですが、いきなり数字だけを見ると、実態と乖離した見方になりがちなんですよね。まずは「実在する1人のユーザーがどのような行動をとっているのか」を押さえることが、地に足のついた仮説の構築につながります。

    三好 弊社からも、マクロの分析と合わせて「N=1ユーザーの動向を深掘りしましょう」と提案することがよくあります。飛び抜けてエンゲージメントが高いユーザーや逆に退会に至ったユーザーなど、特徴的なサンプルを分析することで、全体の傾向からは得られない示唆を得ることができます。
    ユーザー行動データが多く蓄積されている点はオシロさんの強みです。今後もさまざまな角度から分析を行い、プロダクトの改善やカスタマーサクセスのお手伝いができればと考えています。

    リベルクラフトに依頼してよかった点を教えてください。

    芦澤氏 抽象的な問題意識からでも、解決可能な分析課題に落とし込んでくださるのがありがたいですね。
    データ分析の知識が限られていると「何を分析すれば知りたいことを導き出せるのか」という道筋をつけること自体が難しいものです。
    リベルクラフトさんは、いつも「どのデータをどう分析すべきか」をわかりやすく説明しながら、一緒に道筋を立ててくださるので、とても助かっています。
    ここまで現場に寄り添った支援をいただけるのは、データ分析と事業運営、両方のノウハウを持ったリベルクラフトさんならではの強みだと思います。

    今後もリベルクラフトさんの力をお借りしながら、クリエイターさんの活動を支えるプラットフォームをつくっていきたいと思います。

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