「データを集めたのはいいけど、どう分析すればいいのかわからない」という方は多いでしょう。
ビジネス課題の発見や改善策の立案に対して、データ分析は必須のプロセスですが、目的に応じて適切な手法を選ばなければ、集めた情報・データも有効に活用できません。
そこで本記事では、分析目的に合わせた16の手法を種類・目的別に紹介し、それぞれの活用ポイントも解説します。分析初心者の方でもわかりやすい内容となっていますので、最後までご覧ください。
データ分析とは
データ分析とは、売上やアンケートなどの情報を整理・加工・分析し、そこから傾向や関係性、問題の原因を見つけ出すプロセスです。
例えば、自社が以下のような条件でビジネスを行っていると仮定します。
- ビジネス概要:20代女性に向けた化粧品を販売
- 販売方法:ECサイト
- 目的:売上の向上
この時に「購入率が高いのはいつか?」を購入データをもとに分析を行えば、購入率が高い曜日・時間・時期などデータをもとに割り出すことができます。
分析の結果、「土曜日・12時ごろに購入率が高い」と分かれば、その時間でピンポイントに広告やキャンペーンなどの施策を打ち、売上を向上できます。
正しい分析手法を活用できれば、ビジネスにおけるさまざまな課題を解決することができるのです。
データ分析の重要性
現代のビジネスでデータ分析が重要と言われる理由には、主に以下2つの理由があります。
- 意思決定の質・スピードの向上
- ビジネス課題の解決・打ち手の最適化
意思決定の質・スピードの向上
データ分析を活用することで、経験や勘に頼るのではなく、客観的な数値に基づいた意思決定が可能になります。
また、意思決定の精度が上がるだけでなく、現状の課題や傾向を素早く把握し、仮説の立案や施策の立ち上げもスピーディーに行えるように。
ビジネス課題の解決・打ち手の最適化
データ分析は、ビジネスのあらゆる課題を可視化し、効果的な打ち手を導き出すための「ロードマップ」のような役割を果たします。
例えば、売上が伸び悩んでいるときに、顧客属性や購買履歴、時間帯別の売上データを分析すれば、「どの商品が・誰に・いつ売れているのか」が見えてきます。
そこから、ターゲット層に合った商品訴求や販促のタイミングを調整することで、効率よく売上を伸ばすことができるのです。
また、業務の無駄を発見することでコスト削減にもつながり、分析結果を活かしてプロセスを自動化すれば生産性の向上も実現できるでしょう。
過去のデータをもとにした予測分析を行えば、将来の市場動向やリスクも事前に察知でき、戦略立案に役立てることができます。
データ分析は「現状の課題発見」と「効果的な対策」の両方を根拠に基づく改善ができる手法です。
データ分析を始める前にすべきこと
データ分析はただ闇雲に分析をしても上手くいきません。そのため、データ分析を始める前に以下2つの事項を実施しましょう。
- 意目的の明確化
- 分析すべきデータの特定
目的の明確化
データ分析を始めるうえで最も重要であり、まず最初に取り組むべきことが「目的の明確化」です。ここが曖昧なままでは、
- どんなデータを使えばよいのか
- どんな分析手法が適しているのか
を判断できず、労力と時間をかけても成果に結びつかない分析になります。

目的を明確にするにはまず、分析の「ゴール=ビジネス課題」を明確にしましょう。
ここで登場するのが KGI(重要目標達成指標) です。例えば「売上を上げたい」「コストを減らしたい」「顧客の離脱を防ぎたい」など。
【ビジネス上の目的(KGI)の例】
- 売上を上げたい
- コストを削減したい
- 顧客の離脱を防ぎたい
しかし、KGIだけでは具体的な分析のアクションには落とし込めません。
そこで有効なのが、
「KGIからKPI(重要業績評価指標)を設計する」というアプローチ
です。
KPIとは、KGIの達成に向けた中間指標であり、日々の業務レベルで計測・改善可能な項目です。
例えば「月間売上1000万円達成(KGI)」が目標であれば、「新規顧客数」「客単価」「リピート率」などをKPIとして分解し、どこを強化すればゴールに近づけるかを見極めていきます。
こうしてKGIから逆算し、影響度の高いKPIを特定すれば、データ分析で注目すべき項目や判断すべき基準が明確になります。
データ分析とは「数値を見て何かを考える」作業ではなく、「明確な目的に向けて、どの数値をどう改善すればよいかを探る」こと。
初めにすべきことはKGI・KPIの設計による目的の具体化に他なりません。
ここを丁寧に設計することで、分析の精度と効果が大きく変わってきます。
分析すべきデータの特定
データ分析では、「何を改善したいのか」「どの指標に注目すべきか」をはっきりさせることが、重要。そこで必要になるのが「分析すべきデータの特定」です。
つまり、『目的(課題)の具体化=KPIの特定』を実施するということです。

では、実際にどのように考えるべきなのかを解説します。
【KPIの特定ステップ】
- ①KGIの設定(最終目標)(例:月間売上1,000万円を達成したい)
- ②KPIツリーの作成 KGIを因数分解して、影響を与える要素を整理(例:新規顧客数・リピート率・顧客単価)
- ③課題の仮説立案(どれが原因か?) (仮説:「最近リピート率が落ちているのが売上減少の原因では?」など)
- ④分析の問いへ変換 (例:「リピート率が低下している原因は何か?」)
- ⑤対応するデータを特定 顧客ごとの購入履歴、購入間隔、商品カテゴリ別データなど
このステップでは、まずビジネス目標(KGI)を起点に、達成に必要な要素を分解し、影響度の高いKPIを仮説ベースで抽出していきます。
例えば、KGIが「月間売上1,000万円」であれば、KPIとしては「新規顧客数」「リピート率」「平均単価」などが挙げられます。
これらの中から、「どれが目標達成を妨げているボトルネックか?」を仮説思考で特定していくのです。
このプロセスを図で示したのが、KGI/KPIツリーです。これにより、どの指標(データ)が注目すべき対象なのかが一目でわかり、無駄なデータ収集や分析を省くことができます。
全体のビジネス構造を俯瞰し、最終目的から逆算しながら課題を因数分解していくことが、分析すべきデータを的確に絞り込むために必須。逆に、この段階が曖昧だと、無関係なデータに時間をかけてしまい、本来解決すべき問題にたどり着けないという「迷子」の状態に陥ってしまいます。
データ分析手法の一覧(目的別・16選)
ここからはデータ分析の手法4つに分類し、目的別に16選紹介します。
- 「数字の相関」や「将来の動き」を読み解く手法
- 「タイプ分け」や「セグメントの発見」に役立つ手法
- 「本質的な要因」や「隠れた構造」を見つける手法
- 「売れ筋分析」や「購買傾向の発見」に役立つ手法
「数字の相関」や「将来の動き」を読み解く手法
こちらで紹介する以下4つの手法は、売上やアクセス数といった数値データをもとに、「何が影響しているのか」や「今後どうなるか」を把握したい時に有効な分析です。
- 相関分析
- 回帰分析
- 時系列分析
- 機械学習(教師あり学習)
相関分析
相関分析は、2つの変数間の関係性の強さと方向性を数値化して示す手法です。
わかりやすく説明すると「Aが変わるとBも一緒に変わるのか?」を調べる方法です。ただし、相関があるからといって必ずしも因果関係があるとは限りません。
また、相関分析では大量のデータの中から関連する項目だけを抜き出すことも可能です。ここで実際に「気温が高いほどアイスの売上は上がるのか?」という例を用いて説明します。
まずは気温とアイスの売上を月ごとに集計した表を作成します。

アイスの売上と気温の相関係数は「0.8」ほどになり、1により近いので、正の相関が強いということです。

つまり、気温が高いほど、アイスの売上は上がるという結論が出せます。なお、0.5以下の場合は、気温が上がるほどアイスの売上が上がるわけではないということを説明できるのです。
回帰分析
回帰分析は、ある結果(目的変数)に対して、どの要因(説明変数)がどの程度影響を与えているかを明らかにする手法です。「この要素が増えたら、あの結果はどれくらい変わる?」という関係性と予測ができます。
例えば「広告を出すとどれくらい売上が増えるのか」「気温が上がるとアイスがどれくらい売れるのか」といった予測に使えます。
ここで弊社リベルクラフトの実際の事例を紹介します。
【広告代理店様との取り組み】
ある広告代理店様とのプロジェクトでは、広告投下量とCV数(コンバージョン数)との関係を回帰分析により明らかにしました。

分析の結果、一定の広告費まではCV数が増加する一方、ある閾値を超えるとCV数の伸びが鈍化する傾向が判明。これにより、最適な広告投下量の判断基準を提示し、クライアントの広告戦略立案に貢献しました。
リベルクラフトでは、AI・データ活用における戦略立案から実装、運用体制の構築や内製化支援までワンストップで伴走支援が可能です。「確度の高いビジネス戦略を立案したい」という方はお気軽にご相談ください。
時系列分析
時系列分析は、時間の経過に伴うデータの変動を分析し、トレンドや季節性、周期性を把握する手法です。「時間の流れにそって、データがどう変化しているか」が見えます。
季節性(夏に売れる、冬に落ちる)やトレンド(右肩上がりか下がりか)を把握し、未来を予測することも可能な分析です。
以下の画像は、「政府統計の総合窓口」に掲載されている東証株価指数(TOPIX)を例に挙げた時系列分析です。

引用: 政府統計の総合窓口(https://www.e-stat.go.jp/)
リーマンショック以降は、TOPIXが上昇傾向にあることがわかります。時間の経過に伴うデータの変動を分析し、Topixのデータ変化を表しています。
機械学習(教師あり学習)
教師あり学習とは、あらかじめ「入力データ」と「正解ラベル」がセットになったデータを使って、コンピュータに学習させる機械学習の手法です。たとえば、過去の売上データと「売れた・売れなかった」といった結果を学習させることで、新しい商品に対して「売れる可能性」を予測できるようになります。
例えば、あなたがバナナを売っているお店であり、毎日「今日は何本売れたか?」「その日の天気」「曜日」「気温」「SNSの投稿回数」などを記録しているとしましょう。

この表をAIに確認させて、「売れた本数(=答え)」を学習させます。 AIは「晴れてて気温が高くてSNSでよく宣伝されてると、売上が多くなりやすい」などをAIが覚えます。
そして、学習したAIに「今日は木曜、晴れ、28℃、SNS2回投稿」と入力することで、AIが「今日の予想売上は65本くらい」と予測してくれるということです。
教師あり学習は、未来の売上を予測できるため仕入れやキャンペーンの準備などしやすくなるのです。
「タイプ分け」や「セグメントの発見」に役立つ手法
次に紹介する以下5つの手法は、ユーザーや顧客を似た行動・属性でグループ分けし、それぞれに最適な戦略やアプローチを考える時に有効です。
- ロジスティック回帰分析
- 決定木分析
- 判別分析
- 数量化Ⅱ類
クラスター分析
クラスター分析は、データを類似性に基づいてグループ化する手法です。顧客の購買履歴やアンケート結果など、多次元のデータから自然なグループを発見し、それぞれの特性を明らかにします。また、クラスター分析は「階層的クラスタリング」と「非階層的クラスタリング」に分けられます。例えば、マーケティングでは顧客を「価格重視型」「品質重視型」「ブランド志向型」などに分類し、各セグメントに合わせた戦略を立てる際に利用されます。
ここでリベルクラフトが支援した実際の事例を紹介します。
【ポスティング会社様との取り組み】
地域密着型のポスティング会社様向けに、クラスタ分析や因子分析を用いて配送エリアのグルーピングを実施。

これにより、「どのエリアが似た特性を持っているか?」をデータから可視化し、過去に成果の出たエリアと類似する地域を新たに抽出。結果として、ポスティングのCV数およびCVR向上に繋がりました。
リベルクラフトでは、AI・データ活用における戦略立案から実装、運用体制の構築や内製化支援までワンストップで伴走支援が可能です。お気軽にお問い合わせください。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、ある事象が起こる確率を予測する手法です。目的変数が「購入する/しない」「解約する/しない」などの2値である場合に適しています。顧客が商品を購入する確率や、サービスを解約するリスクを予測し、ターゲットを絞った施策を行う際に利用されます。
実際に「営業職の成約達成」に影響する要因として、準備時間・訪問件数・スマホ閲覧時間をもとに作成したデータです。

この結果、
- 営業前の準備時間が長いほど、成約率が高くなる傾向
- 訪問件数が多いほど、成約率が高くなる傾向
- スマホ閲覧時間が長いと、成約率が下がる傾向
といった結果を導き出せます。
つまり、営業成績を上げたければ、準備時間と訪問件数を増やし、スマホ閲覧を減らすのが重要という結論です。
決定木分析
決定木分析は、データを階層的に分岐させて分類や予測を行う手法です。視覚的に理解しやすく、どの要因が結果に影響を与えているかを明確に示すことができます。
例えば、顧客の購買行動や解約リスクを予測し、対策を講じる際に利用されます。
ここで弊社リベルクラフトが支援した実際の事例を紹介します。
【大手SaaS企業様のユーザー分析】
大手SaaS企業様とのプロジェクトでは、ユーザーの解約傾向を決定木分析で可視化。

たとえば「直近のログイン回数が一定以下の企業は解約率が高い」など、これまで明確でなかった解約リスクの特徴を発見。 この知見をCS(カスタマーサクセス)チームに提供することで、解約予防の施策設計に貢献しました。
リベルクラフトでは、AI・データ活用における戦略立案から実装、運用体制の構築や内製化支援までワンストップで伴走支援が可能です。「データ戦略を通して、売上向上をしたい」という方はお気軽にお問い合わせください。
判別分析
判別分析は、既知のグループに基づいて、新しいデータがどのグループに属するかを予測する手法です。複数の説明変数を用いて、分類の境界を明確にします。見込み客が購入に至る可能性や、顧客がリピーターになるかどうかを予測する際に活用される分析方法です。
判別分析をするためには、過去データの分析が必要です。今回は事例として、社員の「昇進可否」を判別分析で分類します。
- 横軸:業務評価スコア(5段階)
- 縦軸:コミュニケーション力(面接評価5段階)

このグラフでは、新人Aの座標(3.5, 3.5)がどちらの重心に近いかで昇進可否を予測できます。上記のグラフを見ると、新人A(3.5, 3.5)は昇進群に近いため「昇進」と判別される可能性が高いと結論を出せます。
数量化Ⅱ類
数量化Ⅱ類は、カテゴリーデータ(質的データ)を数値化し、グループ間の関係性を明らかにする手法です。特に、説明変数と目的変数の両方がカテゴリーデータである場合に適しています。
少し難しい手法ですが、わかりやすく説明すると「言葉で表された情報を数字にして、どのグループがどれくらい似てるのか・関係があるのかを調べる方法」です。
例えば、ある飲食チェーン店では、顧客の食事の好みや来店頻度に関するアンケートデータを基に数量化Ⅱ類を実施。その結果、「ラーメンが好きな人は土曜日に来がち」と顧客が週末に来店する傾向があることが判明し、週末限定メニューの開発やプロモーションを行うことで、来店数の増加につながりました。
「本質的な要因」や「隠れた構造」を見つける手法
3つ目に紹介する以下4つの手法はユーザーや顧客を似た行動・属性でグループ分けし、それぞれに最適な戦略やアプローチを考える時に有効です。
- 主成分分析
- 因子分析
- コレスポンデンス分析
- コンジョイント分析
主成分分析
主成分分析とは、たくさんの情報が詰まったデータを「ざっくり整理して、わかりやすくする」ための手法です。例えば、10項目のアンケート結果があると「結局なにが大事なの?」と迷う方も多いでしょう。そんなとき、主成分分析を使うと「この10項目、実はコスパ重視・体験重視の2軸に分けられる」といった本質的な評価の軸が見えてきます。
たくさんの項目の意味を少ない視点で捉えることができ、全体像がシンプルに理解できます。
ある企業では、社員満足度を向上させるためにアンケートを実施し、社内環境のどの要素が強く影響しているかを分析することにしました。
アンケート項目は以下の5つで、それぞれ10点満点で評価されています。
- 職場の人間関係
- 仕事のやりがい
- 給与満足度
- ワークライフバランス
- キャリア支援の充実度

この結果から導き出せる結果は以下のとおりです。
- 「職場の人間関係」と「ワークライフバランス」は似た方向にプロットされており、同じような傾向を持つことがわかります。
→ 良好な人間関係はプライベートの満足度にもつながっている可能性があると考察できます。 - 「給与満足度」は他の要素から少し離れた位置にあり、独立した視点で評価されていることがうかがえます。
→ 他の満足度が高くても、給与への満足は別問題である可能性を示唆しています。 - 「キャリア支援の充実度」と「仕事のやりがい」も近い位置にあり、自己成長の実感がやりがいに直結している傾向があると言えそうです。
因子分析
因子分析は、たくさんの質問項目の背後にある隠れた共通項を見つける方法です。
例えば、アンケートで「この商品はオシャレ」「カッコいい」「色が良い」と答える人が多ければ、それらはまとめて「デザインが好き」という因子にできる、という考え方です。つまり、「バラバラに見える回答が、実は同じ」という仮説を確かめるのに使える手法です。
まずは簡単な例を使って説明していきましょう。ある企業では、社員のスキルを以下の5項目で評価しています。
- 論理的思考力
- プレゼンテーション力
- ITリテラシー
- 問題解決力
- 文書作成能力
このデータをもとに「どんなスキルが優れているか」を把握したいと考えています。
たとえば「論理的思考力が高い社員は問題解決力も高い傾向がある」など、スキル同士がある程度相関していそうという予想はできます。
しかし、どのスキルとどのスキルが、どれだけ関連しているのか?という具体的な関係性はまだわかりません。
そこで、それぞれの社員のスキルには共通する要素(因子)があると仮定し、因子分析を実行したところ以下のような結果になりました。

分析の結果、以下のような2つの因子が抽出されました。
因子A:「論理思考・テクニカル力」因子B:「コミュニケーション・表現力」
つまり、社員のスキル評価はこの2つの要因で大まかに説明できるということがわかります。
コレスポンデンス分析
コレスポンデンス分析は、「この属性の人は、この選択をしやすい」という関係性を図にして「見える化」する手法です。
具体的に説明すると「男性はコーヒー、女性は紅茶を選びやすい」のような傾向を、クロス集計だけじゃなくグラフで直感的に示せるのが強み。属性×行動の関係性を見たいときに最適です。
ファッションアイテムの購買重視ポイントを例にして考えてみましょう。
以下の表は、20代~40代の男女を対象に行ったアンケート調査の一部です。 質問は:「ファッションアイテムを購入するときに、どの要素を重視しますか?」 選択肢は5項目です。
- 伸縮性(フィット感など)
- デザイン
- 速乾性
- ブランド
- 値段
各行は年代・性別ごとのグループで、各列はスコア(重要度)を表しています。

コレスポンデンス分析の結果から、30代・40代女性は「デザイン」を重視し、20代・30代男性は「伸縮性」や「速乾性」などの機能性を重視する傾向があることが分かりました。
また、「値段」は20代男女や30代女性と関係が強く、若年層ほど価格に敏感。一方、「ブランド」は40代男女と関連が深く、年齢層が上がるほどブランド志向が高まる傾向があることが明らかになりました。
コンジョイント分析
コンジョイント分析は、どんな条件の組み合わせが、ユーザーの「買いたい」を引き出すのかを探る手法です。
例えば、旅行プランで「価格」「ホテルのランク」「食事の有無」などの要素があったとき、どれが一番重要か、を見つけるために使います。各要素の「影響力(重み)」を数値化できるので、「どこにコストをかけるべきか」が明確になります。
簡単に解説します。新しくカフェで販売する季節限定ドリンクの企画にあたり、どのような仕様が一番人気になるかを調査することになりました。 商品設計に使う要素は以下の3つです。
- 価格:350円、450円、550円、650円
- 甘さの調整:甘さ控えめ、普通、甘め
- トッピングの有無:なし、ホイップのみ、ホイップ+フルーツ
まずは複数の組み合わせパターンをつくり、来店者に「どれが一番飲みたいか?」という順位をつけてもらいます。

各モデルの順位データをもとに、「どの要素が購買意欲にどれくらい影響していたか(=効用値)」を割り出します。
たとえば下記のような結果が出たとします。

その結果、価格450円、甘さ控えめ、ホイップ+フルーツトッピングを開発するべきという結論が導き出せます。
コンジョイント分析は見た目だけじゃなく、数字で裏付けられた「売れ筋」メニューを企画できるようになります。
「売れ筋分析」や「購買傾向の発見」に役立つ手法
最後に紹介するのは、購買データや顧客行動から「何が売れているのか」「どんな組み合わせが多いのか」などを把握し、販売戦略に活用する時に有効です。
- クロス集計/クロス集計分析
- ABC分析
- アソシエーション分析/バスケット分析
クロス集計/クロス集計分析
クロス集計は、2つの項目を「かけ合わせて分析する」といったシンプルな手法です。例えば「性別」と「購入した商品カテゴリ」を組み合わせることで、「男性は何を多く買っているのか?」「女性がよく買うのはどれ?」といった傾向を一覧表で見える化できます。
年代、地域、来店時間なども組み合わせれば、より細かなターゲット分析が可能になります。
とあるカフェで「来店目的」と「性別」の関係性を調査しました。 回答者に「どんな目的でカフェを利用しますか?」と質問し、男女別でクロス集計した結果が以下の表です。

グラフにすると以下のような形になります。

男性は「一人でくつろぐ」目的が多く、女性は「友人との会話」や「勉強・仕事」など交流目的が多いといった傾向が明らかになります。
つまり、「男性は一人時間を大事にしてる」「女性は会話や活動目的でカフェを利用している」など、属性ごとの傾向や違いを数字で把握できるので、「どんな人が、どんな行動をしているか」がひと目でわかるということです。
ABC分析
ABC分析は、「どの商品が売上にどれだけ貢献しているか」をランク別に分けて分析する方法です。例えば、売上の大半を占める少数の商品(Aランク)と、あまり売れていない大量の商品(Cランク)に分類し、「何を重点的に管理・強化すべきか」をはっきりさせられます。いわゆる「パレートの法則」に基づいて、効率のいい在庫や販促戦略が立てられるのが強みです。
ここでは、石けん販売店での売上データを使って解説します。まずは、販売した石けん20種類の「単価」「売上個数」「売上金額」を整理します。

全商品の売上構成比を計算し、構成比の高い順に並び替えます。

A〜Cでグループごとに分けることができました。
- グループA(上位70%程度):全体売上の中心を担う主力商品
- グループB(70~90%程度):売上に貢献はするが、Aほどではない
- グループC(残り10%):売上が低く、場合によっては見直し対象
要するに、「売れてる商品」と「そうでもない商品」を数字で見極めて、メリハリをつけた売場づくり・仕入れ判断ができるのがABC分析ということです。
アソシエーション分析/バスケット分析
アソシエーション分析/バスケット分析は、「一緒に買われやすい商品」を見つける分析です。スーパーで「カレー粉と福神漬けが一緒に買われている」、「プリンターを買う人はインクも買う」といった、商品と商品とのつながりを見つけることができます。これはクロス集計ではわからない組み合わせの傾向を教えてくれるため、販促や陳列、レコメンド戦略で役立ちます。
ここでは、ある家電量販店の購買データをもとに、「プリンターを買った人のうち、どれだけの人がインクも一緒に買っているか?」を分析します。

このように、「誰がどの商品を買ったか」を取引ごとに記録します。次に指標を設定します。

ここで計算式に当てはめて以下のような結果が出た場合、
- サポート(60%):全体の60%の取引で「プリンターとインク」が一緒に購入されている。
- 信頼度(75%):プリンターを買った人の75%がインクも購入している。
- リフト(0.94):1未満なので、「プリンターとインクの同時購入」は他と比べて特別に高いわけではない。つまり、関連性はあるけど思ったほど強くない。
という結論が出せます。
まとめ
ビジネスにおけるデータ分析は、単なる情報の整理ではなく、売上向上や顧客理解、業務効率化など、企業の課題解決や意思決定を支える役割を果たします。しかし、適切な手法を選び、正しいプロセスで活用しなければ、せっかくのデータも宝の持ち腐れになってしまいます。
そのため、データ分析をする際は以下4つの手法から最適なものを選びましょう。
- 「数字の相関」や「将来の動き」を読み解く手法
- 「タイプ分け」や「セグメントの発見」に役立つ手法
- 「本質的な要因」や「隠れた構造」を見つける手法
- 「売れ筋分析」や「購買傾向の発見」に役立つ手法
とはいえ、「どの手法を選ぶべきか迷う」「分析から施策まで一貫して動かせない」と感じる方も多いでしょう。そんな時は、リベルクラフトに依頼するのがおすすめです。
リベルクラフトなら、AI・データ活用における戦略立案から実装、運用体制の構築や内製化支援までワンストップで伴走支援が可能。実行可能なデータ戦略を持ちたいと考えている企業は、ぜひ活用しましょう。