「AIを個人で開発してみたいけれど、何から始めればいいのか分からない」「専門的な知識がないと無理そう」と感じる方もいるでしょう。実際、AI開発というと難しいイメージを持つ方が多いですが、近年は無料ツールやクラウド環境の発展により、個人でも手軽にAIを作ることが可能になっています。
また、最近では生成AI・画像認識・音声処理といった分野ごとに学べる教材や講座も用意されており、文系出身や未経験でもステップを踏んでスキルを身につけられます。
本記事では、
- AI開発を個人で始めるための進め方
- AI開発に必要なスキル
- AI開発の学習方法
をわかりやすく解説します。AI開発を個人で実施するための基礎知識や必要スキルなどを詳しく解説します。
「個人でAI開発をするノウハウがない」「そもそもAI開発ができない」という方は、リベルクラフトが運営するCraftCollegeがおすすめです。
CraftCollegeでは、9ヶ月で完全自走できるように濃密なカリキュラムに取り組むことで確実な技術習得を目指します。以下のリンクから詳細をチェックできますので、ご確認ください。
⇨リベルクラフトのCraftCollegeの詳細はこちら
AI開発の基礎知識
AI開発とは、コンピュータが人間のように学び、判断できるように設計することを指します。これまでのプログラミングでは、開発者が「こうなったらこう動く」といったルールを一つずつコードで指定する必要がありました。
しかしAI開発では、そのルールを人間が作るのではなく、コンピュータ自身がデータを分析して学ぶという点が違いです。たとえば、猫を見分けるAIを作る場合、従来なら「耳が三角」「ヒゲがある」といった条件をプログラムで定義していました。
一方AIでは、猫の画像を何万枚も見せて「これは猫」「これは猫ではない」と教えることで、コンピュータが自動的に猫の特徴を学び、新しい画像でも判断できるようになります。
つまりAI開発とは、人間の知識を直接教えるのではなく、データと学習の仕組みを通じて自ら学ぶプログラムを作ることなのです。

AI開発については以下のリンクから詳細をチェックできますので、ご覧ください。
参考記事:AI開発とは?必要なスキルや知識から開発の手順まで解説
AI開発の進め方
AI開発は闇雲に進めるのではなく、以下4つのステップで進めましょう。
- 目的を明確化する
- データを収集する
- モデルを構築する
- モデルを動作させる
1.目的を明確化する
AI開発の最初のステップは、「どんな課題を解決したいのか」をはっきりさせることです。目的があいまいなまま進めてしまうと、必要なデータの方向性やAIの種類が決まらず、時間とコストを無駄にしてしまいます。
たとえば、
- 問い合わせ対応を自動化したい
- 画像から不良品を検出したい
など、具体的なゴールを設定することが大切です。目的が明確になれば、どのAIモデルを使うか、どんな技術を学べばよいかといった次のステップが自然と見えてきます。
2.データを収集する
AIの頭脳を作るためには、学習用のデータが必須です。AIはデータをもとに規則やパターンを見つけ出して成長していくため、データの量と質がそのまま性能に影響します。
収集するデータは、目的によって異なります。たとえば、
- 画像認識AIなら「画像データ」
- 音声認識AIなら「音声データ」
- 需要予測AIなら「売上や天候の履歴データ」
などが必要です。
データの収集方法も多様で、社内にある過去の業務データを使う方法や、インターネット上のオープンデータを活用する方法、あるいはセンサーやカメラなどのIoT機器からリアルタイムでデータを取得する方法もあります。 重要なのは、「量」だけでなく「質」です。誤ったデータや偏りのあるデータを使うと、AIが誤学習を起こして精度が下がってしまいます。
データ収集の方法・クレンジングなどの方法については、以下の記事で詳しく解説しています。闇雲にデータを収集するのではなく、以下の記事を参照ください。
参考記事:データ収集の方法と分析への活用法を徹底解説(成果につなげるフレームワーク付き)
3.モデルを構築する
データを整えたら、次はAIの「頭脳」となるモデルを作ります。モデルとは、データを学習させるためのアルゴリズムのことです。たとえば、画像認識に強い「CNN」、テキスト分析に向いた「BERT」など、目的に応じて使うモデルが変わります。
初心者の方は、コーディングが不要なAI構築ツールを活用するのがおすすめです。たとえば、Google Colabを使えば無料でPythonを実行できますし、Teachable Machineではドラッグ&ドロップだけで簡単に画像分類AIを作れます。
一方で、本格的にAI開発を行いたい場合は、PythonやRなどのプログラミング言語を学び、TensorFlow・PyTorch・scikit-learnといった機械学習フレームワークを活用します。より精度の高いモデルを自分でチューニングできるようになります。
4.モデルを動作させる
構築したAIモデルは、実際にアプリケーションやWebシステムに組み込んで使えるようにする必要があります。この段階を「AIの実装フェーズ」と呼びます。
AIを動かすには、APIを使うのが一般的です。APIを利用すれば、AIを既存のWebサイトや業務システムに簡単に連携させられ、ゼロからシステムを作り直す必要がありません。
たとえば、画像判定AIをWebサービスに組み込んで、ユーザーが写真をアップロードすると自動で「猫」「犬」と分類する機能を提供することも可能です。実際の運用環境でテストを行い、予想外のデータに対する動作や精度を確認しましょう。
ここまで読んで「AI開発難しそう」「AI開発に関する知識・ノウハウがない」という方は、リベルクラフトにご相談ください。リベルクラフトでは、AI開発の運用から導入・社内での活用まで一気通貫で支援します。以下のリンクからお気軽にお問い合わせください。
⇨リベルクラフトへのAI開発に関する相談はこちら
個人でAI開発する際に必要なスキル・知識
個人でAI開発をする際には、以下5つのスキル・知識が必要です。進め方とあわせてスキル・知識も身につけておきましょう。
- プログラミング言語の知識
- 数学・統計学の知識
- 機械学習・ディープランニングの知識
- 生成AI・LLMスキル
- データベーススキル
プログラミング言語の知識
AI開発を行う上で欠かせないのが、PythonとSQLのスキルです。Pythonは、AIや機械学習に関するライブラリが豊富で、データの処理からAIモデルの構築までを一貫して行える言語です。文法もシンプルで、初心者でも学びやすいのが特徴です。
一方、SQLはデータベースから必要な情報を抽出・加工するために使用されます。AIは膨大なデータを扱うため、効率よくデータを取り出す力が求められます。
AIを実際のアプリケーションに組み込む場合には、
- JavaScript
- C++
- Java
なども習得しておくと良いでしょう。AIの中身を作るにはPythonが中心ですが、AIを「使える形」に仕上げるには複数言語の理解が必要になります。
数学・統計学の知識
AIの仕組みは、データの中に潜むパターンを数式と統計で見つけ出すことに基づいています。たとえば、
- 線形代数→データの構造を理解するための数学
- 微分・積分→学習を進めるための最適化計算
- 確率や統計→データの傾向を推測するための道具
として使われます。AI開発を始めたばかりの人は、難しい数式を暗記する必要はありませんが、平均・分散・回帰分析などの基本的な統計の考え方を理解しておくと、学習結果を正しく評価できるようになります。
たとえば、「このAIの予測精度はどれくらい正確か?」「誤差はどこから生じているのか?」といった疑問に答えるには、数理的な思考力が必要です。数学はAIの言語とも言える基礎力です。
機械学習・ディープランニングの知識
AIの中心となる技術が機械学習とディープラーニングです。機械学習では、過去のデータを使ってAIにパターンを学ばせ、新しいデータに対して予測や分類を行わせます。
たとえば「過去の売上データから来月の販売数を予測する」「メールをスパムと判定する」といった用途があります。ディープラーニングは、人間の脳を模したニューラルネットワークを利用し、画像・音声・自然言語といった複雑なデータを自動的に理解する技術です。
この分野には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」などの学習手法があり、それぞれ得意分野が異なります。
学習の種類 | 概要 | 代表的な手法・モデル |
---|---|---|
教師あり学習 | 正解ラベル付きデータを使って予測や分類を学習する手法 | 回帰分析、決定木、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク |
教師なし学習 | ラベルのないデータからパターンや構造を発見する手法 | クラスター分析、主成分分析、自己組織化マップ |
強化学習 | 試行錯誤を通じて報酬を最大化する行動を学習する手法 | Q学習、モンテカルロ法、Deep Q-Network |
ディープラーニングの特殊モデル | ニューラルネットワークを高度化したモデル群。入力データの特徴を自動抽出して複雑な処理が可能 | CNN(画像向け)、RNN/LSTM(時系列・文章向け)、Transformer(大規模言語モデルの基盤) |
AI開発を行う際には、目的に応じてどのアルゴリズムを選ぶかを判断できる知識が求められます。
生成AI・LLMスキル
近年のAI開発では、ChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AI・LLMの知識が必須です。これらは従来のAIよりも圧倒的に多くのデータを学習しており、人間のように自然な文章を作成したり、要約や翻訳を行ったりできます。
個人開発者がゼロから大規模モデルを作るのは現実的ではありませんが、既存のモデルをAPI経由で活用するスキルがあれば十分です。たとえば、OpenAI APIやHugging Faceなどを使えば、自分のアプリにAIチャットや文章生成機能を簡単に組み込めます。
また、LLMを扱ううえでは、「プロンプト設計」や「モデルのチューニング方法」といった実践的なスキルも重要です。今後のAI開発では、生成AIをどう使いこなすかが技術力の差を生む時代になっています。
データベーススキル
AIが学ぶ材料となるのは「データ」であり、そのデータを保管・管理するのがデータベースです。したがって、データベースの構造や操作を理解するスキルはAI開発に必要です。
具体的には、
- SQLを使ってデータを抽出・整形する力
- データ構造を設計するモデリング力
- 必要に応じてNoSQLやビッグデータ基盤を扱う知識
データベーススキルがあれば、学習用データの前処理やモデル結果の保存・分析がスムーズに行えます。また、AIを実運用する段階では、データエンジニアと協力して効率的な環境を整備する力も求められます。
AI開発は「モデルを作って終わり」ではなく、「データをどう扱うか」で成果が変わる分野です。データベースを自在に使いこなせることは、AIエンジニアにとっての大きな武器になります。
AI開発にはPythonがおすすめ
Pythonは、AI・データサイエンス分野で最も標準的に使われるプログラミング言語です。

Pythonがおすすめな理由は「習得のしやすさ」と「実務での強さ」の両方を兼ね備えている点にあります。
そして、最大の特徴は、英語の文章のように直感的に書ける構文です。他の言語のように複雑な記号や記述が少なく、コードを読んだだけで処理の流れが理解できます。
また、機械学習・データ分析向けのライブラリが充実していることも理由の1つです。以下のライブラリを使えば、数行のコードで高度なAIモデルを構築・訓練・評価できます。
分野 | 主なライブラリ | 主な用途 |
---|---|---|
機械学習 | scikit-learn | 回帰・分類・クラスタリング |
深層学習 | TensorFlow, PyTorch, Keras | ニューラルネットワーク構築 |
データ分析 | Pandas, NumPy | データ整形・数値計算 |
可視化 | Matplotlib, Seaborn | グラフ・統計チャート作成 |
統計解析 | statsmodels | 回帰分析・仮説検定 |
難解な理論を理解する前に、まずはPythonで手を動かし、ChatGPTなどの生成AIを使いながら「書いて・動かして・理解する」経験を積むのが近道です。Pythonを使えば、データ分析からAIモデリング、Webアプリ構築まで一貫して実装できるため、個人でも本格的なAI開発を行うことが可能です。
個人でAI開発ができるようになるには|学習3ステップ
個人でAI開発ができるようになるには、以下3つのステップを踏む必要があります。
- アナリティクス(分析)の基礎を学ぶ
- AI・機械学習の基礎を学ぶ
- AI・機械学習の応用を学ぶ
1.アナリティクス(分析)の基礎を学ぶ
AI開発を実施するには、アナリティクス(分析)の基礎を学ぶ必要があります。先述した通り、AI開発は「どれだけ優秀なデータを学習させるか」でAIの質は決定します。
そのためには、データの特徴や傾向をつかむ必要があります。たとえば、どの季節に売上が伸びるのか、どの地域の顧客が多いのかを数字から読み解くような作業です。
以下2つのポイントを押さえながら、学習しましょう。
- 統計の基本(平均・中央値・割合などを理解して、数字の意味を正しく捉える)
- 可視化のスキル(グラフや表を使って、データを見やすく伝える)
最初はExcelを使っても構いませんが、AI開発を実施するのであれば、Pythonを使えるようになるのがおすすめです。Pythonは無料で使えるうえに、データ分析用のツールが豊富です。世界中のデータサイエンティストが使っている標準的な言語なので、一度覚えれば長く役立ちます。
2. AI・機械学習の基礎を学ぶ
次のステップでは、AIや機械学習の考え方を学びましょう。ここで扱うのは、大きく分けて
- 構造化データ(売上表や顧客リストなど、行と列で整理されたデータ)
- 非構造化データ(画像・動画・音声・テキストなど、形が決まっていない情報)
の2種類です。
そしてAI開発を実施する上で、AIに学習させる方法は主に以下の2つです。
学習方法 | 内容 | 代表的な活用例 |
---|---|---|
教師あり学習 | 「正解データ」を使って予測・分類を学ぶ | 売上予測、顧客の解約予測など |
教師なし学習 | 正解がないデータから共通点やパターンを探す | 顧客のグループ分け(クラスタリング)など |
たとえば、「売上データから来月の売上を予測したい」場合は教師あり学習、「似た購買傾向の顧客を探したい」場合は教師なし学習を使います。
最初の学習には、Pythonのscikit-learnというライブラリがおすすめです。これを使えば、短いコードでAIモデルを作り、精度を確かめることができます。
3. AI・機械学習の応用を学ぶ
基礎を理解したら、より応用的な分野にチャレンジしてみましょう。応用では、非構造化データを扱うスキルが中心になります。
- 画像解析:ディープラーニングを使って、写真の中の対象を識別(例:犬か猫かを分類)
- 自然言語処理(NLP):文章の内容を理解し、感情分析や要約などを行う
- レコメンドアルゴリズム:ユーザーの好みに合った商品や動画を自動で提案
- 数理最適化:コストや時間を最小化するような効率的な組み合わせを導く
たとえば、画像解析を学ぶと医療画像の診断や製造業の不良品検出に応用できます。自然言語処理を学べば、SNSの投稿内容を分析してトレンドを把握したり、チャットボットの会話精度を上げることができます。
この段階まで進むと、基礎的なAI開発ではなく実務でも使用できるAIの開発を行うことができます。
AI開発スキルの習得にはCraftCollege
AI開発を個人で始めるために大切なのは、「小さく始めて、少しずつ広げる」という考え方です。最初から難しい技術を完璧に理解しようとするのではなく、Pythonを使ってデータを整理したり、シンプルなAIモデルを作ってみることから始めましょう。
データ分析の基礎や機械学習の仕組みを学び、徐々に生成AIや画像認識などの応用分野に挑戦すれば、知識が自然に繋がっていきます。本記事を参考にAI開発を個人で実施してみてはいかがでしょうか。
また「AI開発の方法がわからない」「AI開発を個人で習得するのは難しすぎる」と考える方もいるでしょう。そこでおすすめするのが、Craft Collegeです。

Craft Collegeでは、業界最長クラスの9か月間サポートでAI開発に関する基礎知識からノウハウまでを習得できます。1on1での個別指導なので、初心者でもつまづきにくいのが特徴。
また、教育訓練給付制度を利用すれば、受講料が最大80%OFFになるため、コスト面での負担も減らすことができます。以下のリンクから詳細をチェックできますので、確認してみてください。
⇨CraftCollegeの詳細はこちら