データ分析の資格11選。国家資格の有無と目的別の選び方を解説

データ分析の資格。目的別の選び方を解説

データ分析の資格を調べると、統計検定、G検定、DS検定、Python 3 エンジニア認定と名前が並びます。一覧記事を何本か読んだのに、結局どれを受ければよいか決まらなかった、という方も多いでしょう。

決まらないのには理由があります。多くの一覧が難易度順か知名度順で並んでいて、読者が自分をどこに当てはめればよいかが書かれていないからです。資格そのものよりも、「自分の目的だとどれになるのか」を先に決める必要があります。

そこで本記事では、

  • データ分析に国家資格はあるのか
  • 目的別に整理したデータ分析の資格11選
  • それぞれの難易度と受験料
  • いまの自分ならどれを受けるべきか
  • Pythonでデータ分析の資格を取るなら何を受けるか
  • 資格で測れる範囲と、実務で求められる範囲の差
  • 受験日から逆算する勉強の進め方

を解説します。受験料・試験形式・合格率は、すべて2026年9月時点の各試験の公式サイト掲載値です。

データ分析の資格に国家資格はあるか。民間資格との違い

最初に、多くの方が気にする点から答えます。

データ分析を名指しした国家資格は存在しない

データ分析という仕事を名指しした国家資格は、2026年9月時点で存在しません。本記事で扱う資格の大半は、民間の団体が実施する民間資格です。

実施団体は次のとおりです。

  • 統計検定:日本統計学会公式認定の試験で、一般財団法人統計質保証推進協会が運営しています
  • データサイエンティスト検定 リテラシーレベル(DS検定):一般社団法人データサイエンティスト協会
  • G検定・E資格:一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)
  • Python 3 エンジニア認定基礎試験・データ分析試験:一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会
  • ビジネス統計スペシャリスト:株式会社オデッセイ コミュニケーションズ
  • データ分析実務スキル検定(CBAS):株式会社ピープルドット
  • OSS-DB技術者認定試験:特定非営利活動法人エルピーアイジャパン

つまり、医師免許や税理士のように「その資格が無いと仕事ができない」種類のものは、データ分析にはありません。ここが出発点になります。

国家試験として関係するのは情報処理技術者試験

国家試験として関係するのは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験です。データ分析の入口に近いのは、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験の2つでしょう。

どちらもデータ分析専用の試験ではありません。ただ、データベース、アルゴリズム、システムの基礎といった、分析の土台になる知識を国の試験として証明できます。受験手数料はどちらも7,500円(税込)です(出典:IPA 試験実施予定)。

「データ分析の国家資格を取りたい」という検索意図に対する答えは、データ分析そのものの国家資格は無く、最も近いのが情報処理技術者試験、ということになります。

データ分析の資格を取る意味は、学習範囲の地図と説明材料

国家資格が無いなら、資格を取る意味はどこにあるのでしょうか? 2つあります。

1つは、出題範囲が学習範囲の地図になることです。独学でデータ分析を学び始めると、何を学べば一通りになるのかが分かりません。試験の出題範囲は、団体が「この職務にはこれが要る」と整理したものなので、自分が何を知らないかを測る物差しとして使えます。

もう1つは、選考や面談で学んだ範囲を相手と共有できることです。「統計を勉強しました」よりも「統計検定2級の範囲までやりました」のほうが、相手には具体的に伝わります。

一方で、資格があれば採用される、という話ではありません。この点は本記事の後半で詳しく扱います。

データ分析の資格一覧。目的別の3ルートで整理する

国家資格が無く、民間資格が横並びに存在すると分かりました。だとすれば、権威のある1つを選ぶ問題ではなく、自分の目的に合う地図を選ぶ問題になります。そこで、資格を3つのルートに分けて並べ直します。

データ分析の資格を目的別3ルートで整理した図

ルート1。Excelと統計で職場のデータを扱う人向けの資格

いまの職場にあるデータをExcelで扱えるようになりたい、という方のルートです。プログラミングは前提になりません。

  • 統計検定3級・2級:3級はデータの分布や統計的な推測の基礎、2級は大学基礎レベルの統計学を扱います。数字の差が誤差の範囲かどうかを自分で判断するための土台になります
  • ビジネス統計スペシャリスト(エクセル分析 一般・エクセル分析 上級):Excelを操作して解く問題が含まれる試験です。平均や標準偏差の読み取りから、相関・回帰分析までを扱います。2025年5月1日に「エクセル分析ベーシック」「エクセル分析スペシャリスト」から改称されました
  • データサイエンティスト検定 リテラシーレベル(DS検定):データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力の3領域を横断して問う試験です。分析の仕事全体の輪郭をつかめます
  • データ分析実務スキル検定(CBAS):シチズン・データサイエンティスト級は、Excelを操作して解く実技試験です

Excelでの分析そのものの進め方はExcelでのデータ分析で解説しています。

ルート2。Pythonで分析職を目指す人向けの資格

データ分析を仕事にしたい、という方のルートです。Pythonを書けることが前提の職種が多いため、実装を示す資格が中心になります。

  • Python 3 エンジニア認定基礎試験:Pythonの文法と標準ライブラリの基礎を問います。プログラミング未経験ならここが入口です
  • Python 3 エンジニア認定データ分析試験:NumPy・pandas・Matplotlib・scikit-learnといった、データ分析で使うライブラリを問います。詳しくは後述します
  • 基本情報技術者試験:IPAの国家試験で、アルゴリズムとプログラミング、情報セキュリティ、データベースなどを扱います
  • OSS-DB技術者認定試験(Silver):PostgreSQLを基準にしたデータベースの運用とSQLの試験です。分析の前にデータを取り出す工程を担当するなら効いてきます

ルート3。AI・機械学習まで踏み込む人向けの資格

分析から一歩進んで、機械学習のモデルを扱う側に回りたい方のルートです。

  • G検定(ジェネラリスト検定):ディープラーニングを事業に活かす知識を問います。実装は問われないため、エンジニア以外も受けやすい試験です
  • E資格(エンジニア資格):ディープラーニングの理論と実装を問う上位資格で、JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していることが受験条件になります
  • 統計検定 準1級:2級より上の範囲で、多変量解析や時系列解析などを扱います
  • 統計検定 データサイエンス発展・エキスパート:データサイエンスの実践力を段階的に測る区分です

11資格を一覧にすると次のようになります。

資格実施団体受験料(一般)試験方式・日程想定レベル
統計検定日本統計学会公式認定・統計質保証推進協会運営5,000〜8,000円(級による)1級は筆記で年1回、準1級以下はCBTで通年入門〜上級
ビジネス統計スペシャリストオデッセイ コミュニケーションズ8,800円(エクセル分析 一般)CBT・会場ごとの日程入門
データサイエンティスト検定 リテラシーレベルデータサイエンティスト協会10,000円(税抜)試験会場・年2〜3回の期間実施初級
データ分析実務スキル検定(CBAS)ピープルドット8,800円(シチズン・データサイエンティスト級)自宅受験または試験会場・随時初級
Python 3 エンジニア認定基礎試験Pythonエンジニア育成推進協会11,000円CBT・通年入門
Python 3 エンジニア認定データ分析試験Pythonエンジニア育成推進協会11,000円CBT・通年初級
基本情報技術者試験情報処理推進機構(IPA)7,500円CBT・通年初級(国家試験)
応用情報技術者試験情報処理推進機構(IPA)7,500円CBT・年2回中級(国家試験)
OSS-DB技術者認定試験(Silver)エルピーアイジャパン16,500円CBT・随時中級
G検定日本ディープラーニング協会13,200円オンラインまたは会場・年6回初級
E資格日本ディープラーニング協会33,000円会場・年2回上級

この表から読み取れることが2つあります。1つは、入口にあたる試験の多くが1万円前後で、通年のCBTで受けられるという点です。思い立った月に受験できるため、学習の区切りとして使いやすくなっています。もう1つは、E資格だけが受験料も受験条件も一段重いという点でしょう。いきなりここを目指すより、土台から積み上げるほうが現実的です。

なお、受験料・試験方式は2026年9月時点の各公式サイト掲載値です。出典は統計検定、データサイエンティスト検定、G検定、E資格、Python 3 エンジニア認定データ分析試験、ビジネス統計スペシャリスト、データ分析実務スキル検定、OSS-DB技術者認定試験、IPA 基本情報技術者試験、IPA 応用情報技術者試験です。

分析の仕事で求められるスキルの全体像はデータ分析のスキルにまとめています。

データ分析の資格の難易度と受験料を比較する

一覧で全体像が見えたところで、選ぶために欠かせない難易度と費用を並べます。

受験料は5,000円台から33,000円まで幅がある

受験料の帯は3つに分かれます。

  • 5,000円台から1万円前後:統計検定の各級(3級6,000円・2級7,000円・準1級8,000円)、IPAの基本情報技術者試験と応用情報技術者試験(各7,500円)、ビジネス統計スペシャリスト(8,800円)、CBAS シチズン・データサイエンティスト級(8,800円)
  • 1万円台:DS検定(10,000円・税抜)、Python 3 エンジニア認定の基礎試験とデータ分析試験(各11,000円)、G検定(13,200円)、OSS-DB Silver(16,500円)
  • 3万円台:E資格(33,000円)

統計検定・DS検定・Python 3 エンジニア認定には学割があり、G検定は学生5,500円です。一方、IPAの情報処理技術者試験に学割はありません。

合格率を公表している資格と、公表していない資格

難易度を知る手がかりとして合格率を探す方は多いのですが、公表している団体と公表していない団体に分かれます。

公表されている主な数値は次のとおりです。

  • 統計検定(CBT方式・2025年):3級54.2%、2級46.1%、準1級34.7%、データサイエンス基礎66.2%、データサイエンス発展61.5%、データサイエンスエキスパート23.4%(出典:統計検定 過去の試験データ)
  • 統計検定1級(2025年11月実施):統計数理18.0%、統計応用18.6%
  • DS検定 リテラシーレベル(第13回・2026年6月):受験者約2,220名に対し合格者1,083名で約49%(出典:DS検定 過去の試験結果)
  • G検定(2026年第4回):受験者9,241名に対し合格者7,677名で83.08%
  • E資格(2026年第2回):受験者1,062名に対し合格者712名で67.04%
  • 基本情報技術者試験(令和7年度):38.3%
  • 応用情報技術者試験(令和7年度):23.4%

一方、Python 3 エンジニア認定試験、ビジネス統計スペシャリスト、CBAS、OSS-DBは、いずれも公式サイトで合格率を公表していません。通年のCBTで随時受験できる試験は、回ごとの母集団がまとまらないため、数値を出しにくいという事情があります。

本記事では、公表されていない資格について推定値を書きません。出所の分からない合格率を判断材料にすると、実際の難易度を見誤るためです。

統計検定・G検定・E資格・DS検定・情報処理技術者試験の公表されている合格率の比較グラフ

合格基準についても同じで、統計検定2級・準1級は100点満点で60点以上、3級は65点以上、Python 3 エンジニア認定は正答率70%、応用情報技術者試験は科目A・科目Bとも100点満点で60点以上と公表されています。反対に、G検定・E資格・DS検定・統計検定1級の合格基準は公表されていません。

学習期間の目安と、最初の1つの決め方

学習期間は、公式が示している数値ではありません。出題範囲の広さから見積もると、統計検定3級やPython 3 エンジニア認定基礎試験のような入門区分で1〜2ヶ月、統計検定2級やDS検定で2〜3ヶ月、統計検定準1級やE資格で半年前後を見ておくと計画が崩れにくくなります。すでに関連業務の経験がある方は、これより短くなります。

迷ったときの決め方は単純です。受験料が低く、出題範囲が公式に明示されていて、通年で受けられる試験から始めてください。統計検定3級、Python 3 エンジニア認定基礎試験、ビジネス統計スペシャリストがこれにあたります。最初の1つで学習の型ができれば、次の資格は選びやすくなります。

目的別に見るデータ分析の資格の選び方

難易度と費用が並びました。ここからは、自分の現在地を当てはめて1つに絞ります。

現在のレベルと目的からデータ分析の資格を選ぶ流れ
いまの状況受ける資格理由
Excelで職場のデータを扱えるようになりたいビジネス統計スペシャリスト、統計検定3級Excelの操作と統計の読み方を同時に固められる
未経験からデータ分析職への転職を目指すPython 3 エンジニア認定基礎試験、DS検定 リテラシーレベル実装の入口と、職務の全体像を並行して押さえられる
マーケティングや事業側でデータを読む統計検定2級、DS検定 リテラシーレベル施策の効果を統計的に判断する材料が手に入る
すでに分析実務にいて専門性を示したい統計検定準1級、統計検定 データサイエンスエキスパート、E資格手法の選択と実装の妥当性を客観的に示せる

この表で分かるのは、同じ「データ分析の資格」でも、立場が変われば受けるべき試験が入れ替わるということです。そして未経験の方ほど、いきなり難関資格を狙わず、入門区分で学習の型を作るほうが結果的に早く進みます。

いまの職場でExcelのデータを扱えるようになりたい場合

事務や営業の仕事でExcelの集計を任されている、という方はここです。

順番としては、ビジネス統計スペシャリストのエクセル分析 一般から入ります。1000点満点で700点以上が合格で、問題数は33問、試験時間は60分です。平均・中央値・標準偏差・度数分布・相関・回帰といった、職場の集計でそのまま使う項目が範囲に入っています。

そのうえで統計検定3級に進むと、Excelの操作から離れて、数字の読み方そのものを整理できます。逆の順番にすると、学んだ統計を手元の作業に結びつけにくくなります。

未経験からデータ分析職への転職を目指す場合

データ分析を職業にしたい方は、実装と全体像の2つを押さえます。

まずPython 3 エンジニア認定基礎試験を受けて、Pythonを書ける状態を作ります。次にDS検定 リテラシーレベルで、データサイエンス力・データエンジニアリング力・ビジネス力の3領域を一通り見ます。DS検定は100問・100分の試験で、年2〜3回の期間実施なので、試験期間を先に確認して逆算してください。

この順序にする理由は、Pythonを書けない状態でDS検定の範囲を読んでも、データエンジニアリングの項目が言葉の暗記で終わるためです。分析職の仕事内容そのものはデータ分析の仕事で整理しています。

マーケティングや事業側でデータを読む立場の場合

施策の意思決定にデータを使う立場なら、自分で分析を実装するより、結果を正しく読んで判断する力のほうが先に要ります。

統計検定2級が中心になります。仮説検定や区間推定を扱うため、「この差は誤差の範囲か」を自分で判断できるようになります。そこにDS検定を足すと、分析チームと話すときの共通の言葉が増えます。マーケティングでのデータの使い方はデータ分析のマーケティング活用で解説しています。

すでに分析実務にいて専門性を示したい場合

実務で分析をしている方が受けるなら、統計検定準1級、統計検定 データサイエンスエキスパート、E資格のいずれかです。

統計検定準1級の合格率は2025年で34.7%、データサイエンスエキスパートは23.4%と、入門区分とは水準が変わります。E資格はJDLA認定プログラムの修了が受験条件なので、受けると決めた時点で講座の選定と受講計画も必要になります。データアナリストとデータサイエンティストで求められる専門性の違いはデータアナリストとデータサイエンティストの違いにまとめました。

ここまでデータ分析の資格の選び方を解説しましたが、「受ける資格は決まったが、合格後に自分でデータを分析できるようになる道筋が見えない」という方は、Craft Collegeをご検討ください。

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Pythonでデータ分析の資格を取るなら。Python 3 エンジニア認定データ分析試験

選び方の中でPythonルートを選んだ方に向けて、その中心になる試験を1つ掘り下げます。

出題範囲と試験形式

Python 3 エンジニア認定データ分析試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施し、オデッセイ コミュニケーションズが試験を配信しています。

  • 受験料:11,000円(税込)。学割は5,500円(税込)
  • 試験方式:全国のテストセンターで受けるCBTで、受験日は通年です
  • 問題数と試験時間:40問・60分
  • 合格基準:正答率70%

出題範囲は主教材『Pythonによるあたらしいデータ分析の教科書』に沿っており、公式サイトに問題数の内訳が示されています。scikit-learnが8問、pandasが7問、NumPyが6問、Matplotlibが6問で、残りがデータ分析の基礎となる数学、Pythonの基礎、分析環境の構築などです(出典:Python 3 エンジニア認定データ分析試験)。

ライブラリの操作だけでなく、その手前の数学と環境構築も範囲に入っているのが特徴です。

基礎試験との違いと、受ける順番

同じ協会が実施するPython 3 エンジニア認定基礎試験は、主教材が『Pythonチュートリアル 第4版』で、Pythonの文法と標準ライブラリを問います。こちらも40問・60分・正答率70%で、受験料は11,000円(税込)です。

Pythonを書いたことがない方は、基礎試験を先に受けてください。データ分析試験はpandasでデータを加工する問題が出るため、リストや辞書、関数の書き方が身についていないと、コードを読む段階で止まります。逆に、業務でPythonを使っている方は、基礎試験を飛ばしてデータ分析試験から受けても支障はありません。

合格後に手を動かす対象を決めておく

申し込みの段階で、合格したあとに何を作るかを決めておくことをおすすめします。

試験対策で書くコードと、自分でデータを取ってきて分析するコードは別物です。試験では整ったデータが前提になりますが、実際のデータには欠損や表記ゆれがあり、そこを直す作業に時間の大半を使います。公開データを1つ選んでおけば、合格した週から手を動かせます。学習の順序そのものはデータ分析の勉強ロードマップで詳しく扱っています。

データ分析の資格で測れる範囲と、実務で求められる範囲の差

受ける資格が決まり、Python資格の中身も見えました。ここで、資格が測っていない範囲を確かめておきます。

出題範囲にほとんど入らない3つの仕事

データ分析の実務で最初に時間を取られるのは、次の3つです。いずれも選択式の試験では測りにくく、出題範囲にもほとんど入っていません。

  • 何を分析するかを決める:依頼は「売上が落ちている原因を知りたい」という形で来ます。これを、どの指標を、どの期間で、何と比較するかという問いに翻訳する作業が要ります
  • データを集めて使える形にする:複数のシステムからデータを取り出し、欠損を埋め、表記ゆれをそろえ、結合します。分析の工数の多くがここに集まります
  • 結果を人に伝えて意思決定につなげる:数字が出ても、相手が動かなければ仕事は終わりません。どのグラフを見せ、どの順で話すかが問われます
資格の出題範囲と、データ分析の実務で求められる範囲の違い

分析手法そのものは試験で問われますが、その手法をいつ選ぶかは現場の判断になります。手法の使い分けはデータ分析の手法で解説しています。

それでも資格が選考で効く場面

とはいえ、資格に意味が無いわけではありません。効く場面は3つあります。

書類選考では、学習を継続してきたことを短い行数で示せます。面談では、学んだ範囲を相手と同じ言葉で説明できます。社内で分析業務への異動を希望する場合には、上長に伝える材料になります。

いずれも「資格があるから採用される」ではなく、話を始めるきっかけとして機能するという位置づけです。

資格を実務の証明に変える方法

差を埋める方法は、自分で題材を決めて一連の流れを通すことに尽きます。手順は次の4つです。

  1. 公開データを1つ選ぶ。政府統計や自治体のオープンデータなど、実際に欠損や表記ゆれがあるものを選びます
  2. 問いを1つ決める。「どの地域で、何が、どう変化しているのか」というように、答えが出せる粒度まで絞ります
  3. 前処理から可視化まで通す。欠損の扱いとその理由を、あとで説明できる形で残しておきます
  4. 考察を文章にする。図だけを並べず、何が言えて何が言えないかを書きます

ここまで作れば、資格の名前ではなく成果物で説明できるようになります。データ分析のスキルを体系的に確認したい方はデータ分析のスキルもあわせてご覧ください。

データ分析の資格取得に向けた勉強の進め方

資格の範囲外にも仕事があると分かりました。最後に、限られた時間で資格を取るための進め方を示します。

受験日から逆算する3つのステップ

  1. 先に受験日を決めて申し込む。統計検定の準1級以下、Python 3 エンジニア認定、基本情報技術者試験はいずれも通年のCBTです。いつでも受けられる形式は、締め切りを自分で作らないと学習が始まりません
  2. 公式の出題範囲を上から順に仕分ける。各項目を「説明できる」「聞いたことはある」「知らない」の3つに分けます。教材を最初のページから読み始めるより、ここを先にやったほうが時間を節約できます
  3. 知らない項目だけを教材で埋め、通しの演習をする。仕分けが終わったら、埋める対象は絞れています。最後に公式問題集や過去問で、時間を計って通しで解きます

3番目を省くと、範囲は理解したのに時間内に解き終わらない、という結果になりがちです。Python 3 エンジニア認定のように40問を60分で解く試験では、1問あたり1分半しか使えません。

独学で進めやすい資格と、伴走があったほうがよい場面

独学で進めやすいのは、出題範囲が公式に明示され、公式教材や問題集がそろっている試験です。統計検定、Python 3 エンジニア認定、DS検定、基本情報技術者試験はここに入ります。

伴走があったほうがよいのは、実装を伴う範囲で手が止まるときでしょう。具体的には次のような場面です。

  • エラーメッセージを読んでも原因の見当がつかず、1つの不具合で数日止まってしまう
  • 学習の順序が分からず、教材を何冊も買い替えている
  • 資格は取れたものの、自分のデータで何から始めればよいか分からない

未経験からデータ職を目指す全体の道筋はデータサイエンティストになるにはで解説しています。

まとめ

  • データ分析という仕事を名指しした国家資格は無く、大半が民間資格です。国家試験として関係するのは情報処理技術者試験です
  • 資格はExcelと統計、Python、AI・機械学習の3ルートに整理できます
  • 受験料は統計検定3級の6,000円からE資格の33,000円まで幅があり、入口の試験は1万円前後です
  • 合格率は統計検定・DS検定・G検定・E資格・情報処理技術者試験が公表し、通年のCBTで実施する試験は公表していないものが多くあります
  • 受ける資格は難易度順ではなく、いまの立場と目的から選びます
  • 課題設定・データの前処理・結果を伝える工程は出題範囲にほとんど入らないため、自分で題材を決めて一連の流れを通します
  • 学習は受験日を先に決めて逆算し、出題範囲の仕分けから始めます

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この記事を書いた人

慶應義塾大学で金融工学を専攻。 卒業後はスタートアップのデータサイエンティストとして、AI・データ活用コンサルティング事業などに従事。 その後、株式会社セブン&アイ・ホールディングスにて、小売・物流事業におけるAI・データ活用の推進に貢献。 株式会社リベルクラフトを設立し、AIやデータサイエンスなどデータ活用領域に関する受託開発・コンサルティングや法人向けトレーニング、教育事業を展開。

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